流行る理由

　最近、編み物にハマりつつある。今のところ、かぎ針編みのみ。

　SNS上でも、国内外問わず編み物動画がたくさんあり、プロから初心者、男女問わず流行っているらしい。

　小さな頃から、様々な手芸に親しんできて、そこそこ何でも作ってきたけれど、編み物はなぜかマフラー止まりで、何か大作を作ろうと毛糸を買ってみたものの、出来上がったためしがなかった。編むという行為は好きなのだけれど、何か形にするという情熱は持てなかった。編むのが遅いし、途中で飽きてしまう。

　バブル世代を生きてきたから、お金がかかって中々形にならず、極めるのがちょっと難しいものが好きというところも理由の一つだった。

　でも、時代が変わり、人の価値観も変わる。私の価値観も歳を重ねて変わってきた。　

　今や100円ショップに行けば、編み物の材料はすぐに手に入る(人気により毛糸が品薄という事はあるけれど)。毛糸数個とかぎ針くらいなら500円以下で手軽に始められる。編み方は動画を検索すればいくらでもタダで見られるのだ。

　編み物ほど、動画に向く物はないと思う。実際私も、動画を見て”いいな”と思った物を編んでいる。
編み方を何度でも見られるし、停止して拡大も出来る。動画中で編んでいる人も初心者でもわかるように、ゆっくり説明してくれたり、何度も同じ編み方を見せてくれる。初心者にとっては、本よりずっとわかりやすい。

　今すぐ編むかどうかは別にしても、編み物の動画を見ているだけで楽しい。中には男性が奥様へのプレゼント用に編んでいる動画を見ては、ウルウルしてしまった。

　出来上がった物は、もちろん好みもあるだろうけど、可愛い物やセンスの良さを感じる物もたくさんあるし、作り手の温もりを感じらる。毛糸の色や種類を変える事で、いかようにもアレンジできるのも魅力の一つだと思う。

　それから、編み物は時と場所を選ばないという利点もあると思う。ちょっとした隙間時間や待ち合わせのカフェなどでも編む事は可能だ。

　やっぱり、流行るものには流行る理由がある。