#2 休肝日コラム『女装』
また飽きもせずに、一人で呑みに行った先の盗み聞きの話で申し訳ございませんが、2023年の師走に出会した会社の上司と部下のサシ飲みのようなシチュエーションからの盗み聞きをnoteに広げさせてもらいたいと思います。
気分的には、警察が犯人から押収した盗品をブルーシートの上に広げるような感覚で、丁寧にその一言一言を書き連ねていっております。故に、盗み聞きをしてるとはいえ、むしろこれは良いことなんだ!と言い聞かせて投稿していますので、もはや僕はそうですね、、、警察です。盗み聞きをする警察です。
その日のパトロールは、よくあるチェーン店の炉端焼き屋さん。ラストオーダーも近かったのでお客さんがそこまで居なかったためか、奥のテーブルへ通してもらいました。通路を挟み、その斜向かいに座っていた上司と部分さん。
「えぇ!?そうなんですか!?スゴいですねー!さすがです!」という、お手本のような合いの手とトーン(大切なのはポップなトーン)から、上司のことが本当に好きで尊敬している事が伝わる部下さんの背中と上司の満面の笑み。「そうなんだよ、あの時は本当に大変だった」と酒を呑む上司と同じタイミングで部下も呑み、そして僕も呑む。勝手に部下気分になりながらの至福の時間。
軽いつまみを肴にビールと酒を一杯ずつ飲み干したところで今日は帰るかと思ったその時、「最近ね、女装に興味を持つ人が増えている理由を本で勉強しているんだ」という上司の声が飛んできました。
タブレット画面の"お会計"を押そうとした手をすぐに止め、ドリンクメニューから"日本酒"をタップ。冷酒常温熱燗の内から"熱燗"を選択し、熱燗が到着した位のタイミングで「最近はね、私もスーツの下は見えなくなるからルーズソックスを履いているんだ」と上司も女装を始めている事をカミングアウトし始めました。
そこから何回"熱燗"をおかわりした事か。「爪を綺麗に見せるために光沢が出るケアをし始めてるんだ」と聞こえてきたと思えば「だからでしたか!たしかに綺麗な爪をされているな〜と思ってました!」と、常人なら戸惑うであろう上司の告白に対する見事な返答。ちびちび呑みたいのに、酒が進む進む。
止まらぬ上司の女装ロードは好みの香水を発表タイムや、取り置きしている紙袋の話まで発展していき、意を決したように姿勢を正し、「だからねー、年始は皆んなで女装をしようじゃないか!」と謎の提案をし始めました。
口元に持っていくお猪口の手が自然と止まり、一瞬の静寂のあとに聞こえてきた部下の返答は、「すみません。年明けは女装を禁止されてまして、、」という謎の提案に謎の言い訳を重ねる見事な返しではありました。
2024年も上半期を終えました。下半期、またあの炉端焼き屋さんに行った際には聞き覚えのある上司と部下の声が聞こえてきて、その会話の先に目をやると、女装の二人が呑んでいたら最高だなぁ〜と、思いを馳せる休肝日。
にほんしゅ・あさやん