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藤井風が「帰る場所」を教えてくれた

振り返れば、たくさんの人に出会い、そして、別れた。
親兄弟、友達、先生、いろいろな大人たち、もうこの世にはいない人たち・・・
楽しい思い出や苦い思い出が交差する。
出会いの中で、気づかされたし、学んだこともある。
そして、夢を見つける。
ほとんど誰も知らない世界へ入っていく時が来る。
夢は簡単に手に入らない。
挫折する。
その時帰る場所が必要になる。
心のあり方を変えねばならないということだ。

藤井風は教えてくれた。
「あなた」との思い出が、帰る場所を教えてくれる、と。
「あなた」とは、出会ったすべての人のことだ。

「帰ろう」

あなたは夕日に溶けて
わたしは夜明に消えて
もう二度と 交わらないのなら
それが運命だね

あなたは灯ともして
わたしは光もとめて
怖くはない 失うものなどない
最初から何も持ってない

出会ったあなたと別れた夕刻。
どうしようもなく、あなたと別れることになってしまった。
あなたは家へと帰り、明るい部屋に留まる。
現実の中で暮らす。
わたしは、夜を乗り越えて、朝になって家を出る。
根拠もなく、力もなく、ただ夢を追いかける。
わたしは未来に生きる。

それじゃ それじゃ またね
少年の瞳は汚れ
5時の鐘は鳴り響けど もう聞こえない
それじゃ それじゃ まるで
全部 終わったみたいだね
大間違い 先は長い 忘れないから

あなたに別れを告げる。
わたしはもう昔のような自分ではない。
昔みたいに純粋に生きることはできない。
でも、あなたとの思い出は大切にするし、忘れることもない。
あなたと出会えたから夢ができたし、それに向かうことができるだから。

ああ 全て忘れて帰ろう
ああ 全て流して帰ろう
あの傷は疼けど この渇き癒えねど
もうどうでもいいの 吹き飛ばそう
さわやかな風と帰ろう
やさしく降る雨と帰ろう
憎みあいの果てに何が生まれるの
わたし、わたしが先に 忘れよう
あなたは弱音を吐いて
わたしは未練こぼして
最後くらい 神様でいさせて
だって これじゃ人間だ

夢は破れていくものだ。
すべて忘れて、純粋でひたむきだった昔の心に戻ろう。
まだまだチャンスはあるだろう
夢に生きる日々の中で、心の傷を負ったし、手が届かないものにこだわり続けた。
もうそんな傷も悔しさもすべて忘れよう。
とにかく、颯爽と、優しい心で、生きていこう。
互いを理解できずに争うことには意味がない。
もうそんなことはしない。
あなたは、できないと、諦めを見せただけ。
わたしは、手放したくないと、言っただけ。
人間らしさだよね。
万能の神にはなれなかった。

わたしのいない世界を
上から眺めていても
何一つ 変わらず回るから
少し背中が軽くなった

今わたしがいなくなっても世界は変わらない。
神もそう言うと思う。
変わらないのなら、わたしが生き方をリセットしてもいいはずだ。
わたしは、すべてを捨てることも可能だと、安心する。

それじゃ それじゃ またね
国道沿い前で別れ
続く町の喧騒 後目に一人行く
ください ください ばっかで
何も あげられなかったね
生きてきた 意味なんか 分からないまま

ともに夢を追ったあなたに別れを告げる。
渋滞する車や人々の空騒ぎで声も届かないけれど、そんな都会の片隅で、あなたに「さよなら」と言う。
わたしは独りになる。
思い返せば、わたしは、あなたに求めてばかりで、あなたに何もしてあげられなかった。
わたしは、これまでの人生から何も学んでいなかったのだ。

ああ 全て与えて帰ろう
ああ 何も持たずに帰ろう
与えられるものこそ 与えられたもの
ありがとう、って胸をはろう
待ってるからさ、もう帰ろう
幸せ絶えぬ場所、帰ろう
去り際の時に 何が持っていけるの
一つ一つ 荷物 手放そう
憎み合いの果てに何が生まれるの
わたし、わたしが先に 忘れよう
あぁ今日からどう生きてこう

大切なのは何も求めない無償の愛であると、神が示す。
それを手に入れなければならない。
あなたがわたしに与えてくれたものは、神が示した愛なのだ。
あなたの無償の愛に心から感謝する。
神が人から人につないでくれた愛に誇りを感じる。
無垢の心は絶対正しいのだから、わたしは、それを目指す。
そうすれば、幸せになれる。
もう、何もいらない。
心の中のすべてから手を放していく。
避けられない気持ちの行き違いもすっかり忘れてしまおう。
わたしは、新たな人生を前にして、期待でいっぱいだ。

藤井風の世界観に飲み込まれてしまいました。彼の詩を読み込む癖がついてしまったようです。娘からは「風おじさん」になったらいい、と言われております。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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