「乃木坂46 10th YEAR BIRTHDAY LIVE」で残念だったこと

 卒業生がステージに上ってパフォーマンスをしたこと、これに尽きる。そのことへの批判の声はほとんど聞かない。会場は大いに盛り上がった。だからライブは大成功であって、この記事は一人のファンの穿った見方に過ぎない。どうしてもどこかにこの思いを残しておきたかっただけなので、ライブを心から楽しんだ方は読むことをお薦めしません。
 時間が経てばまた普通にテレビや配信を観られるようになると思っていた。でも全然自分の気持ちが柔らかくなっていかなかった。乃木坂工事中も楽しめないし、5期生主体のスター誕生なんて全く観ていない。
 いずれにしても5期生のごたごたも含めて、かなり心が乃木坂から離れてしまった。みんなが絶賛しているライブに対して、自分がなぜこんなに違和感を覚えるのか、突き詰めて考えてみた結果。

1.それは終わりの始まり

 たくさんのアイドルグループが歩んできた道。卒業生がライブにサプライズ参加、楽曲への参加、OGグループとして楽曲を発表する等々…。
 あぁ、ついにそこに手を出してしまったのか…。でもやるとすれば10周年のこのタイミングしかないよな…。間違いなくここから下り線が始まる。卒業生が前に出始めたら、それは終わりの始まり。それは数々のアイドルグループの歴史が証明してしまっている。乃木坂46にそこを打破してほしいという思いがないことはないけど、正直言ってそこまでの勢いはもうないと思う。運営自らが「もうピークを過ぎました」という白旗宣言をしてしまったようなもの。

2.あくまで現役のための舞台であってほしい

 「乃木坂46 10th YEAR BIRTHDAY LIVE」は今の乃木坂46としてチケットを販売してお客さんを集めたもので、その舞台は今の乃木坂46が主役でなければならない。颯爽とサプライズ登場して主役の座を奪っていくのは、本当に乃木坂のためになっているだろうか?「10周年のお祭りだから」という言葉をよく聞く。それを言われてしまったら、はいそうですかと言うしかないのだけど。しかし結果としてほとんどのニュースサイトでも見出しは卒業生の名前のみ。配信でもアンコールでは卒業生がメインに映されることが多かった。本当にこれでいいのか?
 例えば「バレッタ」では鈴木絢音さん(と山崎怜奈さん)がセンターに立った。根拠のない想像だけど、堀未央奈さんはオファーがあっても固辞したのではないだろうか。今も乃木坂に残っている親友に真ん中に立ってほしいと思うのではないだろうか。

3.潔さがない

 たぶん、自分がずっと追ってきた二人、深川麻衣さんと井上小百合さんの「潔さ」が自分の中の軸にあることが大きい。
 深川麻衣さんは卒業とともに一線を引いた。公式サイトの日記でもInstagramでも乃木坂46の話題をめったに出さない。日記では、橋本奈々未さんの卒コンが最後ではないだろうか。公式サイトで仕事としてスケジュールに表記されたTGC静岡でのみ、卒業メンバーと一緒に撮った写真を載せていたと思う。明確に線を引いていて、線を引くこと自体が正しいとか誤っているとかではなく、「その線がぶれることがない」ということ。
 井上小百合さんはアイドルという遠回りを選びながらも最初に決めた目標に向けて意志を貫き通した。ご時世もあって満足に卒業時期を過ごせなかったけど、一度決めたことを曲げない。自分で選んで勝ち取ったシス・カンパニーという場所で当初の夢であった俳優道を邁進している。井上小百合さんについては別途記事を作ってみたい。
 そういう自分の中の基準があるからどうしても、後進に譲るため卒業する(的なニュアンス)とかどの口で言っていたのか、と思ってしまう訳だ。

 メッセージ性の強い「Against」を置き土産に去っていったにも関わらず、舞い戻ってきて「制服のマネキン」でセンターに立つ。そこに後輩に立ってもらうために卒業したのではなかったのかなぁと思ってしまう。
 華々しく卒業したと思ったら数ヶ月で華麗に帰還してくるのも情緒がなさすぎて、よくそんなに感動的な再会ができるものだと冷めてしまう。
 あぁこの辺、すごく自分の性格の悪さを感じる。
 「卒業しても乃木坂」は大いに結構だけど、それならそれで卒業を仰々しく扱うのをやめた方がバランスとれるのではないかと思う。できる限り全員を最高の形で卒業させてあげたいという運営の姿勢は素晴らしいと思うけど、卒業以外のことと明らかにバランスがとれていない。

 それと、「卒業しても乃木坂」といえば聞こえはいいが、乃木坂LLCに残留したにもかかわらず今回のライブで出番がなかったメンバーのことを思う。卒業しても乃木坂のヒエラルキーの元にいる。当人たちは理解したり開き直ったりしているかもしれないが、周りからは「お声がかからなかったのかな」みたいな見方もされるだろう。その辺、ライブを楽しんで、卒業生大歓迎な人たちはどう思っているのか聞いてみたい。

 それにしても自分が何でここまで拒否反応を示すのかわからない。もしかしたらお目当てのメンバーが現れなかったから、悔しかったり、僻んだりしているのではないかとも思ったりした。
 でも例えば井上小百合さんが咄嗟のイントロと共に現れたとしたら、大いに幻滅しただろうという自信はある。だからメンバーありきの感情ではない、と思いたい。

 まぁこの自己分析の結論は一生出なくて、ぐだぐだ考えているうちに、5期生以外のメンバーへの熱も徐々に冷めていってしまうのだろう。

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