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ニコラ破産とテスラの展望
2025年2月19日、アメリカの電動トラックメーカーであるニコラ(Nikola)が連邦破産法第11章の適用を申請しました。かつて時価総額が300億ドル(約3兆円)を超え、フォード・モーターを上回る評価を受けていた同社ですが、近年は資金調達の難航や需要の低迷、そして創業者トレバー・ミルトン氏の詐欺事件などが影響し、経営が悪化していました。 
ニコラの破産がテスラに与える影響
ニコラの破産は、電気自動車(EV)業界全体に波紋を広げる可能性がありますが、テスラ(Tesla)への直接的な影響は限定的と考えられます。その理由として、テスラとニコラは主に異なる市場セグメントをターゲットにしている点が挙げられます。テスラは主に乗用車市場で強固な地位を築いており、モデル3やモデルYなどの販売が好調です。一方、ニコラは商用車、特に大型トラック市場に注力していました。 
また、テスラは2023年に約180万台の車両を販売し、前年比で18.8%の増加を記録しています。 これに対し、ニコラは2022年以降約600台のトラックを生産したものの、多くが技術的な問題でリコールされるなど、生産・販売面での課題が顕著でした。 
市場シェアの変化
テスラの市場シェアは地域によって異なりますが、全体として堅調な成長を示しています。例えば、2023年にはアメリカで約65万台、ヨーロッパで約36万台、中国で約60万台を販売しています。 一方、競合他社であるBYD Autoは2022年第3四半期に前年同期比81%のシェア増加を達成し、テスラやフォルクスワーゲンのシェアは減少傾向にあります。 
ニコラの破産により、商用EVトラック市場での競争が緩和される可能性がありますが、テスラの主力である乗用車市場への影響は限定的と予想されます。ただし、EV業界全体の信頼性や投資家心理に影響を与える可能性があり、市場全体の動向には注意が必要です。
ニコラの破産は、同社の経営上の問題や市場環境の変化が主な要因であり、テスラへの直接的な影響は限定的と考えられます。しかし、EV業界全体の動向や競合他社の台頭など、テスラを取り巻く市場環境は常に変化しており、今後も注視が必要です。