レンタルビデオ店でのバイトのはなし
朝活ナースは大学時代にいくつかのアルバイトを経験した。
以前にコンビニバイトについて記事を書いた。
今回はレンタルビデオ店でのバイトについて書いていきたいと思う。
働いていたコンビニのオーナー(妻子持ち、おそらく当時50歳くらい)に愛の告白をされ、気持ち悪くなったのでコンビニバイトを辞め、朝活ナースは次のバイトを探した。
家の近くのレンタルビデオ店のスタッフ求人が載っており、利用したこともある店舗だったのでそこに面接に行くことにした。
映画やアニメを観るのが好きで、店員になったら割引でDVDを借りれるかもしれないという下心もあった。
面接希望の電話をし、約束の日に店舗に行った。
カウンターのスタッフに面接に来ましたと声をかけると、店長を呼んでくると言って店の奥に消えていった。
程なく30代後半くらいの生え際と頭頂部がさみしい男性が現れた。
事務所に通され、履歴書をみながら面接が始まった。
志望動機などいろいろ聞かれ、一通り答えた。
次の日に連絡があり、そこで働くことが決まった。
レジの利用方法(貸出・返却・検索・新商品登録・新規会員登録など)、売り場への商品返却の方法、掃除の方法、傷ついたディスクの研磨方法などを先輩からオリエンテーションを受けた。
一日にたくさんのことを教わったが、次の日には何の指導もなしに全てできるようになっていたので先輩も驚いていた。
仕事に慣れたあたりで、担当を決めることになった。
洋画・邦画・アニメ・アダルト・CDの中で担当したい分野の希望を聞かれ、一番詳しいアニメDVDを希望した。
担当になった分野の新作商品のポップ作成や、特集の企画などを行う。
これがまたすごく楽しかった。
まず絵を描くことが好きだったので、ポップづくりは単純にわくわくした。
アニメキャラクターのイラストを模写し、棚を賑やかに装飾した。
また、特集の企画もやりがいがあった。
私が好きだったアニメ監督が亡くなったという訃報を聞いた時、その監督の作ったすばらしい作品をみんなに知ってもらいたいと思った。そこで、追悼コーナーという形でその監督の作品ばかりを集めた特集コーナーを作った。
商品の貸し出し回数などがレジで管理されているのだが、特集コーナーを作ってから、その監督の作品のレンタル回数が右肩上がりになっており、とてもうれしかったことをよく覚えている。
業務の中で苦手だったのが、返却期限を過ぎている客への電話連絡である。
返却期限を3日超えている客に対し連絡をするのだ。
大体の客は遅れても1~2日くらいに返却に来る。
3日以上遅れる客は完全に忘れている人、または借りた物を期限までに返すという概念がない人の大体2通りである。
前者の場合ならいいのだが、後者の場合はかなり厄介である。
延滞の電話をすると「なんでそんなん払わなあかんねん。」と逆ギレされてしまうこともよくあった。
リストの中には延滞数百日にもわたり、恐ろしいほどの延滞料金が記載されている者もいた。
ある一定の期日を過ぎると、登録されている住所に督促状を郵送する。それでも反応がない場合は、業者に依頼するという流れが決まっている。しかしそこまでいった人は見たことがなかった。
もう一つ苦手というか困るのが、アダルトDVDの返却だ。
時間帯によっては私一人でシフトに入ることもあった。
同じ年くらいの男性が、レンタルしたアダルトDVDの返却に訪れ、私の顔を見て気まずそうな表情を浮かべ、返却ボックスに商品を投げ込み、急いで帰っていくこともあった。
また、アダルトDVDコーナー(カーテンの向こうの世界)で棚への返却作業をしている時は、私の姿を確認した瞬間にUターンをする人もいた。
私自身は全く何も思わないのだが、申し訳ないなといつも思っていた。
しかしおかげさまでセクシー女優の名前にはとても詳しくなった。
休日の朝にただ人と話したいがために来るおじいちゃんがいた。
いつも「なにがおすすめ?」と聞き、それを借りていく。そして返却の際にその感想を聞かせてくれる。
そのおじいちゃんとのやりとりが私は好きだった。
いつの日か急にぱたりと来なくなり、それからその方がどうなったかは知らない。
ただDVDを貸す、客はそれを観て返す。
とても単純な流れであるが、その人がその作品を借りる理由に想いを馳せると、なかなか面白いものである。
今何かアルバイトをするとしたら私はもう一度レンタルビデオ店で働きたいと思っている。
おしまい。