見出し画像

抗精神病薬に感じる抵抗感〜なぜ人は薬の種類によって反応が違うのか?〜

 風邪薬やインフルエンザ薬などの一般的な薬に対しては、多くの人が抵抗感を抱かず、自然に受け入れることができます。しかし、抗精神病薬や抗うつ薬といった精神科の薬に関しては、「それを飲んだら本当の自分ではなくなるのでは?」と抵抗を感じる人も多いのが現実です。なぜ、同じ「服薬」という行為にもかかわらず、これほどまでに反応が異なるのでしょうか? その背景には、いくつかの心理的・社会的要因が存在すると思われます。

 まず第一に、精神疾患に対する社会的な偏見や誤解が大きく影響しています。風邪やインフルエンザなどの身体的な病気は、一般的に「誰にでも起こりうるもの」として受け入れられており、風邪薬を飲むことに対して罪悪感や不安を抱くことはほとんどありません。しかし、精神疾患は依然として社会的にタブー視されることが多く、精神科の薬を飲むことに対する不安や抵抗感が強い人もいます。

 特に、精神疾患は目に見えないため、理解が難しく、病気そのものが「本人の問題」や「性格の一部」として捉えられてしまうことがあります。このため、「薬で自分の脳を変えるなんて、自分自身を否定するようなもの」と感じる人が多いのでしょう。

 精神科の薬、特に抗精神病薬や抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質をコントロールし、思考や感情を制御する役割があります。これに対し、風邪薬は身体的な症状に作用するだけで、感情や人格に直接影響を与えるわけではありません。そのため、風邪薬を飲むことで「自分が変わってしまう」という感覚を持つことはほとんどありません。

 一方、精神科の薬に対しては、「薬を飲むことで自分の感情や思考が変わり、本当の自分が失われてしまうのではないか?」という不安が生じやすいです。これは、自己認識やアイデンティティに関わる問題であり、特に感情や思考が症状と密接に結びついている場合、この懸念が強まる傾向があります。

 薬の効果に対する理解の違いも、抵抗感に影響しています。風邪薬は比較的すぐに症状が緩和されることが多く、効果が目に見えて分かりやすいです。そのため、服薬に対する心理的な抵抗感は少ないと言えます。

 しかし、私が普段から抗精神病薬と抗うつ薬を服薬している経験からも、これらの精神科の薬は、効果が現れるまでに時間がかかることがあり、長期間の服用が必要な場合も多いです。また、効果がすぐに実感できない場合、薬の必要性や効果そのものに疑念を抱くこともあるでしょう。これにより、「本当に必要なのか?」という疑問が生じ、服薬への抵抗感が強まることがあります。

 精神科の薬には、副作用が強いものがあることも、抵抗感を生む要因の一つです。例えば、抗精神病薬や抗うつ薬の副作用には、体重増加、眠気、感情平板化などが挙げられます。これに対して不安や恐怖を感じ、薬を避けたいと思う人が多いのです。

 一方、風邪薬の副作用は比較的軽い場合が多く(例えば、眠気など)、それほど深刻な影響を与えることは少なく、その作用を多くの人が共有しているので、安心して服用することができると言えます。

 精神科の薬に対する抵抗感は、主に社会的な偏見や自己認識に対する不安、そして薬の効果や副作用に対する理解の違いから生じています。身体の病気を治す薬には違和感を抱かない一方で、精神科の薬に対しては「自分を変えてしまうもの」として警戒心を持つ人が多いのです。
 しかし、精神疾患も他の病気と同じく、適切な治療が必要です。精神科の薬が自分の健康と生活の質を向上させるために役立つことを理解し、適切なサポートを受けることが大切です。

 これらの誤解や偏見を少しずつ解消することが、精神疾患を抱える人々が安心して治療を受けられる社会への一歩となるでしょう。

 今回は、なぜ人は薬によって反応が異なるのか?について考えてみました。最後までお読みいただきありがとうございます。

いいなと思ったら応援しよう!

猫男@ASD
もし、サポートしたいと思っても、そのお金はここではないあなたの大切なこと使ってください。