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SINIC理論 (自律社会への移行)
SINIC理論は、科学、技術、社会の相互作用に注目することで、現代社会の課題を見通し、より良い未来像を提示するアプローチです。最適化社会では、効率と生産性を追求しつつも、資源枯渇や環境問題への対処が求められます。そこからさらに自律社会へと移行するとき、人々は精神的豊かさを重視しながら、新たな技術と調和する社会を築いていくと唱えています。
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SINIC理論の概要
オムロン創業者・立石一真によって1970年国際未来学会で発表された「SINIC理論(サイニック理論)」は、社会・科学・技術の三つが互いに影響し合うことで新たな価値が生まれ、それに伴って社会の構造が周期的に変化していくという未来予測理論です。
SINIC理論は、歴史上の社会発展の流れを俯瞰しつつ、今後の未来社会を複数の段階に分けて捉えようとするもので、理論が提唱された当時はまだパソコンやインターネットが普及しておらず、高度経済成長期の真っ只中でした。それにもかかわらず、「情報化社会」の実現をいち早く見通した点が高く評価されています。
「最適化社会」(2005年頃から2025年頃まで)
SINIC理論によると、2005年頃から2025年頃までは「最適化社会」という段階にあるとされています。この「最適化社会」とは、情報通信技術や高度な制御技術などが進展し、あらゆるものが合理化・自動化されていく社会のことを指します。ビッグデータ解析やAI技術の活用を通じて人間が下す判断をサポートし、効率を追求する形で社会全体が最適化されていくという構造です。
この時代には、イノベーションの中心が主に自動化や情報処理の技術分野で起き、人間は大量の情報を瞬時に扱うことが可能になりました。一方で、新旧の価値観が入り混じり、デジタル化による効率性の追求と、人間らしさ・個性とのバランスをどのように図るかが課題となっています。
「自律社会」(2025年以降)
SINIC理論によれば、2025年以降は「自律社会」の段階に入ると考えられています。この自律社会では、人間だけでなく、AIやロボティクスなどのテクノロジーが自発的かつ協調的に行動する新しい形の社会像が想定されています。ここでは、単に効率を追求するだけでなく、一人ひとりが自分の意志を大切にしながら周囲との協調も実現していくことが求められます。
自律社会では、個人の創造性や判断力がより重要になる一方、テクノロジーとの共存が不可欠となります。たとえば、AIとの共同作業で医療や研究開発を進めたり、各種サービスやインフラが高度に自動制御されながらも利用者自身が最終的な意思決定を尊重されるような仕組みが拡充していくと考えられています。
「自然社会」(2033年以降)
最適化社会と自律社会の先に位置づけられているのが「自然社会」です。SINIC理論では2033年以降の社会として描かれています。人間やAIなど全ての存在がより有機的に共生し、自然環境とも調和した形で進化していくと想定される段階と想定されています。
一人当たりGNP以外は、ほぼ理論通りの推移しているように思えます。このGNPは、ドル換算でもあるのですが、(豊かさ)はやはり(所得水準)を無視して語ることはできません。
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