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発達障害の空間認識能力とは? WAIS-IVの中身 ~知覚推理 その1~

「発達障害=空間認識が苦手」は、「知覚推理」のIQと関係しているかもしれません。

発達障害の知能検査に使われる「ウェクスラー知能検査」(WAIS)。この4世代目で、現在、日本で最新の検査方法となっているWAIS-IVの筆者の診断結果について、「言語理解」、「知覚推理」、「ワーキングメモリー」、「処理速度」の4つ、さらに細分化して、紹介していきます。今回は、「知覚推理」です。本日も一部を有料とさせていただきます。

検査は2021年6月4日・11日・18日・25日と、6月の毎週金曜日に4回に分けて行っていただきました。検査にかかった時間は1日1時間~1時間30分、4日間合計で6時間弱ぐらいでした。

前回取り上げた「言語理解」については、どれも平均より少し高めという、あまり変哲もないような結果でしたが、今回取り上げる「知覚推理」は違いました。それは下のグラフの数値によく表れています。

知覚推理は「積木模様」、「行列推理」、「パズル」、「バランス」、「絵の完成」の5項目からなります。


知覚推理

「知覚推理」はいったい何の検査か?

前回の「言語理解」はパッと聞いて、何の検査なのかがすぐにわかるかと思いますが、「知覚推理」というのはパッと聞いてもよくわからない方がほとんどだと思います。「推理」というと小説とか探偵のイメージもありますが、WAIS-IVの知覚推理は、違います。

知覚推理は、漫画やパズルといった文字以外の視覚情報を見たうえで、それが何の事柄を意味するのかを想像して、文字などで表現するといったものです。いわゆる「右脳」的な処理の分野で、抽象的な事柄をいかに正しくとらえるかというところや、空間認知能力もこれに含まれます。

知覚推理での検査は、計算のように一つの答えが出しにくい分野ではないので、「千差万別では出せないのでは?」と思われがちですが、検査が体系化されているので、定型発達(健常者)の方であれば、細かいズレやニュアンスの違いがあったとしても、ほとんどの人の答えが、出題者が意図する答えの範囲内に収まります。逆に言えば、その範囲内から外れていると発達障害の傾向が強いといえます。

「知覚推理」の検査方法とは?

知覚推理についての問題は、1日目~4日目のすべてにありました。1日目の検査の最初の問題は知覚推理に関する問題でした。WAIS-IVの検査は、個室にて1対1の質問形式で進められました。しばらく考えても回答がわからない場合は、次にどんどん進んで質問を受けます。

1日目の6月4日には、次のような問題がありました。実際に出された問題例も取り上げます(一部ネタバレ箇所がございますので、ここから有料とさせていただきます。今後検査される方は、検査結果が正確に出るよう、ご注意くだされば幸いです)。前回の「言語理解」の部分とは異なり、図がなければイメージがつきにくい問題ばかりなので、こちらでサンプル例の問題図を作成しました。

積木を並べる問題で平均の半分

1日目の検査で最初に出てきたのが次の「積木模様」の問題です。

1.  積木模様

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