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ロゴがわかりやすいのは図形のおかげ?〜ロゴデザイナー(おしごと算数#2)〜

街なかにあふれるさまざまな標識・サイン・ロゴマーク。そのシンプルな図柄には人々がぱっと直感的に意味合いを認識できるようにと、たくさんの工夫がなされています。「ロゴデザイナー」は、平面図形の性質を探りそのイメージを深めながら、オリジナルのロゴづくりに挑む図形探究プログラムです。

※本記事は、小学生向け探究学習プログラム「なりきりラボ®」「おしごと算数®」(グッドデザイン賞受賞)の各テーマを紹介するシリーズ記事の一つです。

<プログラム開発者、いわたく&きいろちゃん&すぎちゃんに聞きました!>

いわたく(岩田拓真):
株式会社a.school(エイスクール)代表取締役校長。京都大学総合人間学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了(専門分野は、脳科学とイノベーション)。大学院在学中に、ひとり親家庭に対して動機づけ教育を行うNPO法人Motivation Makerを仲間とともに創業し、理事に就任。Boston Consulting Groupにて経営コンサルタントとして勤務した後、a.schoolを創業。探究学習の塾「a.school」を運営するとともに、様々な創造的な教育コンテンツの開発に携わる。自分自身も新しいことを学ぶのが大好き。一児の父。

きいろちゃん(木幡壮真):
a.school講師・プログラム開発・新規事業立ち上げ運営リーダーを務めるマルチプレイヤー。東京大学工学部卒。大学在学中、教育系ベンチャーにて中高生向け進路プログラムの企画・営業・運営のインターンを2年間経験。東京大学アントレプレナーチャレンジ2018では教育系サービスを考案し特別賞を受賞。同年11月よりa.school「なりきりラボ・おしごと算数」メンターを務め、2020年4月新卒でa.schoolへ入社。

すぎちゃん(杉野 亮介):
慶応義塾大学経済学部卒業。学生時代に学習指導やテニスコーチの仕事を通じて「人に何かを教えること」に没頭。一方、日頃から思考ゲームや数学パズルなどに高じる、根っからのロジカルシンカー。大人の教育を手掛ける企業に7年勤務し、子どもの教育分野へ転身し、算数・数学の魅力を伝えるべく活動中。a.schoolではラーニングデザイナーとして、「おしごと算数」の企画開発に携わるほか、2017年3月〜2019年7月は柏の葉T-site校の同名クラス講師も務めた。

ー 今回の「ロゴデザイナー」も、「コンビニ店長」と肩を並べる「おしごと算数」シリーズのザ・定番プログラムですよね。

いわたく:そうですね。おしごと算数を開発するにあたって、計算と並ぶ小学算数の二代巨頭の図形が一番活躍する仕事はなんだろうと考えて。ふと周りを見渡した時に、さまざまなロゴマークやサインに図形が見え隠れすることに気がついて「ロゴデザイナー」というテーマが閃いたんです。グラフィックデザイナーといったほうがわかりやすいかもしれません。

実際に目を凝らしてみると、洋服のタグについているブランドのロゴマークや道路の交通標識、商業施設で見かけるピクトグラム(「非常口」サインの類)など、図形の組み合わせでできたマークがたくさんあるんですね。

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すぎちゃん:そういうマークの図形的な特徴を観察してみると、さまざまな傾向や共通事項が見えてきて。例えば"対称性"。地図記号はその代表例で、線対称や点対称がいかされたデザインが多いんです。

「ロゴデザイナー」のプログラム全体をとおして、そうした身の回りのマークを事例に"対称"や"平行"などの図形の性質を学びながら、それらをいかしてマークを描くというプロセスを何回も繰り返すことで、図形感覚を体得します。

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ー 3年前のプログラム開発当初と比べてパワーアップしたところはありますか?

いわたく:強化したのは、デザイナーの技を盛り込んだことです。今回の改訂ではプロも実践する「企画→アイデアスケッチ→図形化→最終化」というロゴ開発のステップを組み込みました。

というのも今までは、お題を与えられていざマークを描こうという時に、せっかく学んだ図形の性質をうまくいかすことができずにただのイラストっぽい仕上がりになってしまう子も結構いたんです。まさに、知っているからといって使える(応用・活用できる)わけではないといういい例ですね。

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なので、知識を実践にうつすステップを細かく明確にすることで、子どもでも一つひとつの手順を踏めば図形がいかされたロゴが仕上がるように設計し直しました。

きいろちゃん:ロゴデザインの真髄は、単純さと伝わりやすさ。だから図形化が大きな鍵を握っているんですよね。でもいきなり「図形で描いてみて!」といわれてもぱっと思いつかないと思うので、プログラム前半に目の前のビジュアルを図形で表現するミニワークを採り入れました。これを繰り返すことで、「図形を組み合わせるだけで、シンプルな絵が描ける!」という実感を得てほしいですね。

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ー 性質が異なる図形を組み合わせてデザインする、というアプローチは子どもたちにとっても新しい発見かも。絵を描くことが苦手な子も、意外と採り入れやすいかもしれませんね。

すぎちゃん:実は、図形の性質に加えてもう一つ大事なことがあって。それが、図形の印象を考えるということなんです。例えば、丸(◯)と四角(◇)だったらどちらが優しい感じがしますか?三角(△)はどうでしょうか?

人々はものの形から自然と異なるイメージを受け取っていて、マークはそんな傾向を意識してつくられています。

例えば道路標識。逆三角形やダイヤの形など、下がとんがっているものは「不安定」な印象があるので注意を引きやすい。反対に、底辺が地についている四角形や逆ホームベース型は「安定」しているイメージで、存在確認・指示・案内の標識に使われているんです。

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きいろちゃん:授業では「丸ってどんなイメージがある?」と図形の印象についてディスカッションしてからマーク制作に取り組みますね。

ー 学校の授業では「◯はどんなイメージ?」なんて話し合い、しないですよね(笑)

すぎちゃん:おそらくこうした見方・考え方は、専門学校や大学でグラフィックデザインや建築を学ぶ時に初めて習うんだと思います。でも使うのは小学生レベルの算数なので、子どもたちにとって難しすぎるということはないですよ。

それこそ"マーク"そのものは古代から存在していて、印刷技術の誕生や産業革命などを経て発展してきたんですが、ロゴマークやピクトグラムが爆発的に使われるようになったのはここ100年くらいですかね。日本では東京オリンピックを境に一般的になったといわれています。

いわたく:コンピューターが発達して誰でも使える描画ソフトがたくさん出てきたのも、"マーク"の浸透に一役買っていますよね。

来年には全国の児童に学習用タブレットが配られるようなので、ぜひオリジナルロゴマークのデザインに挑戦してみてほしいです!

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