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正しさが役に立たないとき

※このnoteでは、表現として「デブ」という表現が何回もでてきます。特定の個人を蔑む意図はありませんので、ご容赦ください。


たとえば
あなたがものすごいデブだったとします。

手術を控えている患者さんだったとして

あなたデブだから
もうちょっと痩せてもらわないと
手術成功させてあげられないよ〜

って医療従事者に言われたら

どう思いますか?



おそらく、まずはびっくりしますよね。
そして、傷つく。

デブと手術成功の因果関係なんて考える余裕もなく、デブと言われたことだけが頭の中にこびりついて離れなくなるんじゃないでしょうか。

「自分はデブだ」という自己否定感が残り
手術どころではなくなるかもしれません。

ただ、不本意かもしれませんが
デブだと手術しにくいというのは事実です。
痩せたほうが、手術の成功率があがるのは当然なんです。


細かいところを補足すると……


脂肪が多いとその分、身体が傷を治そうとする体積が増えます。臓器や器官にまわってほしい栄養が、脂肪にもまわってしまう。

単純に、せっかくの栄養がもったいない。

くわえて、手術時間が伸びます。皮膚や筋肉、筋膜のほかに脂肪をかきわけて進めなくてはなりません。出血したらその部分を電気メスで焼きつつ進みますが、当然のことながら人間の脂肪も熱で溶けます。そうすると、溶けた脂肪をガーゼに吸い込ませる工数が増えてしまいます。

手術時間=麻酔をかけてる時間です。もちろん、規模や内容にもよりますが、手術は原則、短い時間のほうがベターとされています。麻酔薬を投与され臓器が空気中にさらされるなんて、やっぱり自然な状態ではないからです。

さらに、傷の治癒過程にも影響を及ぼします。脂肪と脂肪はくっつきにくいからです。たとえが適切ではないかもしれませんが、わかりやすさを優先すると、豚バラ薄切りをお鍋にいれたときと、豚もも薄切りをお鍋にいれたとき、お肉のはがれ具合は明らかに前者のほうがいいはずです。熱で脂肪が溶けて、そこにすきまができるから。

これ、人間の傷だったらいいことだと言えるでしょうか…?
残念ながら、皮下脂肪が多いことは縫った傷が開いてしまう要因のひとつになり得るのです。


これらをきちんと説明された上で

申し訳ないけれど、あなたは痩せ型とは言えないタイプですよね。
いま説明した通り、いろんなリスクがありますから、手術までにダイエットしてきてくれるとうれしい。

と言われたらどうでしょう。

最初に言われた内容とほぼ同じなんですが、受け止め方にかなり違いがあること、実感できるのではないでしょうか。

そして、自分はデブだという自認を生じたとしても、ダイエットへの意識は向くはず。

背景も理由も知っているからです。

くわえて、ここでポイントなのがケアの視点があるかどうかだと思っています。


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