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債権管理の『3つのスキマ』とは?システム化で漏れなく確実に管理する方法
こんにちは!『マネーフォワード クラウド債権管理』のプロダクトマネージャーをしております、石塚と申します。
今回は、私の担当プロダクトも含まれる債権管理の業務領域において、漏れなく確実に請求・回収するための課題を「3つのスキマ」として深掘りしていきます。
中堅から大企業の経理担当の方
企業の情報システム部門の方
PdMやSaaSプロダクトに興味のある人
特にこのような方に読んでいただけると嬉しいです。
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■ システムは導入しているのに、請求書の発行や入金消込など手作業が
残ったままの「システム化のスキマ」
■ 販売システムと会計システムが連携されていなかったり、連携されていて
も相互訴求性がなかったりする「システム間のスキマ」
■ 経理・営業間、営業・取引先間で、請求書発行状況確認や入金状況確認を
おこなう「コミュニケーションのスキマ」
「システム化のスキマ」
まず、1つ目のスキマである「システム化のスキマ」は、債権管理業務においてシステム化できていない部分を指します。
実は、経理業務のなかで最も手作業の残っている領域の一つが債権管理です。非常に重要な領域であるにもかかわらず、作業をおこなっている担当者が数名に集中していると周囲から課題感が見えにくく、「今すぐ対応しなければ」という切迫感も生まれません。結果として、システム化が後手に回ってしまい、結局いつまでも手作業やミスのリスクが残り続けてしまう……というケースを多く見てきました。
その一つが「入金消込」の作業です。システムを導入したにもかかわらず、請求データと入金データを突き合わせて金額が一致しないものをひとつひとつ理由を確認し、必要に応じて差額調整仕訳を起票するといった、細かい手作業をおこなっているケースが多くあります。
このように手作業でおこなわれる処理は、入力ミスのリスクが高く、確認作業に時間がかかります。さらに、担当者間での情報共有も煩雑になってしまうため、多くの経理担当者が頭を悩ませている領域だと思います。
更に、与信管理については、重要性は認識されつつも形骸化してしまっている企業が少なくありません。
経理担当者に与信管理について質問すると「本当はちゃんとしないといけないんですよね」とバツの悪い顔でお話ししてくださったことがあり、印象に残っています。やらないといけないことは分かっていてもそこまで手が回らず、上がってくる稟議書の妥当性チェックが適切におこなえていないことへの罪悪感みたいなものがあることがうかがえました。
「システム間のスキマ」
2つ目のスキマは「システム間のスキマ」です。これは、複数のシステムの間で情報の連携が上手くいっていない状況のことです。
例えば、販売システムでは100件の取引として管理されているものが、会計システムでは1つの仕訳にまとめられているようなケースです。一見、システム同士が連携できているように見えていても、情報粒度が異なり関連付けも不十分だと、もし金額の不一致があった場合にその原因調査には非常に手間がかかります。
販売システムで確定した売上高を仕訳に集計して会計システムに連携したにもかかわらず、締め後に販売システムから追加や変更など入れられてしまうと、その分の不整合が発生します。このようなことが起きないように、現場レベルで運用ルールの徹底が必要ですが、実際は頻繁にそのようなことが起きるのが悩みという声をよくお聞きします。そして、その不整合が発見されるのは大体繁忙期の月次決算中のことなので、時間が無い中で差異の調査と修正に多くの時間を取られてしまいます。
また、古いシステムを継ぎ足し継ぎ足しで使っており、中身をわかる人が既に退職してしまっているというケースもよくあります。
そうなると、経理担当者がシステムの詳細確認や改善をお願いしてもわかる人がいないため、本来システム間で自動化できるはずの情報連携も手作業で対応せざるを得ない状況になります。
「コミュニケーションのスキマ」
3つ目の「コミュニケーションのスキマ」は、人と人との間で生じる課題です。
営業担当者と取引先、営業担当者と経理担当者とのコミュニケーションなどは、手間がかかるだけでなく、お互いに心理的な負担を感じてしまう繊細な領域でもあります。
経理担当者から営業担当者への入金確認も困りごとのひとつだと思います。取引先の未入金が判明すると、経理担当者は「取引先からの入金がまだなのですが、取引先に確認してもらえますか?」と営業担当者に連絡しなければなりません。
そして営業担当者も取引先に対し、穏便に確認できるよう気を遣いながら問合せしなければなりません。
このコミュニケーションは、かかわる全員に大きなストレスがかかります。
加えて、コミュニケーションのスキマはビジネスのスピードにも大きく影響します。例えば、メールや電話でのやり取りにはタイムラグが生じますし、システムを介したコミュニケーションでは、対象とした請求書の認識違いなどが起きることも少なくありません。
システム導入により3つのスキマを埋め、正確性を高める
私たちが目指しているのは、システム化のスキマ・システム間のスキマ・コミュニケーションのスキマを確実に埋めていき、経理業務で発生する漏れをなくすことです。
まず、「システム化のスキマ」の埋め方ですと、手作業がある部分を把握しシステムで自動化して情報を一元管理することで請求漏れ・回収漏れを防ぎスキマを埋めることができます。従来は、例えば「販売管理システムを強化し、債権の一元管理を実現する」「統合型ERPを導入し、基幹システム全体で情報連携する」などの方法がありますが、どちらも何千万、何億という莫大な資金が必要です。
これに対し、当社のようなコンポーネント型ERPクラウドサービスであれば、手の届きやすい価格で、スキマを埋めるために必要なモジュールをピンポイントで導入するという選択も可能になります。
これにより、従来は販売管理システムでの対応を諦められてきたような営業外収益や例外的な販売パターンなども柔軟に管理できます。また、限られた人員でアナログ管理されている請求書発行・入金消込の課題も解消できます。
次に、「システム間のスキマ」の埋め方です。
システム間のスキマを埋めるには、各システムの役割に応じた粒度で情報管理しつつ、互いの整合性を担保する必要があります。具体的には、販売管理システムの取引データと会計仕訳の間でユニークな番号を付与して関連付けをする方法が一般的ですが、最近では連携先のシステムがクラウドサービスなので、連携先システムのURL自体を連携してしまい、それをクリックすれば直接画面上で関連データを確認できる、という方法を取られるケースも出てきています。より良い連携仕様に変更・改善していく上でも、SaaSサービスからAPIが提供されていれば、仕様変更も比較的属人的な開発にならずに進められます。
そして、最後の「コミュニケーションのスキマ」については、クラウドサービスを使うことで解決ができます。
クラウドサービスを使うことで関係者全員が同じ情報を見ることができ、それぞれがリアルタイムで知りたい情報を確認できる環境が構築できます。請求状況や回収状況を社員が正確に把握でき、必要なタイミングで適切なアクションを取れる。そうすることで、これまでのような確認の手間や行き違い、タイムラグといった課題を解消できます。また、SaaSサービスであれば外部のコミュニケーションツールとの連携も比較的容易なため、日常的によく利用するツールを介して情報連携を行うことも可能になります。
経理の方々が、安心して経理業務を担える世界を目指したい
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私たちが目指しているのは、確実な請求・回収をおこない、経営の健全性をささえるシステムづくりです。現在「マネーフォワード クラウド請求書Plus」「マネーフォワード クラウドインボイス(送付)」「マネーフォワード クラウド債権管理」「マネーフォワード 掛け払い」というサービス群があります。これらを効果的に組み合わせて、取引発生から請求・回収・与信管理まで、各所のスキマをカバーできるサービスを提供していく予定です。
これまで、経理の方々が業務への不安やプレッシャーを抱え、心をすり減らしている姿を多く見てきました。だからこそ、私たちは本気で「経理さんの負担を軽減し、安心して業務に取り組める環境」の実現を目指します。
最後に
一緒にバックオフィスの課題に向き合いながら未来を作ってゆくメンバーを募集しています。共感された方、我こそは!という方、気になった方は、ぜひエントリーをお願いいたします。