【ライブレポ】B'z Live-Gym 0701福岡サンパレス
僕はB'zが好きだ。どれぐらい好きかと言われると、三度の飯程ではないが、どの好物よりも好きだと答えると思う。そんな僕だが、B'zを好きになった中学校3年の時から最近まで、ライブにはいった経験が無かった。ある時は普通に抽選に外れ、ある時は受験で、またある時はチケットは取れたもののコロナの影響で中止になった。僕は単純にことB'zのライブに関しては運が悪かっただけのことだけれど、ついにライブに行くことができた。平日の7月1日で、場所はサンパレス。
サンパレスは僕にとっては良い思い出であり、悔恨でもある。かつて中学生だったころに吹奏楽部だったのだが、一回だけ吹奏楽コンクールで県大会に行った。その際、僕もメンバーとして立たせてもらい、先輩の一人と一緒に半ばソロのような目立つ場面があった。その際、最大限に気を使っていたが盛大に失敗し、県大会で銀賞を飾ることとなった。銀賞というと善いものと思うかもしれないが、吹奏楽コンクールではすべての組に金から銅の賞が与えられるのだから、大したものではない。その際の総評には僕のやっていた楽器パートのことは書いていなかったが、如何しても自分のせいだと思ってしまう。
そんな因縁のサンパレスで、因って縁があったのだろうか、僕は初めてB'zのライブに行くこととなった。生のライブ以外の、それこそライブビューイングや無観客ライブなどは見たことがあるし、DVDやコロナ時にあった全DVD映像Youtube公開である程度のライブは見て、魅ている。だからほかのアーチストと一線を画すライブをすごく期待していたし、実際一生忘れられない経験となったと思う。…前置きというか自分の過去語りが長くなってしまったが、これについては勘弁を願いたいところであり、これから先はライブのネタバレを少々含むしすべて自分の経験を含んだ自分語りである。
ライブのあった7月1日金曜日は、1限だけ授業をこなして、あとの授業はサボり特急列車で博多に行った(受けなかった授業は別に出席がとられるわけでもないし、後で友人の一人にでも聞いておこうくらいのものだ)。博多駅からサンパレスまで向かうバス停はやけにすいており、ネガティブ・シンキングが得意である僕はもうグッズなどは諦めたほうがいいかなと思っていたけれどやっぱり諦められなかったら、バスが着いた途端、駆け出した。しかしどこもかしこも空いていて、だけれども欲しかったTシャツとかガチャは潤沢に余っていて、走ったのが、はしゃいでいたみたいで恥ずかしかった。
ホテルのトイレで着替えて、まだ16時になったばかりだったので、そのあとPCR検査結果(検査費8000円)を提出して、5,6人並んでるS席待ち列に並んでみてた。それからトイレにガチャのカプセルを忘れてしまったから取りに戻ったら随分並んでおり、お日様との間に何も遮るもののない炎天下の中で50分くらいを過ごすことが決定した......のだが、スタッフさんが早めにロビーまでの20分早めての入場が決定した。
チケットと身分証明書、8000円出したPCR検査結果と交換したPCR陰性証明書を見せ、チケットを発券し、座席がわかった。『1階8列28番』…控えめに言って神席であって、初ライブにしてはこれから行くライブが不安になるような結果である。
ホールが解放され、真っ先に入ってみると、霧のようなものが立ち込めており、うすら寒く、ステージ上の「Highway X」の文字が怪しげに光っていた。先ほどまでのロビーの喧騒も聞こえない、静寂が、飛行機に乗った時の「旅行先へ向かうわくわく」のように感じた。そして席に座ると、目の前のステージにはB'zロゴの刻印されたアンプ、スピーカーの上のデビルマンがあり、「嗚呼、僕はB'zのライブに来たんだ。」と思わせてくれた。
後に人が集まってきて、ロビーの喧騒がホールに移る。僕は隣に座っていたサラリーマンと歓談をして、ライブ前のトイレに向かったのだが、その時座席に財布を落としていて、のちに件のサラリーマンが気づいてくれていて、無事に帰ってきた。もしこのブログを見てくださっているなら感謝しかない。
座席に座り、愈々ライブ30分前となり、スタッフによる最終確認である楽器の試し弾きが行われると、席に恵まれてることをより深く知った気がする。鼓膜が直接叩かれているような臨場感に、身体全体が震え、ライブを待つ準備が完遂されたような、それこそ軽く緊張感もあった。
ホールで微音で流れていた様々な洋楽が小さくなり、注意喚起が終わると、それまで座っていた人達が一斉に立ち上がる。ホール内には英語で飛行機の機内案内が流れており、僕ら観客はどこか見知らぬ大地に、非日常に向かってるように思わせる。
機内案内が終わり、ステージ上にサポートメンバーの面々が現れると拍手の勢いも増していく。そして松本さんが現れて、「SLEEPLESS」の、唯一新曲で完全な予習が許された曲のイントロが始まる。松本さんの弾く一音一音が、会場のボルテージを上げていき、そして、Aメロが始まる寸前、稲葉さんの登場で最高潮になる。僕はその時、遂に、長年の夢が、憧れに会えたと、子供じみた目でB'zを迎えた。
そして曲が終わり、稲葉さんが「B'zの」とお馴染みのコールをして、途中で遮られる姿も、ずっと見たかったものでそして「B'zのLIVE-GYMへようこそ!!」が、コールに続く新曲「Hard Rain Love」が、僕の念願のLIVE-GYMの始まりだった。
その次がライブの定番「ultra soul」、歓声は上げられないものの、手の動き、そして「ヘイッ!」のジャンプはそのままで、MCを挟んでの「イチブトゼンブ」、そして「愛のバクダン」。”B'z”といえばが続き、そして新曲「Daydream」、MCを挟み、稲葉さんもアコースティックギターを弾きながら歌った「山手通りに風」、そして「マミレナ」と続くのも、何が起こるかわからない、ジェットコースターのようなドキドキがあった。ここまで僕は、少し寒く感じサマーパーカーを着ていたのだが、物凄い熱気に煽られて、脱いで腰に巻いたけれどまだ暑く、熱かった。
その次はまだ聴けてなかったアルバ「Eleven」の曲「Thinking of you」、そして「裸足の女神」。「裸足の女神」は、中学時代、いじめられてメンタルがボロボロになったときに支えてくれた曲であり、イントロを聴いて少し涙目になってしまった。
波の音をバックに、松本さんのソロ局「漣 < sazanami >」ののちしんみりとした空気を切り裂くように「Highway X」「COMEBACK -愛しき破片-」と続き、メンバー紹介となる。福岡県の方言などになぞらえて、「バリ楽しい」「バリ感激」と言ってくれるのは、福岡で生まれた僕としてはそれこそバリ嬉しいことである。そして稲葉さんが「この曲はライブでコールで盛り上がると思って」のようなことを言い、メンバーが「他人の幸せ喜べる 人間になりなさい」とアカペラで歌い、「YES YES YES」が始まった。その曲は最初のアカペラ部分がサビで出てくるため、ホールにいる全員で歌えるような曲だった。けれど、合唱できなくて残念という気持ちはなく、声が出せない分拍手で、きっと合唱以上の楽しさとかパワーが溢れてたから、きっとよかったんだろうなと思う。
そしてMCの後、「兵、走る」。ライブビューイングで見ていた景色をより近くで、声は出せないから形は違うも現地で見ることができた。そしてそのまま「ギリギリchop」でテンションが有頂天になった。B'zの中でも好きな曲が続くのはやっぱりうれしいしテンション上がる。そして新曲「リヴ」が続く。
MCを挟み、最後の曲「UNITE」。僕は最後の曲でこの曲が選ばれるとは思っていなかった。最後の曲はアップテンポ、それこそ「ギリギリchop」のような曲だと思っていたけれど聴いていると、段々「この曲で本当によかった」と思えるような、スルメ曲だった。UNITEの印象が大きく変わった。
そして体感5分の待ちを経て、アンコール。
1曲目は「You Are My Best」。うちにはTVがないので初めて聞いたのだが、かつて聞いた未収録曲「不思議な力」のアレンジだったのだが、どちらにも良さがあり、知っているメロディだからか、新曲の中では最も印象に残った曲となった。
そして最後、2曲目の「ZERO」。ラップを一緒に叫びたかったと強く思う、拍手だけの状態に初めて残念と思った。大好きな曲だからこそ、大好きな状態で聞きたかったのだと自分ながらに思う。だけれども必ずしもライブでやっているわけではない曲を聴くことができたことを思うと、良かったのだろうとも思う。
今回、初ライブを体験して思ったことは、ライブは全身で楽しむものだ、ということが一つある。確かに当たり前のことだが、室内でのんびりしながら、映画館で座りながらとは違い、全員が総立ちして、手をたたき、時には手を振り、跳ぶ。そんな臨場感と、360度どこを見ても楽しいこと。稲葉さんや松本さんはもちろん、ソロ中のメンバーに注目していても楽しいが、例えば、ドラマーに注目してみると、歌いながら叩いていたりして、「ああ、彼らも楽しんでるんだなぁ」と言葉がなくとも伝わってきた。もちろんこういう場所は多くはDVDなどでは取り上げられないからこその感動なのだと思う。つまり、皆が楽しみ、踊り、騒ぐ一体感こそが、ライブの醍醐味なのだと強く思った。
そして最後の最後。「おつかれー!」コールからの「ひとりじゃないから」が、もう終わりかという寂しさと、コロナで叫べない悲しさと、楽しかったという満足感をもたらしてくれた。
MCの最中で、稲葉さんはサンパレス福岡は29年ぶりと述べていて、「長いことこんなこともあるんだね」と言っていたのが印象に残っている。僕にとっての因縁のサンパレスは同じくB'zにも奇縁の場所であったのだと思うと、少し嬉しい。しばらくして知ったことなのだが、サンパレスは近いうちに解体が決まっているらしく、ライブも、吹奏楽も、二度と行くことがないかもしれない。だからこそ、因る縁で、奇妙な縁。忘れることはないだろうし、積極的に忘れない。僕の人生に、胸の中に強く刻まれた、そんな小旅行になったのだ。
ここまで読んでくれて本当にありがとう。B'zを本格的に聴いたことがない人はこれを機に、B'zに触れてみてほしいし、B'zが好きで読んでくれた人は、自分の初ライブを思い出して、またライブに行ってみてほしいと思う。
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