春の縁側ランチ【ショートショート ファンタジー】
お腹痛くて動けなくて、でもお腹すいでたので、猫のみみに一階から焼きそば持ってきてと頼んだ。
みみはお箸もきちんと持ってきてくれた。
けど、みみにはお皿は大きくて、バランスを崩して階段の最後の段で蹴躓いて、やきそばは床にぶちまけられてしまった。
みみはえーんえーんと泣いている。
私はみみをギュッと抱きしめて
「ごめんね、難しいこと頼んだね」
と言った。
みみはまだ泣いている。
「わたしが、わたしがころんだから、みどりのご飯なくなった」
「みみちゃん、いいの、みみちゃんの愛情でお腹いっぱいだよ」
そうだ。
私は残ったやきそばをコッペパンに挟んで、2つ作った。
「みみちゃん、お天気いいし、縁側行こう」
みみは泣きながらついてきた。
温かいミルクティーも淹れた。
「はい、みみちゃん」
みみに一個渡す。
みみはおずおずと受け取り食べて
「おいしいー」
と笑顔になった。
「よかった。みみちゃん、見てみて、コブシがもう咲いてるよ。きれいだねえ」
「ほんとだー」
みみは喜んでくれた。
二人で食べてミルクティーを飲んで、幸せなお昼ごはんになった。
「みみもね、みどりに食べてもらえるように、これ作るね、これおいしいね」
「ありがとう、楽しみにしてるね」
春ののどかな日差しの下、二人で素敵なランチをした。
春っていいね。
明日もこんな気持ちいい日になるといいな。