アリスイン デッドリースクールスピンオフその1
舞台『アリスインデッドリースクール』10周年企画の正月イベント用に書き下ろしたショート脚本です。その場で読むだけと聞いたので、イベント会場で渡した台本にはト書きもなにもありませんでしたが、せっかく公開するので、ちょっと風景描写などを足してみました。どうぞご覧ください。600文字くらいです。
『初詣』 登場 ユウ、ノブ、キリコ
午前中、神社の参道を歩くユウ、ノブ、その様子を撮影するキリコ。
キリコ「ダイヌマキリコダイアリー、元日の今日は、神社に初詣に来てるっすよ〜!」
カメラに向かって手を振るユウ。
ユウ「わー!」
ノブ「騒がないの!ほら、列できてる、並ぼ」
参拝の列に並ぶ三人、次第に人が増えていく。
ユウ「やっぱり、メジャーな神社は人がいっぱいだねえ」
ノブ「そうだねえ」
ユウ「もっとマイナーな神社にすれば良かったねえ」
ノブ「いや、マイナーな神社って何?」
ユウ「知る人ぞ知る、隠された神社。鳥居はどこだ!?賽銭箱を探せ!」
ノブ「鳥居も賽銭箱もないってそれもうただの人ん家だよ」
ユウ「ああでもちゃんと神様いるから、インディーズだけど」
ノブ「神様にもインディーズとかあるんだ」
ユウ「ちょっとね、なんかあったとき『職業、自称神様』って言われちゃうやつ」
ノブ「それ神様じゃなくてたぶん変な人だね」
ふと、キリコがファインダーから視線を上げて、参拝列の向こうを見る。
キリコ「あの、質問なんすけど、いまウチらが並んでるこの神社って、なんの神様なんすか?」
ユウは表情を変えず、真顔で答える。
ユウ「ポークチョップ」
キリコ「ポークチョップ?」
ユウ「ポークチョップ専門の神様」
キリコ「ポークチョップ専門の神様」
我慢できずに割って入るノブ。
ノブ「どうなるかと思って眺めてたけど! どうにもならないな〜。芸能神社だよ、弁財天って神様を祀ってるの」
キリコ「ああ!だからここにしたんスね」
キリコは参拝列をカメラで追いながら前に進んでいく。
ユウ「そうなの?ポークチョップは?」
ノブ「ないよ!」
ユウ「なんかお腹空いてきた、五平餅食べたい!ベビーカステラ食べたい!」
周囲の屋台に行こうとするユウをノブが引っ張り列に戻す。
ノブ「ちゃんと初詣したらね、あとで買いに行こ」
ユウ「ポークチョップ食べたい!屋台どこ?」
ノブ「ポークチョップの屋台あるの?」
ユウ「ないよ!私はいま、ないものを食べたくてつらい」
ノブ「自業自得だな〜」
列の前の方へ進んだキリコが二人の不在に気づき、声をかける。
キリコ「お二人〜、列、進んでるっすよ〜」
ユウ&ノブ「はーい」
ユウとノブは参拝列に戻っていく。
おわり
以上です。あと二本あって、一本はソフトボール部、もう一本は映画研究会とヒカミです。またあした。
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