初めての餅つき大会

           (2019、1、21)

 産婦人科の医院をしている息子が、餅つき大会をしたいと言いだした。
それも暮れの30日である。仕事納めを済ませてからと考えたらしい。

 去年の夏休みの最後の日、我が家の庭でバーベキュー大会をした。キャンプ用のテントを持ち寄り、テーブルを組み立てて、ビールやお肉をしこたま買い込み、バーベキューのセットはリースで借りた。
 看護婦さんたち、その子供たち、ご主人や業者さんなど男性を含めて総勢30人が集まった。
初対面の人も多かったが、すぐに打ちとけて、和やかな輪が広がった。
 呼び物のそうめん流し、タイムで買ったプラスティックの樋を二本つなげて、脚立に据え、上からゆでたそうめんを流すと子供たちは大はしゃぎ。
初めての催しだったが、大盛況だった。

 それに味をしめたか、今度は餅つきをしたいという。
はるか昔、実家には大きな木の臼があり、毎年の暮れにお餅をついていた。すべて母が差配していて、子供のころで記憶も定かでない。
道具類はリースで借りられることが分かった。もち米は農業法人をしている中学校の同級生に分けてもらった。

 日限りのお地蔵さんで23日に餅つきをすると聞いて、朝早くから見学にいった。
石臼はすぐに冷たくなるので、常にお湯を入れて温めておくこと。杵は水につけておくこと。蒸し布をひろげて、一晩水にかしたもち米を蒸すあんばい。
道具や小物をメモして帰った。

 年末寒気団がその日だけ緩んで、朝から日がさし、いい天気になった。でもすごく寒い。
 今回も子供を含めて30人くらい集まるという。
9時頃からぼつぼつ人が集まってきたが、聞くと誰も餅つきをしたことがないという。
ブルーシートを敷いて石臼を据え付け、ガスボンベでお湯を沸かし、臼を温める。テーブルを組み立てて餅を丸める準備。
私一人頑張って、あれこれ指図するのだが、みな様子が分からないので、なんとなく気乗りうす。大丈夫かしら。
 
 もち米がゆで上がって、まずこねるところから説明するけれども、よく分かってくれない。つき始めてもテンポが遅い。そのうちだんだん餅が冷めてくる。
 つき上がって、片栗粉の上に取り出し、ちぎりながら「女の人はこちらに来て、丸めて!」と叫び、その丸め方も説明しなければならない。

 どうなることかと案じていたら、頼もしい男性が途中から加わってくれた。今は担当を外れている医療機械屋さん。
来るなり「こねるのが一番大事」
「もっと腰を入れて」
「熱いうちにしっかりついて」
「あと10たたき」とはっぱをかけながら皆を引っ張っていってくれる。
 おかげで綺麗なお餅になり、丸めるコツもだんだんわかってきた。子供たちも小さな手で、粘土遊びをしているみたいだ。

 つきたてのお餅は、きな粉や砂糖しょうゆをつけたり、大根おろしをまぶしたり、昨日から作っておいたぜんざいに入れて食べる。
「さすがにおいしいね」と笑顔がほころぶ。
子供たちは座敷に上がって、丸くなってゲームをして盛り上がっている。

 看護婦さんが作った焼きそばや、私の得意なトリソバを食べながら、もち米30キロ分を搗き上げた。これは少々無謀な量で、大の男8人いたけれど、皆へとへとになった。
 それでもできたお餅を分けると「これでお正月のお餅ができた」と皆大喜びで帰っていった。

 臼と杵以外は道具もそろえたし、これから恒例になるかもしれない。
来年はもっと上手にしよう。お米の量もよく考えて!

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