2022年2月の記事一覧
氷の星へ【ショートショート SF】
その時代、人々はすでに地球を模した宇宙船に乗っていた。都市1つ単位くらいの大きさのそれには、空も投影されており、朝が来れば日が昇り夜が来れば暗くなり星や月が映される。
草木を潤すために時折雨を模したものがスプリンクラー代わりに空から降る。雨は川となり濾過され循環している。マジックファウンテンみたいなものだ。
食糧は作れるだけは船内で作り、足りない分や飲水は地球から補給していた。
そう、地球は
井戸の中の生活【ショートショート ファンタジー】
井戸の中には実は幾人か住んでいる。
家族というわけではなく、一人ずつやってきたのだが、今となってはみんなでそれなりに仲良くやっている。
井戸の中にはいくつか部屋があって、上から覗いて見える部分は共用スペースだ。言うなればリビングだろうか。
井戸の中には今、5人の男性が住んでいる。
年齢としては40〜80代。
みな、それぞれの趣味を持っていて、適度な距離で接していて、一人で過ごしたいときは
月の夜船【ショートショート】
きれいな月の晩、僕は漕ぎ出す。君に会いに。
夜空に静かな波を立てながら、オールを漕ぐ。
水面に写った月を揺らしながら、舟を進める。
穏やかな時がゆったりと流れる中、僕はぼんやりと流れる雲を見ながら水面を滑らしていく。
星が一つ流れる。君の幸せを3回祈る。
渡り鳥とすれ違う。これから寒い国へ行くんだろうか。
僕が着くと君はベランダで待っていてくれる。
月の光のような美しい白いドレス。