法の曖昧さを考えてみる:その2わいせつ物、公然わいせつ、わいせつ物頒布等について(18歳以上向け)
前回はLGBT法について考えてみた。
今回はわいせつ物・公然わいせつ・わいせつ物頒布等について。
僕にはこの3つがどうもアンバランスな感じで存在していて納得いかない部分が多くある。
まず公然わいせつの話から。
トイレや温泉など性器を晒さなければいけない場所以外の公な場所で、むやみに性器を晒すような事があれば公然わいせつの罪に問われる。それは誰でも分かると思う。もちろんトイレや温泉のような場所でも無理矢理他人に見せつけるような事をすればそれは罪になる。誰かが見ていても見ていなくても「不特定多数の人が目撃する可能性がある場所」であればこの理屈が成立するというのがこの法律。
次にわいせつ物について。
現状わいせつ物に当たる可能性のあるものといえば性器や性行為が映っている動画像、所謂エロ本や官能小説などだろう。文章や言葉でも性的に興奮させ、卑猥だと判断されればそれはわいせつ物になるというのがこの法律。
最後にわいせつ物頒布等について。
これは有償・無償に関わらずわいせつな文書や動画像を不特定多数に配布したり、公然の場所に陳列した場合問われる罪。SNSで一方的に性器や性行為の動画像を送り付けるとこの罪に問われるのが1番分かりやすいのかなと思う。
手短に3つの概要を書いてみた。
それを踏まえたうえでまとめてみた。
・公園など公の場所で性器を晒す行為=実物なので無修正
・公の場所で性行為を行う=実物なので無修正
・公の場所では年齢や意志に関わらず誰かに目撃される可能性がある
・最低限性器を晒す必要がある場所以外で性器を晒す事は公然わいせつになる可能性が高い
・アダルト(AV)動画は有償で性行為や性器を晒している(モザイクやぼかし有り)
・AV動画には無償で見る事が出来る製品のサンプルなどもある
・それらは18歳未満が閲覧しないようにワンクッションを置いている
・AV動画はエリア分けされているものの公然に陳列し不特定多数に配布していると解釈する事も出来る
これらを踏まえると1番重要なのは「何がわいせつ物にあたるか」なのだと思う。
AV動画やアダルトな画像を商売にしているケースを見ると分かりやすいが、性器や結合部にモザイクやぼかしを入れる事でわいせつ物ではないという事にしているのが分かる。有償・無償に関わらず不特定多数に配布する事が罪になるなら、AV動画などの作成に関わっている人たちは全て罪人という事になるが実際はどうだろう?実際に捕まっている人たちのケースを見ると、無修正動画であった場合や許可なく野外で性行為をしていた場合などが多い。
実写ではない作品でもモザイクなどの修正が無ければ規制される事を踏まえ、現状は「わいせつ物=実写かどうかに関わらず無修正の性器や結合部」と解釈するのが正しいように思える。性器などにモザイクやぼかしがかかっていれば問題無いからAV動画やエロ本を販売する事が出来るのだろう。
ネット上でアダルトな動画像により収入を得るには、映像送信型性風俗特殊営業の許可を取らなければいけないのだが今回その話は割愛。
本題はここから。
僕の解釈が間違っていないという前提で話を進めていく。
わいせつ物頒布等では「有償・無償に関わらず」とあっても実際は有償で商売している人たちがいる。そしてそのサンプル動画は無償で閲覧出来るし、再生出来るかどうかのお試しとしてダウンロード出来るものもある。
これはそれらの動画像に修正がされていて、その修正によってわいせつ物だと判断されないからなのだろう。
実店舗やネット上でもエリア分け(18歳未満お断りの表示など)はされているものの、公然とした場所にあると言えばあると解釈されそうだが実際は許可されている。それに加えて繰り返し頒布しているものの、この点についてもお咎めを食らう事が無い。
これらをまとめると
修正ありの性的動画像=わいせつ物に当たらない
18歳未満が見れないように設定し見たくない人が見ないようエリア分けする
公然わいせつに当たらない場所で撮影する事(他の法律も厳守する事)
の条件を満たせばいずれの法律にも抵触しないという事なのだろう。
過去には山の中でAVの撮影をしたとして書類送検されたケースもあったようだけど、不特定多数の人に見られる可能性は低いとして不起訴になったようだ。ケースバイケースとはいえ、誰かが来る可能性のある場所で性的行為をするのは止めた方が無難だと僕は思う。
僕個人としてはSNS上でどう解釈されるかという事が1番気になっている。
noteというこの場所では規約に「性的な音声・画像・動画」の掲載は禁止されているので、モザイクとか修正があっても性的なものはダメという事になる。
一方でツイッターのルールを確認すると「成人の裸体および性的行動」については、センシティブなメディアとして設定する事によってそのコンテンツを共有出来る事になっている。ただし一方的にそれらのコンテンツを送信する事は禁止と書かれている。これはDMでいきなり性的動画像を送信する事を指しているのだと思われる。
なのでツイッターの場合
性的な動画像をツイートする事自体は禁止していない
その代わりセンシティブなメディアとして設定する事が条件
性的コンテンツを他者に一方的に送信しない事
の条件を満たせば投稿は可能だと解釈出来る。
だけどこれに加えて各国の法律が関わってくる。
これらすべてを踏まえてみると日本の場合
ツイッターで性的動画像をツイートするには修正とセンシティブ設定が必要
という解釈になるかと思う。
センシティブ設定にも2種類あって「センシティブな内容を含むツイート」というものと、ツイートした動画像に「ヌード」や「センシティブ」と警告を付けてツイート出来るものがあるので、この部分に関しても曖昧な感じがするのは僕だけだろうか?
僕がこの話をしようと思ったのには理由がある。
個人でもSNSが普及してきて個人の活動が活発になってきた今、アダルトなコンテンツを扱う人も多くなってきた。今まではAVの撮影や販売は大手の業者が行うものという感じだったが、昨今は個人での活動も盛んになってきた。生業としてではなく個人の趣味でアダルトな動画像を掲載する人も多くいる。
そこで僕が思ったのは「わいせつ物の定義」と「公然と陳列する」の解釈方法だ。
性器や性行為はわいせつ物として定義されているものの、実際は修正を入れる事によりそう扱われない事実がある。
「不特定多数の者が目撃する可能性がある場所」を公然とするなら、ツイッター上でアダルトな作品の宣伝をしている人たちは公然と陳列していると解釈されるのではという事。これは個人と業者、どちらにも言える事。
でも実際は認められている。
わいせつ物とは何か?
公然とは何か?
随分曖昧なものだなと僕は疑問を抱く。
曖昧さはある意味ご都合主義だという危なさがある。
曖昧な感じでダメな部分を示すのではなく、これなら大丈夫ですよというケースをもっと示していくべきだと僕は思っている。
有償の場合はこう、無償の場合はこうといった感じに。
ツイッターは特に利用者が多いので、ツイッターを例にしてその基準を示す事から始めたら良いのではと僕は考えている。
見たくない人が見ない権利を守る。
アダルトなものを商売にしている人の権利を守り、安心して活動出来るよう後押しをする。
大人の趣味の1つとして性的なものを嗜む。
僕はそういった感じの多様性があっても良いのではと思っている。
だけど児童ポルノと犯罪を犯して作られた性コンテンツは絶対ダメ。
僕なりに色々調べてみたけど弁護士によっても解釈が随分異なるような気がするので、法律ってそれじゃあダメだよなぁと思う。
最後に
ツイッターでは無修正の性的動画像がツイートされている事が多い。
ツイッター上では
1.センシティブな内容をツイートするアカウントとして設定する
2.センシティブな内容をツイートするアカウントとして設定しない
3.センシティブな動画像(ヌード・センシティブ)として設定する
4.センシティブな動画像(ヌード・センシティブ)として設定しない
5.性的動画像にモザイクやぼかしの修正を入れる
6.性的動画像にモザイクやぼかしの修正を入れない(無修正)
の組み合わせで構成されているかと思う。
問題無しとなりそうなのは「1+3+5」「1+4+5」の2つで、
明らかにダメなのは「2+4+5」「2+4+6」の2つかなと僕は思う。
でも実際に多いのは「1+4+6」で次に「1+3+6」。
あくまで僕の体感だが。
日本で投稿している人は無修正だとわいせつ物として認識されると思うので、修正を入れた方が良いと僕は思う。
リツイートも同様に無修正は避けた方が無難。
ただいいねはどうなのだろう…?
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少し長くなったけどここまで読んでくれた方へ感謝いたします。
僕の解釈違いや意見、感想などありましたらぜひ遠慮なくコメントや記事を引用していただけると助かります。
性を過剰に規制するのではなく、性的なものと上手に共存出来る社会になるよう僕は願っています。