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あんたも結局は金か!


医局会で、スタッフが受講してきたセミナーを講師となって他のスタッフにレクチャーした。

その中で、「院長がスタッフに求めていることをみんなに話してください」と言われたので、少しばかり話してみた。


昔、SNSがない頃はメーリングリスト(ML)が流行っていた。

これが結構画期的だった、当時としては。

色んなグループがこのMLを利用していたわけだが、僕もあるMLに所属していた。

その中で他のメンバーさんと少し揉めた話をしたいと思う。

そういう話が嫌な方はここから先は読まないでもらえれば良い。


どんな流れだったのか忘れた、ある歯科衛生士さん(僕よりもかなり歳上)が噛み付いて生きた。

「あんたも結局は金か!」

いやいや、その言い方は無いでしょう?と思いながらも、当時は僕も30代前半だったので、その言い方、許すまじ!と思い応酬した。

何度かのラリーの末、僕は次のような内容を送った。


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ではお聞きします。

僕が必ず必要な経費があります。

スタッフが気持ちよく働いてくれるために、お給料と賞与のお金が要ります。

テナントに入っているので、テナント料が要ります。

開業するのに借金をしていますので、その返済のお金が要ります。

リースのものもありますので、そのお金も要ります。

歯科材料を買っているので、その代金が要ります。

新たな知識を得るために、セミナーを受講したいのでセミナー代が要ります。

テナントの光熱費も要ります。

それだけで恐らく300万円は必要だと思います。

僕の生活費は自分でなんとかしましょう。

その最低の300万円、あなたが出してくれたら僕はお金云々は必要としません。

お願いできますか?

僕も現代の赤髭になりたいものです。

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それっきり当人はMLに出て来なくなった。

代わりに彼女の友達の方が謝罪して来られた。


恐らく歯科医師に対して何か嫌なことがあったのでしょう。

しかし、表面だけ見てその裏を無くしてまくしられても困ってしまう。

実は、歯科医師はお金を持っていると思われがちだが、世間が思っているほど持っていない。

医師は病院勤めが出来るが、歯科医師は病院が極端に少ない。

よって、開業という道が殆どなのだ。

よって、現在ではコンビニの1.5倍も多いと言われている。


そんな中での過当競争、これは生き残りが大変なのだ。

そして、弱小企業だが、スタッフの扱いは大企業と変わらない。

労働基準法を改善して大企業と中小企業で分けて欲しいと常々思っている。

例えば、有給休暇。

100人いる中の1人が有給とるのと、3人の中の1人が有給とるのとは違う。

3人のスタッフがいる歯科医院で1人有給取るとすると、患者数を調整しなければならない。

ということは、売り上げも変わってくる。


こんなことを書いていると「あんたもやっぱりお金か!」と言われそうだ(笑)

でも、金なのだ。必要なのはお金。

それを自分のためだけに使っていたら死金。

しかし、出来るだけみんなが幸せになるような使い方をすれば生き金。

これが実は難しいのだが。


でもね、歯科医師も少しは贅沢させてやってほしい(僕を含めて)。

サラリーマンの方は会社が倒産しても次を探す可能性は残っている。

自営業者は倒産したら、即自分が責任をとらねばならない。

そしてその地雷はどこにあるのかわからないので、常にその覚悟をもって診療にあたっている。

医療事故を起こさないように・・・これは診療中ずっと緊張しっぱなしなのである。

また、経営者であり、理事長であり、人事部長であり、営業部長であり、経理部長であり、歯科医師である。

全てのことを一手にやっていかねばならない。

これもそうとうにきつい。

めくじらたてずに、少しくらいの楽しみはお許し頂きたい、というのが僕の思いだ。

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