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点滴を呑むということ

不謹慎かもしれないけど、このサムネイルをみた瞬間、テンションブチ上がったよね。

noteでエルネオパ、お前に出会えるなんて…
しかも飲み書き企画で登場するなんて
最高じゃないか…!!

と。

以下、エルネオパないし高カロリー輸液愛を語るnoteとなります。

まったく需要がなくても、書かなくてはいけないときがある

これが書き手の性なので、お時間ある方はお付き合いください。


とにかく濃い

腕からいってる点滴がスープ、毎食飲んでも支障がないものだとしたら、高カロリー輸液はうなぎのタレみたいなものだと思ってほしい。

とにかく濃度が濃いの。
だから、ぐびぐび摂取できるものじゃないわけ。

皆さんの生活の周りにあるものに例えるとするなら、たまごの白身みたいな感じ。さわるとベタベタして早く手を洗いたい…!ってなるはず。

ちなみに、普通の点滴はこういうやつね

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見るからに液体でしょ。
実際も液体なの、しゃばしゃば。
水じゃないけど、水みたいな質感。

ドラマや映画でも点滴棒にぶら下がってるのは、こういうタイプがほとんど

なんだけど…


太い血管から投与

高カロリー輸液は、とにかく濃い(2回目)
だから、普通の点滴みたいに腕の血管からの投与ができないのね。

理由は、輸液が濃すぎて血管を傷めてしまうから。スープはいけるとしても、うなぎのタレを毎回食べるなんて濃くて無理でしょう?

だから

味付けの薄い食材に
適切な量を添付しないといけない。

となると、太い血管に少しずつ投与するという方法しかないわけ。

ここでアプローチの道すじとして選択されるのが、中心静脈と呼ばれる太い静脈。

具体的には内頸静脈、鎖骨下静脈、しばらく歩かないであろう人は大腿静脈(鼠径部のあたり)

この辺りの静脈から太いカテーテル(冷や麦くらいの太さかな)を挿入して、心臓の近くにある大静脈まで留置するの。

ここまでいったら、うなぎのタレくらい濃い点滴を投与しても大丈夫!
血流が豊富&血管が丈夫なので、濃さをうまく中和してくれるの。はい天才。


ビタミンが豊富だから

エルネオパに限らず、高カロリー輸液はビタミン類が多く含まれています。何も食べなくてもこれだけあれば生きていけるほどの栄養素が入ってるからね。

ただ、ここで思い出してほしいのが、ビタミンは変性に弱いということ。

何かと混ざったり
熱を加えられたりすると
あっという間に失活してしまうこと

学校で習ったよね???

ということで、サムネイルの写真をみてもらいたいのですが、小窓みたく小室VとTがあります。

使う直前まで輸液と混ざらない状態にしておき、使うタイミングになったらパーン!と輸液を押して開通させます。

そうすると、すべての小室が開通したオレンジ色の輸液ができあがります。これでやっと患者に投与できる状態になります。

ちなみに、開通した後は早く投与しきることが鉄則。

そうだ

ふみぐら社さんのサムネイルにもありますが、点滴の上からカバーのような袋がかけられてるの、わかりますか?

これ、日光でビタミン類が変性してしまうのを防ぐための遮光カバーなんです。

陽の光がまったく入らない病室なんて、ICUでも有り得ないので、高カロリー輸液が投与されている人すべてに、この遮光カバーがかけられています。はい最高。


慣らし保育がある

今まで口から食べものを摂取して栄養を取っていた人が、いきなり血管から高カロリー輸液を投与されると、さすがに待ってくれよ…!という反応がいろいろ起こります。

そのひとつが、高血糖

高カロリー輸液の組成、よく見るとブドウ糖がえらいことになっています。春の糖質祭り。

いきなりこれらを投与すると、血管内が高血糖、身体としてはなんちゃって糖尿病と同じ状態になるのでインスリンががしがし分泌されて…

という状態になってしまいます。

これを防ぐために、エルネオパ1号輸液というものから投与を始めます。ちなみに、ふみぐら社さんのサムネイルにうつってるのはエルネオパ2号輸液。

1号輸液はブドウ糖少なめ(それでも多いけど)
2号輸液はブドウ糖全開というイメージです。

だいたいの患者が、絶飲食からの高カロリー輸液投与開始となるパターンが多いです。
点滴の選択としてよくあるのは

・ビーフリード輸液
(腕の点滴からいける1番濃度の濃いもの)
・エルネオパ1号輸液(2日間くらい)
・エルネオパ2号輸液(ずっと)

って感じかな。

反対に、高カロリー輸液を投与してた人が経口摂取を始めるとなると、この逆の道すじを辿ることになります。


そうそう、今回はエルネオパで説明していますが

・ハイカリック
・ピーエヌツイン
・ネオパレン

あたりも同じような高カロリー輸液です。
作ってる会社が違うというのもありますが、違いはそれだけじゃありません。

気になる人はググッてみてくださいね。


いいところ

そりゃなんと言っても

食べなくても生きていけるところ

ですね。

人間の基本である食べることをショートカットしても生きていける状態にした、というのがこの製品の最高ポイントじゃないでしょうか。

いろんな理由があるでしょうが食べれなくて亡くなってきた人、今までたくさんいたはずなんです。

それが、こういう手法を使うことで生き延びれたり、いのちを引き伸ばすことが可能になりました。

もうそれだけで、十分だと思うんですよね。


悪いところがあるとしたら

消化管のスペックが落ちる

ん~…これは一長一短というか、食べることに問題があるからしょうがないとしか言いようがないんですが…

たとえば、なんらかの理由で胃から十二指腸にかけて狭窄ないし閉塞があった場合、口から食べても吐いてしまうので高カロリー輸液の投与が選択肢としてでてきます。

高カロリー輸液を投与してればひとまずいのちは大丈夫ですが、本来問題がないはずの小腸~肛門までのセクションってどうなるんでしょうね…?

使われなくなった臓器や器官は、弱ります。
たとえば、閉経したあとの子宮は萎縮して小さくなっていきますし、その機能も衰えていきます。

腸の例でいうと、バクテリアルトランスロケーションあたりが有名なのかしら。

絶飲食や入院のストレスで腸内細菌叢のバランスが乱れて、腸管の中にいるはずの細菌たちが腸管を飛び出して冒険に出てしまう状態ですね…

役割を与えられていた人たちの役割を奪ったら、暴動が起こるのは人間も腸内も一緒ということ。

あ、このバクテリアルトランスロケーションは高カロリー輸液を投与されている人すべてに起こることではありませんので、ご承知おきくださいね。


高血糖

さきほども出ましたが、血糖がどうやっても高めで推移してしまいます。

空腹時血糖値ってだいたい70~100くらいと言われているんですが、高カロリー輸液投与中の人の血糖値って130~170くらいで推移します。

もともと糖尿病がある人やそれを指摘されていたような人は、200を超えてしまう人もいます。

これは誰がどう見ても高い。

なので、高カロリー輸液にインスリンを混注して投与する、ということをやるんです。

こういう事例、何度も目にしてきました。

糖まみれの液体にインスリンを混ざて投与するなんて矛盾じゃない…?

と思われる方もいるかもしれませんが、こうすることで糖分が細胞内に届いてくれるんですよ。血管内でウロウロしないわけ。

詳しくはこちらはをどうぞ。

感染のリスク

さきほども、高カロリー輸液は濃いので中心静脈からアプローチしないといけないって話をしました。

アプローチする方法として

・中心静脈カテーテル
・CVポート
・PICCカテーテル

などがあるんですが、これってそのまま感染リスクに直結するんですよね。

本来、中心静脈にはなんの挿入物もありません。ですが、治療という名目でカテーテルやらなんやらが挿入されてしまうわけです。

挿入部を消毒したり
手術時と同じような操作をしていても

カテーテルが入っている=中心静脈まで辿り着ける感染経路が出来上がってる、と言い換えることができます。

実際、カテーテルが挿入されている患者さんが発熱したとき、真っ先に疑われるのはカテ感染。

カテーテルを逆行して細菌感染を起こしたんじゃないか…というものです。

この場合、カテーテルを1度抜去する必要がでてきます。

腕に刺す点滴は3~4日おきに交換するのが望ましいとされていますが、中心静脈カテーテル関連の挿入物は、基本的に入れ替えるということをしません。

入れ替えるとなると患者に負担がかかりますし、それだけ中心静脈と外界を交通させるような意味合いになってしまうから。

中心静脈の中は細菌もウィルスもいない、めちゃくちゃキレイな場所なんです。だから、出入りは最小限に留めたい。

なんですが、感染だけは別です。
もうカテーテルを抜去して、抗生剤を投与するしかありません。

それでも高カロリー輸液が必要な場合には、腕の点滴で数日凌ぎ、再度違うところから中心静脈へアプローチするしかないのです。


どんなに優れている治療方法であっても、リスクがゼロということは有り得ません。


まとめ

人間の身体はよくできているし、高カロリー輸液は最高だってことが伝わればそれでOK


じゃあな!!!!


参考文献


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