中国の病院
こんにちは。
中国在住5年目。5年も住んでいれば不妊治療だけでなく様々な理由で病院にお世話になります。
今回は中国の病院の仕組みなどのお話です。
ここでの「中国の病院」とは
皆さんご存知の通り、中国はとても大きく、地域差が激しい国です。
私が言う「中国の病院」とは、南の方の三流都市(人口は多いがそこまで都市化していない)のことを言います。
さらに、私のお世話になっている「中国の病院」は地元の医科大学付属の総合病院です。
ですので、この記事で紹介している「中国の病院」は「南方の三流都市の附属病院」ということでご理解いただければと思います。
附属病院の仕組み
予約・支払いは全てオンライン
コロナ禍を通してオンライン化が進んだ中国ですが、病院の予約・支払いもオンラインです。
外国人にとってはとても便利です。
ウィーチャットで病院をフォローするとシステムが利用できます。
行きたい科と先生と時間(30分単位)を選んで診察料※を先に支払います。
もちろんその支払もウィーチャットになります。
※ちょっと違う話になりますが、この診察料が破壊的に安くて、一番下の先生だとなんと3元(現在のレートで60円弱)、一番高い先生でも17元(340円弱)なんです。(ちなみにビッグマックのセットは現在36元です。)
ただ話を聞いてもらうだけならこの診察料だけで済んでしまいます。
旦那さんは「だから不要な検査をバンバン入れてくるんだよ」と言うのですが、診察料だけでは経営ができないので、あながち言いすぎとも言えないと思います。
分業化
日本では総合病院でも産婦人科にかかっているならば産婦人科から出ることは通常はありませんよね。
しかし、中国では特に検査が必要になった場合、他の科に行くことが往々にしてあります。
例えば生殖医学科でできることは卵巣の様子をチェックする超音波とおりもの検査、精子・胎児の検体検査と手術だけです。
その他の採血や婦人科の超音波検査などは、その場所まで自分で行って順番を取り、結果を持ってまた自分の科へ戻らないといけません。
しかもおりもの検査も検体を自分でラボの窓口まで持っていきます。
(採血は自分で何処かへ持っていく必要はなく、そのまま回収されます。)
麻酔についても麻酔科へ行き、そこで説明を聞きました。
そのせいなのかはわかりませんが、入院患者も一般の患者に混ざって検査を受けています。
入院しているのに番号を取って並ばないといけないのは辛いですよね。
システム化されているようでされていない
さきほどのオンライン化の話とは真逆を行くようなのですが、アナログな部分もあり、日本人にとって中国の病院は戦場のようです。
例えば診察を受けたい先生の予約をしてその科に到着したらチェックインして番号を受け取ります。
ここまでは問題ないのですが、検査が必要となると他の科に行き検査結果を受け取ってまたその先生のところへ行かなければならないのですが、その戻ってきた人たちが順番を守らないので診察室は戦場と化します。
実はチェックインをする機械に「回診」という、検査が終わってもう一度先生と話をする人が取れる番号があるのですが、その周知がなされていないのです。
加えて診察室の交通整理をする人もいないので、検査を終えた人たちが他の患者の診察中にも関わらず次々と診察室に流れ込むという事態になります。
先生も「順番守ってください」と言うこともなく、目の前に出された報告書を素直に受け取ってしまいます。
なので、自分の番といえどもちゃんと自分の番だという主張をしなければ診てもらうことはできません。
また、番号がない場所もあり、横から入り込んでくる人に負けないように列に並ぶスキルも求められます。
病院に限らず中国では、列に並ぶ人、状況を見てくる人の二人ペアで行動すると大体うまくいきます。
(ちなみに私が通っている生殖医学科はもっと秩序があり、診察室のドアを閉めて一対一で先生と話ができることがほとんどです。)
注射も自分で受け取り?!
自宅で飲む薬は日本と同様、院内の薬局にもらいに行く必要がありますが、その場で処置される薬なども基本的にその科にはありません。
なので、注射を打ってもらう必要がある場合にはまず処方箋を出してもらい、薬局で注射を受け取って、それを持って戻り、看護師さんに渡して打ってもらうという流れになります。
人工授精のときの排卵誘発剤は夜九時に病院に行って打ってもらう事になっていましたが、薬局はもちろん閉まっていたので、薬局が開いているうちに薬剤を受け取り、自宅へ一度持って帰ってそれを夜持参して打ってもらうという、日本では考えられない状況でした。
入院すると大変そう
私自身はまだ入院したことはありませんが、入院は日本とはまったく違う感じです。
中国では医者・看護師さんは治療しかしません。
他に働いている人は清掃スタッフのみです。
なので、身の回りのことは本人または家族がするしかありません。
一番大きいのは食事です。
病気なのだから体のことを考えた食事をしたいと思うのですが、そうもいきません。
家が近くて家族がたくさんいる人なら、家で作ったものを運んだりしてもらえますが、それができなければ出前などをしなければなりません。
病院に出入りしている食事サービスの会社もありますが、一般的な食堂のメニューと変わらないので、日本の病院食とはかなりの差があります。
また、介護が必要な高齢者の入院ということになれば、家族は更に大変のようです。
私が住んでいる地域は子供の数が多くて大家族の家が多いので、そのような家族は交代で付き添いをします。
夜も折りたたみのベッドを持ち込んで泊まり込みをします。
病室が狭く、廊下にベッドを広げて寝ている人もいます。
家族が少なければ、高額にはなりますが、ヘルパーさんを雇う必要があります。
このヘルパーさん集団は暗黙の了解で長年にわたり病棟に存在している人たちで、下手な看護師さんよりも医療行為が上手!です。(さすがに針を刺すなどはしないと思います)
家族も少ない、お金もない、ということになれば、入院は本当に悲惨だそうです。
以上が、現在私が思いつく中国の病院事情です。
病院に通い始めてすでに2年になろうとしているので、忘れているだけで本当は他にも驚いたことがあったかもしれません。
また何か思い出したら追記したいと思います。