トーセントラムの可能性について
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1.まず前提としてトーセントラムは強いです
それを持ち時計、キレ、実際のレースパフォーマンスの点から以下で解説します
1-1持ち時計
トーセントラムのマイルの持ち時計1:32.7はNHKマイルカップに出ているどの馬よりも早いです
その時計を出した前走の3歳1勝クラスはハイレベルでした。勝ち馬のニシノライコウが記録した1:32.3は去年のNHKマイルCと同じ時計で過去の同レースと比較しても遜色ありません。その5着がトーセントラムなのです。
しかしながら「時計が出る馬場を回ってきただけなのでは?」こう考える人もいるでしょう。
この1勝クラスで重要なのはこの馬が「差して」5着であるという事実なのです。このレースは前半3F 34.0、5F 57.8と流れ、追走力が問われたレースとなりました。
通常ハイペースとなると差しが有利と思われがちですが、比較的短い距離でかつ高速馬場になると先行する馬の負荷が割合軽くなり、追走力も求められてかつ早い上がりを出す必要のある差し馬の方がより能力を問われることとなります。所謂「高速馬場で前が止まらない」というやつですね。
レースに立ち戻ってみると確かに勝ち馬は上がり1位を出したニシノライコウですが、他の2.3.4着は先行した馬となっています。ほぼほぼ最後方だったとはいえ追走して余力があったからこそ差せるのであり、高速馬場においてそれは評価できると言えます。
同じような流れ、時計のレースとしてノッキングポイントが勝った1勝クラスがありますね。ノッキングポイントも差して勝っており、ラップ的にはトーセントラムとノッキングポイントは割と似たような流れで走っていると言えます。重賞2着馬である馬と同じようなラップを刻むことが出来るのは実力の証明と言えますよね。
1-2末脚のキレ
馬柱を見ればわかると思うんですが、新潟の未勝利では上り3F 33.0の脚を使っています。
これだけではよくある新潟のスロード未勝利戦だと思われるんですが、このレーストーセントラムはずっと直線で詰まりっぱなしなんですよね。もしこれがスムーズに外に出していた場合上がり3F 32秒台は軽く出せていたと思われます。
また200メートルを切って進路が空いてから伸びは、勝負根性とキレのどちらも併せ持った馬にしか出せないものです。例としてはエイシンスポッターの1勝クラス、ピンハイの新馬、チューリップ賞などがあります。
スローからの瞬発力勝負になりやすい今回のような小頭数レースで求められるキレと言うものトラムは確実に持っているといえますね。
また、これは前項からつながる話ではありますが、トーセントラムはどのような馬場、コースであっても確実な上りを使えています。
なぜか舐められてはいますが今回も確実に上がりを使ってくれるでしょう。
1-3レースパフォーマンス
馬柱長すぎて無かったようなことにされてますが、この馬、キングズレインとハナ差の激闘を演じています。このハナ差はほんの首の上げ下げの差であり、個人的にダービーで期待していた実力馬であるキングズレインと差のない叩き合いを行えるのは強い馬だからです。
(キングズレインに関しては百日草特別のラップの凄さについて語りたいんですがまた別で)
ジュニアCのパフォーマンスも秀逸です。このレースはラスト600m~200mのラップが11.9-11.3と、コーナーの途中でありながらラップ差が0.6秒で、かなりのコーナリング性能と加速力が求められたレースでした。実際この区間でクルゼイロドスルが後続に差をつけていたのが分かります。
これを外を回しつつ加速できていたのがオメガリッチマンとトーセントラムになります。オメガリッチマンはその後京成杯で2着になり実力を示しました。では、同じように加速できていて、かつ上がり最速で4着に追い込んだトーセントラムとは何者なのかとは思いませんか?これもトーセントラムを評価している理由です。
2.何故プリンシパルSで狙うのか
「上の項で実力は分かったけども、脚質とローテはどうなんだよ?」という声が聞こえてきました。
順に考えていきましょう。
2-1最後方、出遅れはどうなのか
ここで、まず注目したのは前走のペースでした。前走の前半1000mは57.8で、最後方であってもおそらく1分は切ると思います。2000mの7頭立てであればこれで十分です。
また、表記上は出遅れってなってるんですけども放牧前のノロノロスタート見てる身としては十分出てるんですよね。結果的にはポジションを下げたんですけど、大外枠であったものの中団には取り付けられそうな勢いでした。
以上の事柄見てると早い流れのマイルを使ったのが良い方面に出そうだなという印象を受け、これを踏まえて考えているとある考えが浮かんできました。
2-2敢えての連闘なんじゃないか?
という説です。
何も考えてない無茶なローテではなく、最初からプリンシパルSが目標で敢えて東京マイルを使ったんじゃないか、と考えました。
・レーススケジュール
連闘にならないレース選択は無かったのかと思い、4/15~4/23の間のレースでトーセントラムが出れそうなものは重賞を除き、あやめ賞(京都1800.4/22)、1勝クラス(阪神2000.4/16)、山藤賞(中山2000.4/15)がありました。
何故これらのレースではなく連闘となる東京マイルを選んだのでしょう?
・厩舎コメント
トーセントラムの明確な弱点は追走力です。
マイルの早い流れを追走すれば次走距離延長したとき、追走が楽になるという話を聞いたことありますよね。厩舎はこれを実践しようとしたのではないでしょうか?
連闘となる東京マイルを選択した理由はこれだと考えています。どうしてもプリンシバルSの前にマイルを使う必要があったのです。
厩舎コメントでは「ゲート練習の効果があった」とあり、先行力を付けるための試みがここでも行われていたことから上記の仮説の信頼性も増しました。
・騎手采配
まず、前走の騎手は不思議な采配でした。その日の東京は青葉賞がありダービーを目指す馬が集まる中で当然有力騎手が集まっていました。
頼もうと思えば彼ら有力騎手に頼むこともできたはずです。しかし実際に乗ったのは今年未勝利の佐藤翔馬騎手で本気度が伺えませんでした。
しかし前述の通りこのレースをプリンシパルSに向けての調教代わりとして選択したのであれば勝ちに行く必要がない、だからこその騎手采配だとしたら納得行きませんか。
そしてプリンシパルSでの鞍上は田中勝春騎手。この馬の勝ち上がり、ジュニアCでは実力を発揮しての4着に導いた騎手です。
この騎手が乗っている時は成績が良い、ということは逆説的に厩舎が勝負に出る時にこの騎手を采配しているのではないでしょうか?また、そこから陣営の本気が読み取れるように思います。
3.最後に
今までのローテから一見無謀なように思えた連闘が陣営の意図の上なら、今まで実力を上手く発揮できていなかったこの馬が、狙い済ましたローテ(?)により力を発揮することになるかもしれません。オッズ的には買って損する程ではありませんし、これを読んで下さる皆さんも狙ってみてもどうでしょうか。
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