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2024年を振り返る

今年もあと僅か残すのみ。
巡礼の記事の筆を休め、今年の自分を振り返った記事を綴ることにしました。


思うに今現在の自分に至るには昨年の夏から始まっていました。


サブレットして借りたアッパーイーストのアパートからモーニングサイドハイツのコンドのマスタルームに引っ越しして14年目に突入した2023年。
コンドのオーナーから夏までに退去して欲しいと言われた。
理由は高齢になった母親の面倒を見るのに仕事の傍らでのコンドの管理もするのが困難になってきて不動産屋に相談したら一部屋ずつ貸すよりも家族に貸す方が良いという提案をされたからだと。

ニューヨークでの生活が10年過ぎたあたりからこの街での生活にひと区切りをつけようと思ってた。仕事でのストレスはかなりあったものの、もう一歩を踏み出すきっかけがなくて数年が過ぎていた中でのこの退去通告は背中を押された感覚だった。



サインだと思った。



とは言え、春を過ぎてもニューヨークを出てどこへ行くという場所は決まっていなかったのでとりあえずニューヨーク内での引越し先を探した。
一人暮らしのアパートにするか、部屋を間借りするかで最終的にアッパーウエストにアパートの一室を見つけて借りた。
家賃は上がったけど、部屋は今までの3分の1、バスルームもシェアで、ビルは古く、エレベーターもなし。おまけにランドリーは外に行かなくてはならないと言うマイナスだらけの条件。
それでも選んだのは:

  • 家賃が予算内

  • 家具付き

  • 6ヶ月以上の契約であればいつ出てもOK

  • 駅から近い(仕事場までもたった3駅)

  • アッパーウエストという好立地

だったから。
一年契約に縛られず、部屋も狭くなったことで私物を減らして動きやすい自分を作れると思った。


引越し先が決まった翌月の6月、昔読んだパウロコエーリョの星の巡礼がふと蘇った。


2番目のサイン。


引越しの日、荷物を整理してたら新しい部屋の空っぽの箪笥の中からユーロのコインが出てきた。


3番目のサイン。


偶然を偶然と捉えるか自分へのメッセージと捉えるか。
僕はこれは自分へのメッセージだと思った。


スペインに巡礼を歩きに行こう!と決めた。


そこから巡礼の旅に向けて行動をし始めた。
春先に辞職の旨を仄めかしてはいたけれど、再度12月に2024年3月末の退職の意をボスに伝えた。

2024年3月31日に仕事を辞め、3日後の4月3日にSevillaへ飛び、
4月6日に巡礼スタートして5月16日にSantiago de Compostelaに到達。
その後FinisterraからMuxiaまで歩いた。
全部で1,123.4km。
言葉では表せられない達成感と満足感。
そしてめちゃめちゃ楽しかった。



サンティアゴ巡礼の感動冷めやぬ中、6月に数日だけニューヨークに戻り、近い友人達に別れを告げて15年ぶりに南カリフォルニアに移り戻った。



ここでまたゼロから始めようって思った。



でも15年ぶりのカリフォルニアの生活には馴染めなかった。



離れたばかりのニューヨークには後ろ髪を引かれていたけど、一年中気候が良くて、仲間がたくさんいるこの南カリフォルニアに魅力を感じられない自分がいた。



孔子は、


「三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る。」


と説いたが僕は五十を過ぎても迷っていた。


自分がこの先どうしたいのか、アイデアは浮かぶものの本当にそれなのか、それはここでしたいのかの判断が全くできなくなっていた。


そんな時、巡礼で知り合ったアメリカ人のエリザベスからこんなテキストが来た:
”Any ideas about plans after el Camino?"


僕は
”Not exactly"
と答えた。


エリザベスは
"What the hell! Longest Camino and no answers lol"



ほんとに、


エリザベスの言う通り。


あんだけ歩いたけど分からなかった。
Should I walk more?
と自分に問いかけた。



Life is tough.



それでも自分が分かってたこと。



カリフォルニアは今の自分の場所ではないってこと。



では自分が求めているのはどこなのか?



それは





スペインだった。




この年にしてあまりにも無謀な行動だと言うことは百も承知しているけれど、今の自分がしたいのはこれしか無い、今の自分が居たいのはスペインしか無いと思った。




23歳でアメリカに移り、約30年を経た52歳にしてまさか他の国に住むことなんて想像していなかったし、自分自身にめちゃめちゃ呆れているけど、






これが僕の人生。






7月末から学生ビザの申請を始め、10月に1年間の学生ビザを取得。
10月末にスペインに移り、現在語学学校に通う日々。
スペイン語はニューヨークにいた頃から勉強してたので中級レベル。
学校に行かずとも生きていけるけど、それでも学生ビザにしたのと語学学校なのはこちらに来るのに一番手っ取り早く、コストが抑えられたから。
無職の上に十分な貯蓄もあるわけではないが、1年間は贅沢しなければ働かずともなんとかやっていける。


今回のスペイン移住するにあたり、最も大変だったのが



80歳を過ぎた母に伝えること。




この歳になれども勇気がいった。いや、僕に取ってはむしろこの歳だからこそかも。何せ仕事辞めてスペインで仕事も見つけてないのに行くんですから。ニューヨークからカリフォルニアに移って一月足らずでは流石に言えなかったので、スペインに行く数週間前に知らせました。



呆れてはいなかったけど、母が口を開いて最初に言った言葉は、



あんたはいろんな所に住むねと。



そして




あなたの人生だから生きたいように生きなさいと。




人に迷惑だけはかけずに今を頑張って生きなさいと。



世の中の僕の年齢であれば本来母に孝行しているべき歳。



親孝行でなく、逆に母に心配ばかりかけている自分。



来年の今頃は仕事をしてバリバリ頑張っている自分を母に報告できるよう、2024年最後の日に心に強く誓った。


仕事を辞め、スペイン巡礼し、15年住み慣れたニューヨークを離れ、カリフォルニアで居候生活をし、学生ビザを取得してスペイン移住。


充実したと言う言葉は適当では無いけれど、2024年は僕のターニングポイントになった年であることは間違いない。そしてこの年に僕が取った様々な選択がいつか将来良い選択をしたと思える日が来ると信じています。



来年へと持ち越しますが、引き続き巡礼の記事を綴るつもりですので読んでいただけると嬉しいです。


良い年明けを!









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