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もっと寒くなれと願った日

「めっちゃ手冷たいねんけど」

寒い日だった。風が強くて手が冷えた、ということにしたかった。

2月に神戸に行った。三宮でお財布選びに付き合って、須磨に向かった。ただ、須磨に行ってから何をするか全く決めてなかったのでなんとなく地図で調べて出てきた須磨浦公園に行くことにした。道あるやろーと、海岸沿いを歩いた。しかしゴツゴツとした岩があり、足場が悪い。なんかあったら助けてなーと伝え、歩き続けた。

途中で、釣りのスポットような場所があった。海が綺麗に見える場所だった。しかしそこに行くには石から水面を飛び越える必要があった。また、その足場となる石はぐらついておりちょっと怖かった。その時、無言で手を差し伸べてくれた。しかし、自分は照れが勝ってその手には触れずに自力で飛び越えてしまった。

それ以来、手が差し伸べられることはなかった。わたしはとても後悔した。あの時手を握っていたらどうなってたんだろう、手を握らなかったことで好意がないことになってるんじゃないか、と。

須磨浦公園についた。なんかよくわからんカーリフトとかなんとかに乗って山を登った。しかし寒かったのですぐ下山した。

時間があったのでドーナツとカフェラテ片手に須磨海岸へ。その時に3/4-3/5に旅行いこうよ、と誘ってくれた。嬉しかった。でもこれは友達として?なのか?フットワークが軽すぎる故に何も気にしないタイプなのか?この人は?と思った。ただ心の中ではルンルンで、すごく嬉しかった。

あったかくなってきたとはいえ、2月初旬。やっぱり寒かった。なあ、手冷たいねんけど、と手を差し出したら、手を差し出してくれた。ほんとは思いっきり握りたかったがやっぱり照れたのと、これで手を解かれたら失恋して病んでまうと思い、勇気が出なかった。海岸で歌ってる人たちの声を聞きながらその場を後にした。

三宮でご飯を食べた後、少し散歩したいねって話になったので、ハーバーランドの辺りまで行くことにした。なんの話をしたのか全く覚えてないが、BE KOBEの前まで行って、駅まで戻った。でもまだ話したかったので、東へ進むことにした。

なんかその日は手を繋ぎたかった。手を握るチャンスはたくさんあったし、多分、手冷たいー!という口実以外に手を握る方法はたくさんあったと思う。けど、勇気が出なかった。また昼間のように手が冷たいって話をした。手を握ってくれた。嬉しかった。手を握りながらあの駅が春日野道なのか灘なのかどっちなのかって話をして手に意識が集中しないようにしたが、恥ずかしくて結局手をちゃんとは繋げなかった。

結局あの駅は春日野道だった。個人的にはもっと歩けたが春日野道で帰ることになった。もう無理なのかな、と思った。ほんとは次も会いたかったけど、勇気が出なかった。またご飯とか誘って、と言って電車に乗り込んだ。

帰ってから勇気を出して、手握ったらよかったわ、寒かったから(冗談)!と送った。全く冗談ではない。本気である。まあでも保険をかけたくて加筆してしまった。それなら、また今度にとっとこ、って返事が来た。舞い上がったのかほっとしたのか、その日は寝落ちした。

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