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仲直りのホワイトデー【恋愛 ショートショート】
「もういい!裕翔なんか嫌い!」
「俺だってお前のことなんかもう知らねーよ」
俺は、彼女の翼とケンカした。理由は翼のヤキモチだ。俺が部活のマネージャーと仲良くするのがイヤなんだって言ってた。だけど部活なんだからしょうがないだろ、と思う。
いつもは一緒に帰るけど、今日は校門のとこで別れた。あーあ、誰かに見られたかな。明日なんか言われるかな。
次の朝、さっそくめんどくさいやつにからまれた。
「なあ、お前さ、一組の野田翼と別れたんだって?」
同じクラスの山口だ。なぜか俺のことを勝手にライバル視してくる。
「うるせーな、お前に関係ないだろ」
「へー、田中から聞いたの、ホントみたいだな。じゃあ俺、野田にコクろっかなあ」
「好きにすれば?」
「おー、んじゃあ好きにするわ」
もう俺は翼のことなんか知らない。山口とでもなんでも付き合えばいい。
その一週間後、本当に山口は翼に告ったらしい。一組の友達から聞いた。
「別にもう俺は翼なんて…」
だめだ。そう言いながら翼のことが頭から離れない。文化祭のあと翼がコクってくれた時のこと。初めてのデート、遊園地に行ったな、楽しかったな。部活の試合の時持ってきてくれた弁当、おいしかったな。翼の笑顔見てるだけでうれしかったな。それからバレンタインの…。ハッとした。今日ホワイトデーだ。
夕飯の後、母に出かけると言って、急いで自転車をこいだ。
翼の家に着くまでの間に、はっと気づいた。
バレンタインのお返し何も持ってない。
けど、お菓子なんか買えそうなとこはもう…あ、あった!
俺はコンビニに寄った。あった。翼の好きなスヌーピーの袋に入ったクッキー。
翼の家の前に着いて、俺はラインした。
「ごめん、翼んちの前にいるんだけど」
既読がついてすぐ、玄関から翼が飛び出してきた。
驚いたんたけど、翼は泣いていた。そして泣きながら、なんとか「これ」と言って渡してきた。
透明な袋に水色のリボンでラッピングしてあった。中身はクッキーだ。
「なんで…?」
俺はびっくりして聞くと翼は
「裕翔と仲直りしたかったから」
としゃくり上げながら言った。
「俺も…ホワイトデーだから」
とさっき買ったクッキーを渡す。翼の涙が止まってびっくりした顔をしていた。
「ごめん、また、ちゃんとしたの、渡すから…」
俺が言うと翼は首を横に振って言った。
「嬉しい。ありがとう」
俺は、そんな翼がかわいくて、ドキッとした。
「また、遊園地行こう」
また、翼の目から大粒の涙が流れてきた。翼は慌てる俺の手を握って言った。
「うん、行こう。裕翔、大好きだよ」
俺は翼のこと大事にしよう、ずっと一緒にいようって思った。
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ZIP-FMの野田つばささん、勝手にモデルにしてすみません💦
どうしても、GENZの交換小説の、つばさちゃんのイメージだったので…。
(来週ZIP-FMへ投稿予定)。