
しみけんさんの不動産トラブルを解説!
不動産投資は、適切な知識と判断力があれば大きなリターンを得られる手法の一つですが、同時に 「情報の非対称性」 が大きく、不誠実な売主や業者によるトラブルが頻発する分野でもあります。
今回は、元セクシー男優でタレントの しみけん氏が直面した不動産投資トラブル をもとに、修士レベルの視点からこの問題の本質とリスク回避策について解説します。
1. 事例の概要:しみけん氏の投資トラブル
しみけん氏は、X(旧Twitter)にて 「不動産投資でやられた」 と投稿しました。
具体的には、「表面利回り13.5%」 という高利回りの新潟の物件を契約し、決済を翌日に控えていたところ、直前になって 「入居者がほぼ全員退去予定である」 ことを知らされたというものです。
この状況には、以下のような問題点が考えられます。
1. 利回り詐称(カモフラージュ入居) の疑い
2. 物件情報がレインズに掲載されていなかった
3. 売主業者の宅建業免許が(1)であり、信頼性に疑問
これらのポイントを順番に掘り下げて解説していきます。
2. 「カモフラージュ入居」とは何か?
今回の最大の問題は、表面利回りを高く見せかけるために、意図的に短期間の入居者を入れていた可能性がある ことです。
(1) 表面利回りの操作
• 投資家に「高利回り物件」として魅力的に見せるため、売主や仲介業者が一時的に 入居者を確保 することがあります。
• しかし、物件が売却された直後に、その入居者が退去するケースが多いです。
• その結果、買主が取得後すぐに空室率が急上昇し、収益が激減する 事態に陥ります。
(2) 典型的な手口
1. 本来は入居者の少ない物件
• 立地が悪い、築年数が古い、賃貸需要が低いなどの問題を抱えた物件である可能性が高い。
2. 短期契約の入居者を意図的に入れる
• 売却前に 「カモフラージュ要員」 を住まわせることで、稼働率を高く見せる。
3. 投資家が「高利回り」と誤認
• 「賃貸需要がある」と判断し、投資対象として購入する。
4. 売却後に退去が相次ぐ
• 実際には長期入居者がいないため、すぐに空室になり、想定利回りを大幅に下回る。
これは、不動産投資の初心者が最も陥りやすいリスクの一つです。
3. レインズ(REINS)未掲載の問題
(1) レインズとは?
レインズ(Real Estate Information Network System) は、日本の不動産業界における物件情報共有システムです。
指定流通機構が運営しており、宅建業者が媒介契約を結んだ売買物件を登録することが義務付けられている場合があります(専任媒介・専属専任媒介契約の場合)。
(2) レインズ未掲載のリスク
しみけん氏が契約した物件は、レインズに掲載されていなかったとのことですが、これは次のような理由が考えられます。
1. 売主が物件情報を広めたくなかった
• 市場に出すと、他の業者に物件の問題点を指摘される可能性がある。
• 情報が広まることで、「売りにくい物件」だと気づかれてしまう。
2. 不動産業者が「囲い込み」をしていた
• レインズに載せずに、自社だけで買主を見つけることで、両手仲介(売主・買主両方から手数料を取る)を狙う 手口。
• こうした取引では 「売主寄り」の情報操作が行われることが多く、買主の不利益になりやすい。
3. 過去の売買履歴を隠していた可能性
• 瑕疵物件、相場より高値で売却しようとしている場合、過去の売却価格を隠したい場合がある。
• そのため、レインズを避けて直接取引を進める。
レインズ未掲載の物件を購入する際は、なぜ掲載されていないのかを慎重に確認する必要があります。
4. 宅建業免許が「(1)」の業者への不信感
(1) 宅建業免許の更新回数とは?
不動産業者には 宅地建物取引業(宅建業)免許 が必要であり、更新回数に応じて (1)、(2)、(3)… という番号が付きます。
• (1) → 設立から5年未満の業者
• (2) → 5年以上10年未満
• (3) → 10年以上
(2) 「(1)」の業者に潜むリスク
• 新規参入したばかりの業者で、実績や信頼性が不明
• 免許更新せずに廃業する可能性がある
• 過去に悪質な取引をした業者が「看板掛け替え」をしているケースがある
つまり、免許(1)の業者と取引する場合は、その会社の実績や評判を慎重にチェックするべき なのです。
5. まとめ:リスクを回避するためのポイント
この事例から、不動産投資をする際の重要なリスク管理ポイントが見えてきます。
✅ 「表面利回り」の数字だけを信じない(実質利回りを計算する)
✅ レインズ未掲載の物件は慎重に調査する(過去の売買履歴を確認)
✅ 宅建業免許が(1)の業者は信用チェックが必要(過去のトラブル歴を調べる)
✅ 「決済直前の重要情報開示」には警戒(事前に契約内容を細かく確認)
不動産投資では、情報の非対称性をどう克服するかが成功のカギ となります。
表面的なデータだけでなく、情報の透明性・業者の信頼性・契約内容 を慎重に精査することが求められるでしょう。