「ビジネスプロフェッショナルの教科書」朝時雨読書感想記
僕はビジネスがよくわからない。基礎知識もない状態でこの本を読むのは難しいと感じた。ただし身につけておくべき知識の欠片が手に入ったような気がする。今回はそんな知識の欠片を紹介しながら本の感想を述べていこうと思う。
事実・仮説・主張に分ける
本の冒頭では、日本の人口減少は出生率の低下が原因なのかという問いかけがあった。私自身この考えに違和感は無かったのだが、筆者はこの考え方は正しくないという。出生率や人口のデータが昭和初期で切られていることと、年齢別の死亡者数のデータからわかる医療技術の発展を考慮して「出生率が減少したことが人口減少の原因である」と言う仮定が楽観的であることを示した。
事実と仮定はよく混同されている。加えて今のメディアやSNSを見ていると、あらかじめ決まっている仮定をもっともらしくするために都合のいい事実だけを見つけて伝えていることが多い。話の聞き手は、話の仮定を見つけだし、自分たちで事実を見つけていかなければならない時代になっているのだと思う。
マーケティングの基礎
バリューチェーンの話から始まり、MECE、4P、Mimicなど様々なツールの説明がなされている。説明には実際の企業の行動が紹介されていたりするので理解しやすいものとなっていた。
財務諸表を理解する
ここからの話は私には難解な部分があった。知らない単語が多く登場していたので自分の基礎知識のなさを痛感した。財務諸表は数字がズラッと並んでおり、なかなかとっつきにくい印象を受けたが、本著では項目ごとに著者の考察が論理的に行われており、少しだけ拒否感が和らいだ。これからは社会人として働くわけなので、こういった表を普段から見て自分で考えることをしていきたい。
はじめにPL(損益計算書)、次にBS(貸借対照表)、最後にCF(キャッシュフロー計算書)の読解法が紹介されていた。
PLとBSの説明は、アスリートに例えられていた。PLは競技の結果で、BSは結果を生み出す体であると説明している。CFは現金の流れと表現されており、PLをきれいに見せるための粉飾操作は、CFを見ることによって見極めることができると説明していた。
ファイナンスの基本
企業価値を評価するための純資産法、時価総額などのイメージの仕方について簡単に紹介している。それぞれの数字を比較することで、今後成長すると判断されているのかどうかがわかっていく。普段何気なく聞く企業のそういった数字を見てみることも大事であると感じた。
マクロ経済
日本や中国、新興国などのGDPを分析し、人口比などで考えて見たりなど、数字を自分にとってわかりやすく加工する工夫について触れられている。また、章は「マクロ経済」だが、ミクロ経済の消費行動についても紹介されており、消費者の心理的行動が与える影響の大きさに驚いた。
まとめ
最初のロジカル思考ツールの話は非常にわかりやすかった。財務諸表の話は難しく感じたが、実際の企業の資料を元に考え方が紹介されていたので、イメージしやすい形となっていた。資料の中の数字を分析し、考察することがなかったので、普段から数字を見たときに、自分の中で仮説を立てて考えることをしていこうと思った。