ノルウェー女性文化大臣と #MeToo 若い男性との火遊びが代償に
ノルウェーでは、各政党で政治家たちが「セクハラをした・権力を乱用した」とする告発が相次いでいる。
多くは、権力のある男性から、権力が男性側よりもない女性に対するものだ。
しかし、与党・自由党の女性党首トリーネ・シェイ・グランデ文化大臣には、#MeTooが思わぬ形で影響を与えている。
過去の火遊びが、今になって大きな代償となって降りかかってきている。
2008年のセックスが、文化大臣を揺るがす
2008年、グランデ氏は国会議員・自由党の副党首だった当時、28歳。友人の結婚式に招かれた会場で、17歳の男性と知り合った。泥酔し、会場の外にあった麦畑で性行為をしたとされている。
この件は、ノルウェーの現地メディアは噂には聞いていたが、#MeTooが起こるまでは、「政治家のプライベートは、記事にしない」という認識がジャーナリストたちの間にはあった。
グランデ氏の火遊びは、伝統的な既存メディアではニュースになることはなかったが、インターネットでは頻繁に指摘されていた。自由党をよく思わない人たちの間で餌となり、グランデ氏は、もともと、ネットでのヘイトスピーチや陰謀説の標的になりやすい人物でもある。
その中で、新しくできた右翼系ポピュリスト・ニュースサイトResettが、この件を今になって報じた。
結果、今まで沈黙していたグランデ氏は、火消しにかかる。
自由党が初めて右派政権に与党入りし、自身が文化大臣となる前に、根拠のない噂を消そうと試みた。
1月に内閣改造が発表される日、グランデ氏は、「私は強姦者ではない」と全国紙アフテンポステンに答える。そのインタビューは表紙となった。
会話の内容は明らかにはなっていないが、アーナ・ソールバルグ首相にも、グランデ氏は自身の見解を説明してから、文化大臣に就任した。
しかし、火消しとなるはずだった新聞でのインタビューは、爆弾になってしまった。
Photo&Text: Asaki Abumi
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