ディズニーランドであった心温まる物語【第8回 最終回】
こんにちは。あさ出版noteにお越しいただきありがとうございます。
緊急事態宣言が終了しても蔓延防止措置などによって、引き続き入場制限がかかり、なかなか行くことが難しくなってしまっている「東京ディズニーリゾート」であった、心温まる物語を、今回もお届けします。
今までのお話しは、こちらからご覧いただけます⇓
今回でディズニーランドのお話しは最後になります。
新型コロナの影響でディズニーランドが休園となったときは、大きなニュースとなりました。
実は、以前も休園となってしまったことがあります。
東日本大震災の後です。
今回はその後、再開を迎えた「ディズニーランド再会」というお話しです。
ディズニーランド再会!
2011年3月11日に起きた東日本大震災後、東京ディズニーリゾートは営業を見合わせることになりました。
開業以来、ゲストに夢と感動のサービスを提供し続けてきたディズニーランドが休園せざるをえなくなる――。そんな事態が起きるとは、想像もできませんでした。
東京ディズニーリゾートがある浦安市は、震災の影響で地盤沈下、液状化、断水、計画停電がありました。
最寄り駅であるJR舞浜駅の周辺は、地盤沈下で道路や歩道に亀裂が入り、バス停は斜めに曲がってしまいました。液状化によって地面から出てきた泥が乾燥し、細かい砂が舞うため、マスクをして生活しなくてはならない状態に。
地域によっては家ごと傾いてしまったところもあり、何日も風呂に入れず、歯も磨けずと精神的にも厳しい状況に、夢の世界とは程遠くただただ目の前に起こった現実に、言葉を失うばかりでした。
浦安市の中でも被害の少なかった地域に住んでいた我が家では、水の出ない家の友人が風呂に入りに来たり、水を汲みに来たりという生活が数週間続きました。
これだけの未曾有の出来事が起きてしまったのだから、ディズニーリゾートの年内再開は難しいのではないか。そんな声も聞こえてきましたが、それでもやっぱり早く再開してほしい……と、私は心のどこかで願っていました。
震災から約1カ月
震災から約1カ月が経過した頃、東京ディズニーリゾートのオフィシャルサイトに変化がありました。運営の情報が更新され、
4月15日に、短い営業時間にはなるものの、
営業を再開するとのメッセージが!!
4月15日――。
この日は東京ディズニーランドが開業した日(1983年)で、ディズニーファンの私にとって大切な日でした。
再開当日、私は開園一時間前に東京ディズニーランドのエントランスに到着しました。
入園ゲートには、すでにたくさんのゲストが列をなしていました。その列に加わり待っていると、開園15分前、あの震災前と変わらない光景が目の前に現れました!!
ミッキー、ミニーをはじめ、ディズニーのキャラクターたちが、開園を待っているゲストのところへ挨拶をしに来たのです。
「ミッキー!」
「ミニー!!」
ゲストたちから歓声があがり、拍手も聞こえてきます。
カメラで撮影しながら涙を流す人、お友達同士でお互いに手を握ってキャラクターとの再会を喜ぶ女の子たち。
「やっと会えた││」
入園を待っている誰もが、一つになったように感じた瞬間でした。
久しぶりの再開
8時ジャスト。
すべての入園ゲートが開き、園内へ。
働いている時も、辞めてからも、何度も何度も訪れたディズニーランド。
ところが、そこにはいつもと違う光景がありました。
ワールドバザール(ゲートの前に広がっているお土産屋さんのエリア)の通路の両サイドに、ここで働いている大勢のキャストさんがズラリと並んで温かく手を振り、ほほ笑みながら、私たちゲストを迎えてくれていたのです。
ゲストとの再会を喜び、うれしそうに満面の笑みを浮かべているキャストさんもいれば、「ただいま!!」のゲストの声に「お帰りなさい」と答えるキャストさんもいます。
中には涙を浮かべているキャストさんも。
その心からのやさしい笑顔に私の心も熱くなり、手を振り返しながら、思わず涙してしまいました。
来園されたお客様の中には、私と同じように一日でも早く、ディズニーランドの再オープンを心待ちにしていた人たちも多くいたのだと思います。
園内は照明こそ節電で控えめではあったものの、震度5強という大地震があったことを微塵も感じさせない景色が広がっていました。以前と変わらぬ笑顔で迎えてくれるキャストさんたちに、大勢の人が救われたのではないでしょうか。
あの3月11日から、時が止まったかのように暗かった日々が少しずつ色を取り戻していった、そんな気持ちでした。
その年の夏は、たくさんのゲストが東京ディズニーリゾートへ来園し、夏のイベント期間中においては過去最高の入場になったとニュースで知りました。
あれから2年、2013年4月14日に、東京ディズニーランドは開園30周年を迎えます。
僕たちを育ててくれ、多くの人を楽しませてくれるディズニーランド。僕はこの場所で働けたことを誇りに思います。
by 元アトラクションキャスト
最後までお読みいただきありがとうございました。今回でディズニーランドでのお話しは終わりますが、次回からは、今年で20周年を迎えた「ディズニーシ―」のお話しとなりますので、ぜひ楽しみにしてください。
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