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あさき
2020年9月7日 18:07
僕らの街には不思議な奴がいる。他の街にこんな奴いたらみんな怖がって追い出してしまうだろうけど、こいつは意外と街の人に受け入れられている。その理由は、こいつの持っている能力だ。こいつはふと思いついたように、その場にいる人に話しかける。「厄災か祝福か」答える人は、突然なので慌てる。けど、まず最初に必ず「祝福!」と答えなくてはいけない。そうしないとひどいことになるからだ。「しゅ、祝福!」急い
2020年9月3日 18:18
遠く雷の音が響いてくる。近づいているのか。遠ざかっているのか。降り出した。どうやら近づいているらしい。僕は雷が怖い。家にいるときに雷が鳴ると、迷惑がる美枝子を抱きしめている。美枝子は同棲して二年になる彼女だ。僕は美枝子のことが好きなわけではなかった。嫌いではないし、一緒にいて楽しい。けれどそれが、一緒にいる対象が、どうしても美枝子である必要がなかった。美枝子のように居心地のいい