2023/10/18 22:48 夢で読んだ絵本

ある島に雪のように真っ白なひつじの子がすんでいました。ずっと冬で真っ白な島にいろいろな生き物たちがすんでいました。あるときひつじと一緒に暮らしていた生き物たちが固い雪の塊になってしまいました。一緒に遊んでいた友達は雪の塊のようになってしまって、さっきまで白銀の世界を映していた瞳は開かれたまま白く濁ってしまいました。島の大人たちはそうなってしまったらもう助からないことを知っていましたが、残されたひつじの子がかわいそうでその雪の塊を砕くことができませんでした。雪の塊は雪になっただけで中身は雪になる前と同じでしたが、雪になった手足は動かすことができず、すった息は肺ごと凍ってしまい、音は雪に吸い込まれ、雪玉になった眼には光を通すことができないのでした。みんなそのことを知っていて、大人は救ってあげようと本当は砕いてあげたいのですが、諦められないひつじの子はそれを嫌がりました。あたため続ければ雪は解けると思ったのです。でも大人はそれをさせてくれませんでした。大人たちは、ひつじの子が雪の塊のことを少しずつ受け入れて、または忘れてほしいと思っていたのです。でもそんなことはありませんでした。あくるあさ、いつもの寝床にひつじの子がいませんでした。島中大騒ぎでひつじの子を探しました。ひつじの子は、雪の塊があったところで凍り付いていました。自分の体温で雪の塊をとかそうとしたのです。雪の塊はなくなっていましたが、ただの雪の塊は解けてもただの水です。冬の極寒で水をかぶってしまったひつじの子は、ゆっくり凍り付いてしまったようなのです。少しずつ体温を奪われ凍っていったひつじの子は丸まって凍っていました。大人がひつじの子を見つけた時、ひつじの子はただ凍っていただけなのですが、ひつじの子があまりにも真っ白だったので、雪の塊になってしまったと思ってしまいました。この子も雪の塊になってしまったか…と大人は凍っているだけのひつじの子を粉々に砕いてしまったのです。ひつじの子は死んでしまいました。やがて春がきて、粉になったひつじの子はほかの友達と一緒に新しい花を咲かせたのでした。 おしまい

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