稽古場日誌 #08(ラスト)
「明後日の方向」のnoteにようこそ!『赤目』演出助手の植田です。
『赤目』稽古場(振り返り)日誌も今回で最後です✨
演出助手&若手という立場から全体を振り返って、またこれからの「明後日の方向」でやったら良いのではと思うことを書きました。
”いろんなひと”が参加できる演劇?
現場で眺めていて私個人が感じていた正直なところですが、いくら事前にオンラインで顔を合わせていたとはいえ、対面での稽古が2週間しかないのはかなり大変だと思っていました。フィジカル多めの劇で、(週1休みがあるとはいえ)2週間一日中稽古して、衣装も合わせて、小道具も考えて……。
その反面、今回ひさ枝さん(蔭山ひさ枝)・カミケン(上条拳斗)・たろちゃん(高田遼太郎)のような各地の俳優さん、直江さん(直江里美)・演出助手のヒザイさん(ヒザイミズキ)のように子供がいる方と東京で演劇をすることができたのはそのおかげでもあると思うのです。
このバランスって難しいな、どう考えたらいいんだろうと思っていたのですが、運営で振り返りをした時にヒザイさんが「多様性を担保することは、既存の枠組みに上手くはまっている人からしたらやりにくくなる。でも多様性を担保しないと、そもそも排除される人がいる」と言っていて、なるほどそういうことか!と思いました。
よく考えたら当たり前なんですけど、こうやって言葉にしてみるとものすごくはっきりしますね。
私自身は東京在住だし仕事も比較的フレキシブルにできるし家族がいるわけでもないし、どちらかに分けたら”既存の枠組にうまくはまれている方”だと思うので、そこにあぐらをかかないよう、せめて自覚的でありたいと思います(死ぬほどしんどくなるまで頑張る必要もないけれど)。
ちなみに、オンライン期間を経て対面稽古という流れは、対面になった時の初対面ならではの煩雑なあれこれ(「あっ、どうも」みたいなやつとか)があまりなくてよかったし、事前に戯曲読解をしっかり進めたことで、立ち稽古になってからの認識のすり合わせが少なくて済んだので、かなり有効な方法ではないかと思いました。
”実験”をするには?
対面稽古についての記事にも書きましたが、
安心して様々な実験を行うにはやはり、互いへのリスペクトと、フラットな環境であることが重要だと思います。
この環境を「今回の稽古場では偶然できちゃった、ラッキー😗」ではなく、次回以降や他の現場でも実現できるように、何が要因だったのかを考え続けるのは重要だし、私自身も考え続けていきたいですね。
すごく基本的なことですが、今回の座組は”人の話をちゃんと聞く”人ばかりだったのが、本当によかったなあ……。できない人って実は結構いますもんね、自分も気をつけきゃいけないけど。
「明後日の方向」のこれから
『赤目』は一旦終わりましたが、「明後日の方向」はまだ始まったばかり。最後に今後こんなことやったらいいんじゃないかなーと私が思うことを、情報・ノウハウの蓄積と共有という視点から書いてみます。実際にどうなるかはわからないしあくまでも理想ですが、目指すだけいいじゃない。
今回の『赤目』然り、「明後日の方向」は今後もいろんな実験をしていくと思います。それは稽古期間・方法かもしれないし、戯曲の選び方や上記のフラットな稽古場作りかもしれないし、ハラスメント対策など、安心な創作環境作りの土台となることかもしれない。とにかくいろいろやっていくと思うし、やれたら良いと思います。
ただ、それをやってみてはい終わり、ではあまり意味がないのではないでしょうか。実験して、振り返って、改善してまたやってみて……の繰り返しを積み重ねてこそ、「実験」は有意義なものになると思います。
さらにいえば、その実験の過程と結果の繰り返しを、今後の演劇のあり方を考えていく上での一例として、「明後日の方向」の中だけではなく、リアルタイムで座組の外にも共有できたらベストだと思います。
別にそれって誰かが独占するものでもないと思うし、それによってより良い創作ができるのあればじゃんじゃんシェアしようよ、と思いませんかー?(そう思って後半は、やたら文字の多い稽古場日誌が出来上がっていたのです✒️)
というわけで公演終了から1ヶ月もかかってしまいましたが、2021年の『赤目』の稽古場日誌はこれでおしまいです。いかがだったでしょうか🐇
長々とお付き合いいただきありがとうございましたー!
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演劇サークル「明後日の方向」は何やら既にいろいろ始まっているようですので、今後もお楽しみに✨
「明後日の方向」の活動の今後などに興味を持っていただけましたら、ぜひこのnoteとTwitterのフォローもよろしくお願いします。
「明後日の方向」について、主宰・黒澤世莉が語る記事はこちら👇
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