やる気はあとからでいいや。
大学生1年生の夏休みの午前中、ヒマをもてあましていた私は、テレビをつけた。
するとやっていたのは夏休みの子ども向けに再放送していたアニメ「タッチ」。
タッチはもちろんネタとしては知っていたが、実際に見たことはなかったので、その日から毎日見ることにした。
気づいたのがわりと早かったと見えて、南と達哉と和也の三人が仲良くしているところから見ることが出来た。
そして和也が・・・!!
じゃなくて。
今、言いたいのは、南のほう。
新体操部の助っ人(?)として体育館で舞い踊る。
そのとき流れる複数の曲すべてがピアノ曲だ。
私はその頃、ピアノを習ってはいたがショパンにはまったく縁がなかったから、南の踊る曲がすべてショパンだなんて知らなかった。
知らないけれど、なんだか野生の勘のようなものが働いて、ショパンの曲に違いない!と思い込んだ。
そしてデパートの催事場で開催されていたCD販売コーナーに出かけていって、クラシックピアノコーナーを漁った。
ショパンのCDはいくつもあった。
タッチで浅倉南が躍ってる曲はどれですか?って聞きたかったが、レジのおじさんはタッチを見ていそうもない。
CDショップに行けば、そういうことに詳しい店員さんがいるかもしれないけれど、よく行くCDショップはクラシックコーナーが小さかった。
デパートの催事場のCDコーナーはクラシックが充実しているのだ。
どうしてもこの中から選びたい。
ショパンのバラード集とか、ワルツ集とかいったものがたくさんある。
しかし私はそれらは違うと思った。
そして手に取ったのはショパンの名曲集。
これだ!これなら聴きたい曲がすべて入っているに違いない。
だって名曲集だもの。
ところがショパン名曲集は2社から出ていた。
選曲が少し違う。
どっちだろう?
どっちだろう?
曲目リストを穴のあくほど眺めた。
結局、この曲名に違いない!というのをこれまた完全なる勘で3曲ほど選び、それらが入っている方のCDを買った。
急いで帰宅して、聴いてみた。
大正解!
私が聴きたかったのは、英雄ポロネーズ・幻想即興曲・革命のエチュードだった。
あの夏休みからまもなく31年。
この夏、私は「革命のエチュード」に取り組むことにした。
思い出のピアノ曲、革命のエチュードで次の発表会をめざす。
実は、相変わらず気分は低調で、あんまりやる気がわきあがってこない。
だからこそ、何十年も聴きなれた曲を選んだ。
譜面を読み間違っても、耳で修正できるし。
弾きたいイメージも出来上がってるし。
ページ数も少ないし。(5ページ)
やる気が少なくても譜読みが進む曲。
練習曲のように黙々と練習して、そのうちにやる気が出てくるのを待つ作戦。
やる気は発表会の本番までに出てくりゃいいわ!