【実録】ショッカー改造手術を受ける
当店ではショッカー秘密基地をコンセプトに、怪人改造の手術台のイメージでマッサージを施術いたします
今から数年前、ネットでゲイマッサージを探していると斜め上行くキャッチが目に飛び込んできた
仮面ライダーの敵役ショッカーによるゲイマッサージを受けながら経緯はどうであれショッカー怪人に改造されてしまうのか
わたしはさっそく電話で問い合わせる
__ どんな感じで改造されるんですか?
「ショッカーによる改造手術のようにお客様には手術台の上に乗っていただき、両手足を拘束させていただきます」
__ 痛いとか、ありますか?
「基本的にはマッサージ施術ですのでリラックスできますよ」
__ えっと、リフレッシュもありますか?
「リフレッシュ込みの料金です」
・・・・・・
途中から完全にブレているのは承知しているが、ありきたりのゲイマッサージに飽きていたわたしは迷わず新幹線で大阪に向かう
その店は大阪市内浪速区にあった。古い民家のような建物の外階段を上がると小さな表札が出ていた。ここが世界征服を企む謎の国際的秘密組織、悪の秘密結社ショッカー基地なのか!ドアのチャイムを鳴らす
わたしは今から怪人に改造されリフレッシュするのだ
現れたショッカー戦闘員に予約している旨を伝える。その戦闘員は市販の白Tシャツに短パンの30代のだらしない体型の小柄な青年だった。特に覆面もしていない
六畳間ほどの部屋に通される。改造手術台は業務用施術台ではなく、ラブホの浴室に置いてあるようなグレーのマットだった
部屋にはショッカー秘密基地を想起されるアイテムや装飾セットも見当たらない。個人でひっそり営業しているその手のマッサージ部屋だ
イヤな予感がした…
Tシャツ短パンのショッカー戦闘員に言われるまま、腰にバスタオル1枚になり仰向けになると両手首と両足首に安っぽい拘束具を装着され、各々四隅にあった棒みたいなものに繋がれた。拘束と言っても軽く引っ張れば棒みたいなものが倒れてしまう
イヤな予感しかしなかった…
「はい、それでは改造手術を始めますね」
ありふれた癒しBGMが流れ、上腕部から普通にマッサージが始まる
それにしても中途半端な力加減。
(どうせマッサージするなら最初はうつぶせから始めろや)
料金半額相当を損した気分になる
それでもどこかのタイミングでBGMが切り替わり暗転し世界観が変わることを、そのときはまだ期待していたのかも知れない
「お客さんはどちらからですか?」
__あ、東京から来ました
「東京から?!ボクも東京なんですよ!」
その瞬間から、なにわのショッカー戦闘員の独り語り波状攻撃が始まるのだった
「〇〇年前に脱サラしてこっちに来たんです・・・」
「東京では中野に住んでて、ほら、中野ってゴチャゴチャしてるでしょ?大阪来て、ああ中野に似てるなぁって(笑)・・・」
「大阪ってホント便利ですよ、東京みたいにだだっ広くないし・・・」
興味無い話題と中途半端マッサージは続く
(わたしの怪人改造手術はいまどの辺まで進んでいるのだ?)
テレビで何度も観て憧れていた、拘束された手足をバタバタさせて身体をねじりながら必死の形相で『ヤメろー!!ヤメテくれー!!』って抵抗しているはずだった。しかし言葉とは裏腹にその硬直した男根が…
(少しは抵抗させてくれ…)
しかし現実は、わたしが気を少しでも油断して手足を動かせば棒みたいなものが倒れてしまう。改造される側が協力しないと破綻する設定なのだ。いや、もう最初から破綻しているのだが...
・・・・・・
ショッカー戦闘員は相変わらず何かをしゃべりながら(もう覚えてない)、わたしの腰に巻いてあるバスタオルをはがす
(もうリフレッシュかよ!)
唯一このときだけ、ショッカー戦闘員は無言だった。
ただ哀しくも、いくら黙々としごかれてもリフレッシュできるほどには勃たなかった(わたしも努力はした)
・・・・・・
__ あ、もう大丈夫ですよ(苦笑)
「お客さん、長旅で疲れているんですかね」
__ あぁ。(いや、もうぜんぶだよ)
・・・・・・
夕闇がその一角を染め始める頃、わたしは悪の秘密結社ショッカー基地のドアを閉め階段を下りた
・・・・・・
それから約1年後、たまたま所用でその地を訪れたときにはショッカー秘密基地は普通の駐車場に変わっていた
あれからわたしは怪人になれたのだろうか
女装という怪人になったのは間違いない。
(了)
【実録】ショッカー改造手術を受ける
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*すべて実話です