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廃ダム・大谷堰堤 前編
近場に何か訪問して見るべき土木構造物がないかと思い、土木学会のこちらのリストを見ているとき、山口県下松市にある大谷堰堤(えんてい=ダム)というダムの存在を知った。
ランクBの産業用ダムが近所にある!
しかも、どうやら廃ダムらしい。
これは私が訪問しなければならないだろうと思ったが、近所ゆえにいつでも行けると放ったらかしにして時間が経過した。地図を見る限り特段行きにくい場所とも思われないし、ネット上にも写真はたくさんあるし、これと言ったキッカケがなかったのだ。
しかし最近になって、下松に行くお仕事が入ったので、これ幸いとばかりに平日真っ昼間の廃ダム探索を行ってきたわけである。地図上の計測では駐車予定地点からダム下端までは約400mの短い道のり。大変なことはなかろうとの予断を持って。
今回は探索ホヤホヤ、撮って出しの小レポートをお届けする。やはり、ネットにあるから行かなくていいというわけではなかった。
大谷堰堤は、JR下松駅からほど近い山中にある。
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ダム湖の規模は溜池というにふさわしく小さいもので、またダムの一般的イメージと異なり市街地のすぐ近くにある。これは産業用ダムという特性ゆえだろう。下流域の瀬戸内海沿岸には東洋鋼鈑や日立製作所などの大工場が操業しており、ダムとの関連性を窺わせる。
それでは現地へ。
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国道188号の高架をくぐってしばらく進んだ所に墓地があり、ここから探索スタート。地理院地図では沢沿いに道が描かれており、道なりに進むとダム堤体と出会うように描かれている。
私は墓地に車を置いての探索だが、この墓地に至るまでにはものすごく幅の狭い小橋がある。私はドアミラーを畳んでそろりそろりと進み何とか事なきを得たが、3ナンバーの車はかなりギリギリなので注意してほしい。
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墓地の看板があり、その右には写真のとおり新しいハイキングコースの案内がある。探索がつまらなくなったら嫌なので敢えて見なかったが、ハイキングコースならさほど大変な場面はないだろうと安心した。なにせ、今日の私の装備は革靴である。
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墓地を出た所で、車で通ってきた道を振り返る。国道188号の高架と、そのずっと向こうの海まで見える。白いガードパイプがあるのが先程言った狭い小橋である。
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同じ場所から、進むべきダム方向の道を見る。溜池から流れてきた水だろうか、沢の清らかなせせらぎ。それと対照的な、右手のゴチャゴチャした小汚い建物。
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廃墟じみた風貌だが実態は不明の建物だ。なかなか情報量が多い。
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沢沿いの道を進んでいく。左に椿、右に汚い廃屋という対比の妙。
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沢を跨ぐ小さな鉄製の人道橋の先は、封鎖された日立製作所の施設のようだ。ダムも日立の施設である可能性が俄然高まった。
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さらに少し歩くと、今度は明らかな廃屋と、左に再びの封鎖。
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ここも日立の施設である。使われなくなって相当期間経過しているらしく、看板は色あせゲートは藪に侵食されている。
廃屋は元は民家だろうか。立ち入りは遠慮しておく。
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廃屋を過ぎて振り返る。赤白の煙突が見える。
ここまでは非常に歩きやすい道だった。ハイキングコースというだけあってきちんと管理されているのだろう。ずっとこのペースで行ければいいのだが(フラグ
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進行方向に向き直り、この道を進む。勾配は緩やかな登り。快調に進んで行くよ。
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ここで分岐が出現!現在地はこの★のところ。
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開始地点からここまで距離にして約150m程度である。ダムまでの行程の4割弱は消化した。
で、分岐であるが、Googleマップの事前情報によると、沢をまたいで行く徒歩道の先に不動尊があるそうだ。不動尊へは赤色の手すりの方へ降りて、小さなコンクリート橋を渡っていくのだが、あの手すりの様子は何だ。
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一部の手すりが引き抜かれて倒されたような無残な姿を晒している。地面に手すりを据え付けるパイプみたいなものが見えるから、元はあそこにはまっていたはずだ。分岐の先の状況が心配される。帰りに寄り道してもいいかもしれない。
ダムへの道は右の上りの道なので、まずはそちらへ進むぞ。
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こちらが右の道である。足下の石が大きくなってきて、しかも泥濘んでいるため、非常に歩き辛くなってきた。登りの勾配は相変わらずきつくないが、怪我防止のため歩行ペースを落とさざるを得ない。革靴なもんで。そして前方のあれは、倒木だよな。
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右手の崖上から倒れてきた倒木だ。この道は地図上は軽車道となっているが、この状況では車両は通行できない。徒歩の私は木の下をかいくぐって前進する。
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なお、この位置から左を見ると、沢の向かいに建物が見える。正月のしめ縄飾りがしてある。あそこが不動尊だろう。
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少し行くとまた倒木。管理状況が心配されるが、歩けないことはないのでいいのかな。
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特に語るようなこともない山道を進み、沢を渡る位置まで来た。導水管のようなパイプが一緒に沢を渡っている。
現在地はこの辺り。開始から約320m進んできている。あと80mほどでダムに到達できるはずだが、未だ気配はない。
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ところで、上記地図にも書いたが、私は沢を渡る橋を1つ見落としてきたことに帰宅後気がついた。そこで写真のGPS情報と地図情報とを照合して検証したが、どうやらこの橋は、
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ここ笑。
この左の激薮の中にあるようだ。意味ありげなポールみたいなものが橋の所在を示しているのかもしれない。まあ、この状況なら渡らないし、見えなくて当然だし、橋のことは忘れよう。
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現在地から歩を進めると、今度は沢を右手に見ながら歩く道となる。するとこの辺りに、
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大量のミカンの皮が投棄されているではないか!
最初、ハイキングに来た何者かが投棄したものかと思ったが、それにしては数が多い。しかも皮の剥き方が人間らしくない気がする。手を使わずに齧り取ったような。
恐らく動物、具体的にはサルではないかと思った。折しも最近、岩国市玖珂町で人を襲っていたサルの話題があったことが想起された。見た所、投棄された皮はそう古くはなさそうだ。
おいおいサルの襲撃は勘弁してくれよ。こちらは仕事のついでに寄っただけの丸腰のオッサンだぞ。当然、探索道具の熊スプレーも今日は持っていない。
少し首筋が涼しく感じられたが、今のところ近くに生き物の気配は感じられない。前進を続けることとする。
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前方に分岐と白い看板が見えてきた。
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親切すぎて草も生えない。
いや、ハイキングコースだから案内があるのはいいのだけど、写真は余計じゃないか?初見の楽しみを残しておいてほしいよ。
ともあれ、分岐を右にあと1分ほど進めばダム下に到達できるらしい。ダム下を堪能した後は、ここへ戻ってきてダム上へつながる左の道に進む予定だ。では行こう。
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道幅が狭まってきた。
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再び石がゴロゴロしだす路面。だがわずかな距離だ。ここからたった数歩進めば、
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見えてくる!
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大谷堰堤の威容が。
次回はダムを愛でてから堰堤上部を目指す。