イギリス発達支援への道㊴EHCP異議申し立て・SEND裁判所への控訴その2(次男・進展編)

前述のとおり、今後のことを見据えて学校選択のための裁判を選択した我々ですが、その最初のプロセスについては以下の記事でご紹介した通りになります。

「どのように学校が入学する子どもを選ぶか」については自治体によってそれぞれ異なりますが、我々のように希望の学校の入学を求めて「EHCPにおける学校の配置決定後に変更を求める場合」についてはイングランド法で定められている、上記に紹介している統一の手続きが必要になります。
(年1のEHCP評価のアニュアルレビューやEHCP発行後の緊急レビューなどで裁判でもアピールの権利が絡んできますが、ここでは「EHCP発行後に裁判を起こす場合」について焦点を当てて述べていきます)

裁判を起こすにかかる全ての手続きを前回で終了したところまで記載しましたが、その2週間後、裁判所からメールで案内が来ました。
そこには「今後の裁判(ファイナルヒアリングと判決)までのプロセス」「親と自治体がそれぞれ提出しなければならない書類・情報」が載っていました。
以下が、裁判(ファイナルヒアリングまで)の大まかな流れです。
①「我々の異議申し立てに対する自治体(LA)の返答

②「異議申し立ての際に出せなかった追加証拠の提出(親・自治体両者)」⇒
③「ケースレビューフォームの提出(裁判の要点や承認・証拠の提出状況や期日までに揃わなかった証拠についての把握・裁判の日の証人リストといった、裁判所が現時点での状況を端的に効率的に把握するための文書。親・自治体両者)

④「自治体のバンドル(これまで双方が提出した全ての情報データ)提出(自治体のみ)

⑤「最終公聴会(ファイナルヒアリング)

⑥「判決

個人差はありますが、最終公聴会は異議申し立てを始めてから約1年後の日付に設定されていました。長いですね。つまり、LAが途中で要求を受け入れない限り、どんなに早くても決定が下るのは1年後ということになります。この決定が下されるまでにかかる時間の長さも私たちがEHCP発行後すぐに裁判の権利を行使した理由の1つです。(親と本人がEHCPの裁判できる権利・機会は法律の定めで限られています。)

①~④までは約4か月の期間でそれぞれに期日が決められています。
①LAからの異議申し立てに対する回答は、「希望学校は受け入れられないとの見方を示している・Mainstreamで十分やれそう・EHCPの内容変更は善処する・裁判には反対」でした。
②証拠や新たな情報を提出しました。学校変更の確立を挙げるためにEHCPの内容も併せて異議申し立てをしていたので、以前利用したEHCPドラフトの添削サービスを基に、EHCPの内容が法的に沿っていない点を指摘、その証拠を提出し続けていきました。
息子の場合はこれにより証拠提出の途中で、EHCPアセスメントにはなかったNHSのOTの評価を新たに受けて、証拠として加味されることになりました。
(裁判用のPrivateセラピストを雇ってアセスメントと裁判用の新証拠レポートを提出している保護者もかなり多いのですが、20~50万という高価格のため、我々貧乏留学勢は予算的に自治体に評価実施を要求する形にしました。このような裁判にかかる費用を補助してくれる法律もあるのですが、我々には当てはまりませんでした。)
また、もう証拠になりそうなものは何でも提出する勢いで、「次男が校門前や教室で泣き続けパニックになるビデオ集」や「一時帰国の際に受けた病院での心理検査レポート・診断書(更新版)」も提出しました。
また、LAから現在在籍している学校と希望校からそれぞれレポートも提出されました。学校には入学前からARPへの入学希望を強く伝えており、SENCOも同意見ではあった&裁判について共有していたからか、裁判所に対してARPの入学がふさわしいという旨のレポートを書いてくれていました。(自治体からの証拠として提出されていたのですが、これは在籍している学校が自治体側であるという意味ではないそうです。)
海外からの専門家からの証拠提出に関しては基準があり証拠として認められないものもあるようですが、ビデオ集は証拠として中々強いようです。
※証拠が期日までに提出できない場合は正当な理由に限り期日延長できる手続きもあります。

③ ②の2週間後弱に、ケースレビューフォーム(説明は上記)を裁判所へ提出しました。証人を立てることもできますが、親だけのケースが多いと聞き、全ての証拠は全て提出していたことから我々もその例に従いました。

④ ③数週間後、自治体の弁護士からバンドルが送られてきました。今までの全ての情報が集約されているものとされているので、かなりの量なのですがファイナルヒアリングではこれが判決の重要な判断材料になるため「もれている証拠や情報がないか」を確認する必要があります。

我々は8月に申し立てを開始し、①~④までの手続を2025年の1月に終了したため、あとは9か月後の⑤のファイナルヒアリングを待つだけとなりました。

そんな矢先、先週LAの弁護士から自体が大きく変わるメールが届くことになります。


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