「おすそわけ食堂 まど」は地域の宝 7月23日(日)
カリフォルニアに住んでいる友人家族が、はるばる会いに来てくれた。
お互い神奈川県の葉山町に住んでいたことがあって、その後私たちは高知へ、彼らはアメリカへと住まいを移した。
妻がバリバリ働いて、夫が主夫(すごい料理上手)、という彼らの爽快な家族スタイルは8年前と変わっていない。
小さかったこどもたちは、3人ともすっかり大きくなっていて、それに対して友人はちっとも変っていなくて驚く。
昨日焼いたマーマレードケーキと、庭のハーブティー、フルーツなどあるものをテーブルに並べて、とりとめなくおしゃべり。
アメリカの学校や、社会事情のことなど、リアルに生活している人の話は興味深い。
報道でしか(しかも限定された)情報を得ていないと、ついイメージで思い込んでしまうこともあるし、「やっぱりそうなんだ!」ということも。
お昼は近所のおすそわけ食堂まどへ。
大学を卒業したばかりの陶山智美さんが、「すべてのひとが安心しておなかいっぱい食べられるように」と開いたお店。
もともとは農業を志していた彼女が、実際農家で働いてみたところ、その廃棄量におどろき「ならばそれを生かせる仕事を」と思って始めたそう。
価格は良心的で、定食は800円、子供はなんと300円!家庭の経済事情は外からはわからない。負い目や恥ずかしさを感じさせることなく「安心しておなかいっぱい食べてもらいたい」という姿勢に毎回感動してしまう。
素材は主に地域の生産者さんから譲ってもらった規格外の食材。野菜をふんだんに使った「おうちのごはん」には、「買えないおいしさ」があると思う。
「本日の定食」は、メインに副菜が数種類、デザートまでついている。ごはんとおつゆはおかわり自由。ほとんどが「だれかのおすそわけでできています」と店主の智美さん。
廃棄食材を使うといっても、家賃や光熱費、お米、調味料、メインの肉や魚の購入や、ご自身の生活費など支出もかなりになるはず。「ありがたい」という気持ちと同時に「自分も何かできないかな?」と思う。彼女の活動に賛同する場合は、いろいろな形で「おすそわけ」ができるというシステムがあるのがありがたい。
たとえば「おつり分を寄付すること」「お店で使えそうなものを譲ること」「おいしかった、と伝えること」など。
メニューの最後にある、誠実な文章を、来るたびにじっくり読んでしまう(同行した友人にも「これ読んで!」と毎回すすめてしまう・笑)。
彼女の活動は「こどもの居場所づくり」にも広がっていて、今日も知り合いの小学生がひとりでご飯を食べに来ていた。そしてお手伝いには高校生の女の子。小学生が何人も手伝いに来る日も。
大人になにかを「してもらう」だけではなく、「いまの自分が役に立つ」という体験をさせてもらえるのはすごいこと。(わが家の娘もこの夏お手伝いさせてもらう予定)
彼女の活動「おすそわけ食堂 まど」はNHKワールドにも取り上げられて(すごくいい番組なので見てほしい)これを観た人がはるばるアメリカのミネソタ州から「まど」を目指して旅してきたこともあったとか!
英語の番組だけどインタビューはすべて日本語、画像だけでも十分内容がわかるのでぜひ!(15分)
食事はどれもおいしくて、友人たちも喜んでくれた。今日はお店が比較的ゆったりだったので、店主の智美さんに、直接話を聞かせてもらえたのもギフト。
海の向こうで暮らしている友人家族との再会。高知の山の近くで、こんな場所が生まれているのを知ってもらえたことが、なによりうれしかった夏休み3日目。