「一日と一夜にして(恋に落ちる)」
"Fe youm wa leila"
アラビア語で、「一日と一夜にして(恋に落ちる)」一目惚れ。ベリーダンスの古典でとても有名な曲です。
今日は、この曲への想いと、「曲の編集」について綴ります。
わたしがベリーダンスの古典について語るのには烏滸がましいのですが、
この曲に関しては書く資格があるかなというほど、思い入れと踊った回数が多い曲。
①FIRST TAKE (笑)
初めてこの曲に出会ったのは、6年くらい前のこと。
当時はベリーダンスを始めてまだ日が浅い頃で、ちゃんとした古典の踊りはやってなかったのですが、先生のWSでこの曲を聴いて、とても優しい気持ちになり気に入りました。
FIRST TAKEは、オーケストラver.。ただ、この頃は、深いことは知らずに、ただ、「音」として心に染み入っていました。
②SECOND TAKE
2回目は、FIRST TAKEから2年後くらい、レッスンで聴いた「原曲ver.」
原曲、とは、もともとベリーダンスで使われる古典の曲の多くは、
50~100年近く前の時代を生きた人気歌手の方が歌った「ヒット曲」であり、その当時の歌手の方歌った音源そのままのバージョン。
この曲はWardaというアラブ歌姫の代表曲です。
”こんなことが起こるなんて誰が信じるの
一日と、一夜で
あなたと人生を共に過ごしてゆくことになるなんて”
すてき。音として心地よかった音楽の背景に、こんな美しい歌があったのだと知りました。でも、原曲は、約30分×2楽章あります。長い!!
ショーで踊る場合には、ここから編曲されているものを使用します。SECOND TAKEは、原曲を10分くらいに編曲されたもので、レッスンで習った振り付けでした。
③THIRD TAKE
歌有りも、歌無しもとても好きになり、自分でも振り付けをして踊ってみたいという気持ちが湧き上がってきました。
でも、原曲は30分。それまで色んな編曲を聴いてきましたが、どうせなら、自分が気にいった、(ここの部分なら振り付けが思いつくという側面もありましたが^^;)箇所で振り付けがしたいと思い、「音源作り」からスタート。
30分ある1楽章を、5分強に編集しました。
ここで、編集作業について少々。
1、30分の曲を聞きながら、1小節(8カウント×○)ごとに音の特徴と秒数を書き出し
(Aメロ、サビ、間奏)×(盛り上がり、音ハメ、暗い)等
2、5分程度に収まるよう、使いたい部分をピックアップ
(ここの部分が大変だった。6分の1の長さに収めるなかで、起承転結を考えなければいけないので)
3、音楽編集ソフトで音のつなぎ合わせ。フリーソフトをいくつかダウンロードしてみて、使いやすいものを使って編集作業。
この時は、Wave Padを使いました。
(フリーソフトは、ものによってできることが限られていたり、そもそも「切り取り」ができなかったりするので選び方に注意。)
個人的に大事だと思うのは、「拍数の整合性」と「波形のつながり」です。
拍数の方は分かりやすいと思いますが、4拍子だと思ったらつないだ部分が3カウントしかなかった、とかおかしいですよね。
波形の方は、音をつなげた時に、切り貼りと思われない位スムーズになるようにするため。結合部分の波形をできるだけ拡大して表示し、切り貼り部分が分からないくらいに、波の始まりと終わりの高さを揃えます。
それがそのまま、「音のスムーズさ」につながります。
4、納得いくまで何パターンか作ってみる
そうして、オリジナルの"Fe youm wa leila"を踊ることができました。
これが、2年前くらい。
(残念ながら、公開できるような動画や音源がない・・・(;_;))
④FORTH TAKE
まだあります。ちょうど私が自作ver.を踊った頃、先生は、この曲のまた別の編曲(男の人の歌声ver.)で世界的なコンペティションに参加、優勝されました。同じ時期に同じ曲で、と、とても印象的で、光栄な気持ちと恐縮な気持ちの混ざった感情がありました。
その後、一昨年、その時の振り付けを少しだけ簡単にしたものをレッスンで習い、ステージでも踊る機会をいただきました。
これまで、この曲の、たくさんの編曲を聞いてきましたが、同じく「編曲」が印象的だった曲があります。ここからはベリーダンスを離れた番外編。
ラフマニノフのピアノコンチェルト第二番
大草原を見渡しているような壮観さと、(恋愛の曲だという解説はないけれど)心の葛藤を表現しているような甘く切ないメロディ。身体の奥深くから突き上げられるような感覚が生じる、いつ聞いても涙が出る曲です。
この曲も、原曲は35分程度あります(3楽章合計ですが)。
様々なシーンで編曲が利用されていますし、オーケストラで全部聞くのもとても好きなのですが、
ソチオリンピックの浅田真央ちゃんのフリーの演技で使われた編曲。
この時のまおちゃんの状況、その中での完璧な演技、そして、その演技にぴったり寄り添うような完璧な音の編集。
たしか、日本時間で深夜の時間だったと思うのですが、深夜に号泣して見てたことを思い出します。もちろん素晴らしいスケーターなことは確かなのですが、この曲をこれだけ完成度高く編集されたものはなかったのではないでしょうか。起承転結が素晴らしい。
元の曲から短く編集したものを使う際、ダンサーにとって、その曲のどの部分をどう使って、何を表現するか、はとても大事だと思います。
最後はベリーダンスとは離れましたが、
音楽と踊りはいつも一体で、長年踊っているなかで、なんとなく好き嫌いやこだわり、聞いていて心地よいと思うパターンがあるな、と思っています。
音楽の作りやパターンについては、またどこかで書いてみたいと思います。
以上、「一日と一夜にして(恋に落ちる)」の記事でした。
まあ、わたし自身は一晩にして恋に落ちたことはないのですが…^^;
そして、恋バナの話だと思ってクリックしてしまった方、すみません!(^人^)
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