札幌生活 〜夏〜
東京以外の土地に住むのは初めての経験。
特定の土地に固執する理由はないし、気候変動もあってすごしやすい土地へ移住するというのはごく自然な選択。
技術は身に付けているので、いきなり見知らぬ土地にお邪魔しても経験者ということで仕事にありつける。
どの業界も高齢化&人手不足のおかげで、僕の年齢でも新人としてまだ使ってもらえる。
同じ職種でも、会社によってスタイルや系統が大きく異なるし、まして東京と北海道とでは文化や土地柄の違いもある。
旅人としては環境適応性が大いに求められるところ。
どんなに順応力があっても言葉が違えば自分だけよそ者感が際立ちそうだが、ここは限りなく標準語。
長い時間をかけて固有の方言が形成された東北から、海を越えてさらに辺境の島へ渡ると逆に標準的な日本になる、この違和感。
北海道が正式に日本になってからまだ155年しかたっていない。
民族的にも言語的にも異なるアイヌ人が暮らしていたこの地を、ロシアの南下を牽制すべく日本が先手を打って制圧した。
本州各地から移住してきた日本人たちが北海道を開拓したため、言葉はさほどクセのない標準に近いものとなった。
人は大らかで、東京のような病的な神経質さは感じない。
職場の方々からもいつも良くしてもらっている。
今や北海道の夏もそこそこ暑いが、それでも東京の地獄のような暑さとは比べるまでもなく爽やか。
梅雨もなければ台風も来ない、ゲリラ豪雨もない。
仕事の現場は都市部だけではない。
ちょっと離れただけで、こんな風景。
やっぱ広いな。
石狩川。
会社までは自転車通勤。
道路もやはり東京より走りやすい。
早く雪降ってほしいな。
住処はシェアハウス。
生活していく上で欠かせないのはギター。
東京のシェアハウスより安くて広いが、そこまで格安というわけでもない。
部屋はエアコンなし扇風機のみ。
北海道も年々気温上昇しており、今は多くの住居でエアコンが付いていると聞いているのだが。
さすがに暑いよ。
共用リビングにはエアコンあり、自分の部屋のドアを開けてなんとか冷気を取り込む。
僕以外の住人は全員外国人。
多くがリモートワークのようで、昼も夜もずっと家にいる人たち。
かれらのクライアントはアメリカ人だったりヨーロッパ人だったりで、ドルやユーロで収入を得ている。
そんなリモートワーカーたちにとって今のここでの生活は笑っちゃうぐらいコスパ最強に違いない、自炊などせず日々外食しながら優雅に暮らしている。
ほとんどが短期滞在で、数週間〜数ヶ月で去り、どこかへ移動して行く。
僕の日々の弁当。
職場の方からのお誘いで、ジンギスカン食べ放題。
主にオーストラリアやニュージーランドからの輸入羊肉だが、日本人の口に合うようにクセの少ない食べやすいものが流通しているようだ。
多分野のスペシャリストたちに恵まれてきた。
長年のサイクリングで目を痛めてしまった僕は、サングラスが手離せない。
するとサングラスのスペシャリストに出会ったりする、しかも網膜剥離の術後だったな。
ちょっとおかしいんじゃないのってぐらいのそのサングラスマニアから、旅に出るごとにサングラスを提供してもらっている。
新たなサングラスが送られてきた。
いつも最高にクールなサングラスとともに旅させてもらってます。
感謝。
まだ9月中旬だというのに、すっかり夏は終わった。
もうエアコンも扇風機もいらない。
どんな冬がやって来るのか。
新天地での生活は実に楽しい。