住人インタビュー Vol.1 :もる
インタビュー企画について
今回から始まる、浅草橋ハウス住人へ生い立ちや現在取り組んでいること、どんなコミュニティを作りたいかなどをインタビューしていくシリーズです。初回は、「言葉より行動する」をモットーにいろんな取り組みに精力的に活動している現在大学4年生、樋口さやかさん(通称もるちゃん)にインタビューをしました。
はじめに
りょう(以下、り):住人インタビューの栄えある第一弾は、もるちゃんにお願いしたいと思います。まずは自己紹介をお願いします!
もる(以下、も):はい、よろしくお願いします。樋口さやかです。もると呼ばれています。法政大学4年、横浜出身です。今はオーガニック商材を販売している会社でインターンをしています。
り:生まれも育ちも横浜?
も:はい、実家は戸塚のあたりです。最寄り駅を降りると養鶏所の香りがします。住宅も多いですが、周りには農園もあり、親戚も農家さんのため、よく野菜とかを持ってきてくれたりしていました。
り:へぇ~、戸塚ってそんな場所もあるんだね!
大学での活動
り:今は大学4年生なんだよね。法政大学にはどうして入ろうと思ったの?
も:元々経済発展と環境保全の両立に興味があり、それを学んでみたかったんですよね。興味を持ったきっかけは、農家の親戚が多い横浜の実家での生活が自然と近かったことでテレビやメディアの環境破壊のニュースに違和感を感じていたこと。あとは小学生の時に見た「ハゲワシと少女」の写真を見たときですね。アフリカの少女が飢餓で死にそうなところをハゲワシが狙っている所をみて、自分は幸せにご飯を食べられているけど、世界には食べられていない人がいるんだということが衝撃で、そういう人たちのために自分は何ができるんだろうと思っていました。
り:入学してから、実際どうだった?大学生活は期待通りだった?
も:アフリカの飢餓の原因である温暖化に興味を持っていたので、 まずは海外の貧困地域の人々に会いに行くために、ボランティアに参加しました。タイの農業のボランティアに参加した時に、そこで自分は何もできない、むしろ教えてもらうことが多くありショックを受けたのを覚えています。 大きな問題に対して自分ができることって何もないなと気が付きました。
り:なるほどね。その経験を通して、変わったことってある?
も:ひとつは自分の本当に身近な問題に目を向けようと思った事。もう一つはボランティアでは社会課題をなかなか解決できないと思いました。そこから経済発展と環境保全を両立させる手段としてソーシャルビジネスに興味を持ちました。
り:もるちゃんが思い浮かべるソーシャルビジネスとは?「ビジネス」と「ソーシャルビジネス」の違いはどんなところにある?
も:目的が違うと思います。社会課題を解決するためのビジネスが「ソーシャルビジネス」で、「ビジネス」は社会貢献もしているけれども、利益を追い求めることに重きを置いているし、ビジネスモデルもその目的のために作られていると思っています。 当時大学1年生の頃はソーシャルビジネスについては全くの無知でした。そこでまずは知っている人に話を聞きにいこうと思い、カンボジアで貧困層の雇用を作る事業をしている人に会いに行きました。
り:話を聞いてみて、もるちゃんはどう思った?
も:「聞くだけじゃだめだ!」と思いました。自分でも行動に移したいと。そこから自分で実際に小さいイベントを開催してみたり、その後は自分の興味を深堀したいと思ったので食関係の活動していました。
り:具体的にはどんな活動?
も:農家の規格外野菜の販売を行う一般社団法人で、イベントの企画や開催のお手伝いををしていました。しかし、大学3年の頃は既にコロナが流行りだしていたため、オンラインイベントの企画もしていました。イベント例としては、規格外の野菜を参加者へ送り、その野菜について話しながら料理をするというイベントなどです。他にも農家さんの所に出向いてインタビューをしたり。"規格外野菜"は大学生の間でもホットトピックだったので、興味ある人を集めて活動を盛り上げることを取り組んでいました。
り:へぇ~!そういう活動をしてきたんだね。ちゃんと聞いたことなかったから知らなかった!
浅草橋ハウスに入居したワケ
り:話は変わるけど、もるちゃんはなんで浅草橋ハウスに入居したの?このハウスに住む上で期待していたことはある?
も:ボーダレスハウスと同じグループのBusiness Leather Factoryでアルバイトとして働いていて、そこで紹介してもらったのがきっかけです。これから社会人になるとコミュニティが狭まるし、自分の価値観をもっと広げたかったので、色んな人の価値観に触れる機会を期待して入りました。
り:浅草橋は「コミュニティを作っていく」ことが、ひとつのテーマだけどそれに対してはどう思った?
も:率直に楽しそうだなと思いました。地域の人を巻き込んで良い関係を作っていくというコンセプトにも共感しましたし、私もそれに関わりたいなと思いました!コミュニティ作りは元々興味があったんですよね。そもそも農業もコミュニティとの関わりはとても重要とも思っていて。あと、自分が感じる社会課題って、無知からくる分断からだなって感じていました。その分断をコミュニティ作りによって繋げていくことは良い手段だし、自分もそこに入って何か学べるところがあればいいなと思いました。
あとは、何かしら熱意のある人たちや面白いことしてる住人と関われたら楽しそうだなと思っていました。
り:実際ハウスに入ってみてどうだった?
も:もう期待を上回ることしかなかったです!色々な自分の知らなかったことを気づく毎日です。特に、自分は社会に対して無関心なんだという事にも気づきました。
例えば、マヨワ(アフリカ系アメリカ人のハウスメイト)がBlack lives matterの件で大変だった時の話を聞いた時に、自分としては社会課題に興味があって「知っている」と思っていたけど、蓋を開けてみたらそれを自分は「表面として知っている」だけでした。その問題に対して、マヨワが伝えてくれたほどの熱量が自分にはないと感じて、自分は他人ごとだったんだなと初めて気づかされました。
あとは、ボンちゃん(在日朝鮮人のハウスメイト)に選挙権がないということにも驚きました。選挙にいこうよとみんな言うけど、選挙に行くことの何が大事かを深く考えていなかったです。選挙は大事だと感じていたけど、実際に投票するまでに何が足りてないかというと「自分ごと」でした。それに気づいたのはとっても大きかったですね。
り:そういうことに対して自分ごと化できていなかったことには、シェアハウスに入らなかったらわからなかったかもね。
り:熱量ある人と知り合いたいとも思ってたと言っていたけど、そこは実際どう?
も:本当にみんな熱量が高いです!(笑)ゆうきさんとか夢を持ってここにいるし、ハルさんも今後こうしたいという想いを話してくれますし、ピカソさんとかは人生の楽しさについて話してくれるし、ボンちゃんも目標に向かって勉強してるし。勉強熱心だったり、挑戦心がある人がいるこの環境はとても刺激的で、私もずっとそんな環境にいたいと思っていたので、本当に今幸せだなって感じています。
り:たしかに、一緒に住まないとそういう、表立ってわからないところって見えないよね。
も:本当に!!ライフスタイルが全てだとも思います。ライフスタイルを通して人を知ることができますね。
理想の浅草橋ハウス生活
り:ハウスに入って期待を上回ってるって事だったんだけど、もるちゃんがハウス生活において「もっとこうなりたい!」と思っていることはある?
も:身を置く環境も大事だけど、自制することも大事だと思っています。
最近はハウスの居心地が良すぎて、逆にコンフォートゾーンに留まってるなと感じています。
元々、入居前は英語も勉強したいなって思っていたのですが、結局日本語に頼ってしまっていると感じていて。だから最近は英語を使う機会を自ら増やすべきだなと思っています。例えば、英語を話す時間を決めるとか、他にも普段話しづらい政治やセンシティブなトピックの会話にもトライしてみるとか。そういった挑戦をしていきたいなーって思っています。
り:慣れてきたからこそそう思ってきたのかもね!確かにそういう政治Nightみたいにトークテーマとか作ってみて議論してみても面白いかも。
り:もるちゃんは、残念ながら3月で退去する予定だけど、やり残したこととか、みんなにこれやっといて欲しい事はあるかな?
も:退去が近づいていて悲しいですが、何かしらの形で私が住んでいた痕跡残したいなと思っています。特に私はコンポストが続いていくか心配なんですよね。今後人が入れ替わっても、コンポストの重要さや面白さが伝わり続けていって欲しいと思っています。
勝手な理想なのですが、コンポストでできた土を使ってガーデニングをして地域の人と一緒にお世話をする。そこから、だんだん子供も集まるようになり、1階のカフェスペースで、たわいもないパーティーやイベントを楽しんだり学ぶ機会がある。英語を使って遊んだり。家族や職場と違うサードプレイスだけど、また別のアットホーム感がある、そんな場所になれば面白そうですね。
り:それは確かに、めっちゃいいね!!もるちゃんの理想の浅草橋ハウス像がすごくイメージできたよ!
最後に一言
り:そしたら最後に一言。このインタビューを通しての感想はどうだった?
も:とても楽しかったです!自分が今まで起こした行動の理由や根拠を改めて振り返ることで自分の考えが整理されました。本当に楽しい時間でした。今日はありがとうございました!
取材後記
いつもコミュニケーションはとっているものの、改めてインタビューをしてみると普段きちんと聞けていなかったこともあり面白かったです。もるちゃんのインタビューの中で、シェアハウスにに引っ越してきてハウスメイトとの会話を通して自分の無関心に気づいたというのは、シェアハウスならではの経験だと思いますし、自分もすごく共感しました。学業にアルバイトにいつも精力的に頑張っているもるちゃん。頑張る元気の源をさらに少し知ることができてよかったです。次の人のインタビューも楽しみですね!
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?