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ボトルアクアリウムでの飼育を"おすすめしない"生体/水草特集

さて、近年人気が高まりつつあるボトルアクアリウム。
せっかく作品を完成させたのなら、生体を入れたくなるものですよね。

インターネット上では、おすすめの生体として様々な強健種が紹介されていますが、実際には環境さえ整えればより幅広い種を飼育することが出来ます。

では逆に、あまり飼わない方が良い種は何なのか?
個人的な知見のもと、生体/水草それぞれ紹介しますね。

*環境や個体差によってはこの限りではないです。あくまで参考程度にお願いします。

生体

ベタ(雌雄問わず)

ボトルアクアリウムと言えばベタ!という人も多いので、いきなりこの名前が出てきた事に驚いた方もいるかもしれません。
勿論、ラビリンス器官を持つため低酸素に強く、ボトルアクアリウムの環境に適していることは言うまでもありません。

しかし、ベタには大きな欠点も存在します。
それは、気性の荒さから来る混泳のしづらさ。

オスベタは勿論ですが、メスベタも積極的にエビを捕食する印象があります。
基本的に単独飼育になるため、他の熱帯魚は勿論、タンクメイトとの混泳が出来ない事が非常にデメリットとして大きいです。

生物濾過が環境整備の中心を担うボトルアクアリウムにとって、タンクメイトとはフィルターそのものです。水質維持の難易度が高まるので選出しました。

アメリカン・シクリッド全般

アピストグラマ、ラミレジィ等…。
外見が美しく、コレクション性もあるので様々な層に人気な熱帯魚ですが、ボトルアクアリウムで飼育する際には癖があります。

まず第一に、気性の荒い種が多いこと。
狭いボトルアクアリウムの環境では、縄張り争いも苛烈になりやすく、混泳相手の調子を崩すことがあります。

第二に、高水温を好むこと。
ヒーターを使えば温度管理自体には苦労しませんが、エアレーションを使用しない事も多いボトルアクアリウムの場合、高水温では溶存酸素量が減るため、酸欠になりやすくなります(まあ、微々たる差ではありますが…)。

個人的な感覚ですが、ボトルアクアリウムは通常の熱帯魚水槽よりも若干水温低めの方が断然維持しやすいです。

バジスバジスの仲間

スカーレットジェムを代表とするグループです。
小型魚にも関わらず、その美しさや泳ぎ方に心を奪われた方も多いと思います。

しかし、このグループは人工飼料による餌付けが難しいです。
基本的に生餌になりますが、ボトルアクアリウムでは給餌による水質悪化に十分気を付ける必要があり、従っておすすめできません。

デルモゲニー、ハチェット、クラウンキリー

上層部を主に生活圏とする種です。

飛び出し事故が頻発するため、ボトルアクアリウムでの飼育はおすすめできません。

蓋を使用すれば飛び出し事故自体は防げますが、ボトルアクアリウムの場合鑑賞性を大きく損ねますし、水上部分に植物体を配置することで、濾過性能を高める効果もありますので、得策ではありません。

また、ボトルアクアリウムのように水面部分の面積が狭い環境では、縄張り争いが苛烈になる傾向があります。

ブラックモーリー

雑食性のため、油膜や藍藻対策として重宝する種ですが、小型熱帯魚とはいえ若干サイズが大きいため、ボトルアクアリウムには適しません。

メダカを除く日本淡水魚

身近に存在する魚で、水温/水質の適応範囲も広いので、採集して飼育してみたくなる人も多いかと思います。

しかし、メダカを除く日本淡水魚は一般に日本の流れの速い河川に適応している種(遊泳力が高い)なので、ボトルアクアリウムのような止水環境には適しません。

さらに、一見地味で小柄な印象を感じますが、成長するに従って全体的にサイズは大きくなり、糞の量も多くなる為、繊細な管理が求められるボトルアクアリウムで飼育すると環境が崩壊する可能性が高くなります。

底生魚も全体的に潜る傾向が強いので、レイアウトが崩壊します。

ビーシュリンプ

何となく察せるかと思いますが、水質にうるさいのでボトルアクアリウムには適しません。高水温に弱いのも致命的です。

ヤマトヌマエビ

コケ取り能力が高く重宝されますが、水草の食害が多く、脱走名人でもあるので、ボトルアクアリウムでの育成には工夫が必要です。また、サイズも大きいため、メイン生体以上に目立つこともしばしばあります。

オトシンクルス

タンクメイトとして有名ですが、人工飼料に餌付きにくいため、ボトルアクアリウムのような狭い環境ではすぐにコケが無くなり餓死する可能性が高くなります。

ラムズホーン

一般的にスネールは忌み嫌われがちですが、ボトルアクアリウムのような繊細なレイアウト水槽の場合、体の小さいラムズホーンにタンクメイトの役割を担うことは有用です。
しかし、必要以上に増えすぎて観賞価値を損ねたり、場合によっては器具の併用により他の水槽に流出することもあるので、推奨できません。

上手く個体数をコントロールして共存することも不可能ではありませんが、無難にもう少しサイズの大きい貝類の選択をお勧めします。

水草

ブセファランドラ

こちらは近年人気が高まりつつある陰性水草。
清潔/冷涼/安定/水流を好みますが、ボトルアクアリウムではその全ての条件の真逆を行くため育成が極めて困難です。
大抵の場合溶けるかコケに覆われます。

赤系水草

レイアウトのアクセントとして効果的ですが、その美しさを最大限引き出すためにはCO₂添加と十分な肥料が必要になるため、ボトルアクアリウムでの育成には適しません。

一部ルドヴィジア等の比較的丈夫な水草も存在しますが、他にもっと手軽に育成できる種が多い現状、積極的に採用する必要性はないと思います。

白系水草

最近は組織培養でよく見るようになりましたが、かなり癖が強いグループなのでおすすめできません
白色というのは、光合成に必要な葉緑体が殆ど存在しない事を意味します。適切な育成方法が未だに確立されていません。大抵の場合、枯れるか色が戻ります。

リシア

気泡を付けた姿が大変美しく、観賞価値の高い種ですが、照明、CO₂、肥料共に要求値が高いため、ボトルアクアリウムで適切に管理するのは難しいと思います。

キューバ・パールグラス

リシア同様、前景草の中でも育成難易度は高めですので、ボトルアクアリウムでの採用はお勧めできません。

ウォーターローン

同上です。

アナカリス

この種は大変丈夫であらゆる環境に適応するため、初心者向け水草としてよく紹介されています。しかしながら、蛇行しながら成長し、そのスピードも早いため、レイアウトには使いづらい水草です。
さらに水中根も良く出て、茎が不自然に目立つのもあり、鑑賞目的での導入は避けられる傾向にあります。
おまけに差し戻し時の根張りも弱いです。

必ずしもダメという訳ではない

以上、ボトルアクアリウムでの飼育をおすすめしない種を紹介しました。

しかしながら、これらの種は必ずしもボトルアクアリウムでの飼育が不可能という訳ではありません。
工夫次第で幾らでも育成できると思います。

アクアリウムの歴史は常に、未知の領域に手を出した人間が常識を覆してきました。難しいと言われている飼育方法で試行錯誤してみるのも、アクアリウムの楽しみ方のひとつです。私はそれを否定するつもりもありません。

ベタの混泳、日本淡水魚のボトル育成、アナカリスをふんだんに使ったネイチャーアクアリウム…。

そんな水槽を片手に、常識を否定してくれるアクアリストが現れることを期待して、この記事を綴じることにします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

おわり

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