旅のキャンプ
オーソドックスなドームテント。
長旅において、テントは大事な生活空間。
1人用テントなんて狭すぎて耐えられない。
床面積2×2mぐらいの3~4人用がベスト。
日々ハードに使っていると防水機能が低下していくので、高価なテントは買わず、テントは消耗品とみなして安価な物を買い換えながら旅を続ける。
収納すると幅60cmほど、重量は3kg弱。
シュラフは、ここ数年はナンガのオーロラライト450DXを使用している。
快適温度-5℃、限界温度-21℃、ダウン450g、総重量865g。
なんとこれ、防水透湿。
シュラフカバーいらず。
しかも洗濯できる。
難点は、短いセンタージッパー。
出入りしづらいし、微妙に暑い夜に困る。
次回はふつうに全身開閉できるものを選びたい。
収納時。
ちなみに僕は、日本で生活している時も布団など買わず、シュラフで寝ている。
夏はシュラフシーツだけで十分。
マットは、THERMAREST。
冬季の自転車旅は、走行中は身体が暖まるので寒さはたいして感じない。
危険を感じるのは、キャンプの夜。
-20℃台でも眠れるぐらいの装備が欲しい。
しかし、世界旅行の防寒対策は難しい。
なぜなら暑いところも行くから。
冬山用や極地用の物も売ってはいるが、当然重量が増す。
寒冷地を抜けたら、防寒アイテムは重荷でしかない。
可能な限り軽量でコンパクトで、かつ防寒性の高いものを選びたい。
むやみに重ね着しても、荷物が重くなるだけ。
基本的な防寒は、良質なアウターと良質なインナーの2着ですます。
アウターは、モンベルのパーマフロストライトダウンパーカ。
434gと軽量で薄っぺらいが、高い保温力、防風、撥水、透湿。
アウトドアウェアは、なんといってもモンベルがすばらしい。
欧米の有名ブランドだと、同スペックでもモンベルより数万円高くなる。
これは国産の強み。
欧米のブランドも、日本ではべらぼうに高い値で売られているが、本国では格安だったりする。
ダウンジャケットも、これぐらいコンパクトに収納できるなら、夏季に使用しない間もバッグに入れておいてもいい。
インナーは、欧米人に人気のクラフトと国産モンベルの両方を試したが、モンベルの方が安くて良質。
スーパーメリノウール(厚手)。
レインウェアもモンベル。
ゴアテックスのレインウェアは、雨天時のみならず防寒着としても活躍する。
夏の熱帯夜のキャンプもしんどい。
今までは扇子が必需品だったが、今後は携帯扇風機を検討。
ヘッドランプ。
キャンプの夜は、身の周りの物がわかる程度でいい、強烈な光は必要ない。
条件としては、小型であること、USB充電、防滴。
洗濯ロープも必需品。
スーパーで売ってる物でも機能性耐久性ともに良い。
ワンタッチテントは、すごくいい。
厳密にはワンタッチではないが、テント最上部から出ているヒモを引っ張るだけで、ポンッと開いてできあがるすぐれもの。
雨雲が迫っている時や日没が迫っている時など、テント設営の時間を短縮できるのならそれに越したことはない。
前室付きテントは、雨天時に扉を開けていきなり濡れたりすることがないのでいい。
テントが浸水するようになると、こまめに雑巾で吸い取って外で絞って、を繰り返すことになる。
経験を重ねても、未知の土地で適切な野営地を見つけるのは簡単ではない。
大原則は、人から見られないこと。
自転車走行中は、地元の人から話しかけられたり興味を持たれたりするのは大いに喜ばしいことだが、野宿中は誰にも見られたくないし、仮に見られても興味を持ってほしくない。
橋の下は、誰にも見られず、かつ雨や直射日光も防げる。
きれいな川が流れてたりしたら、言うことなし。
道路下の排水路もうってつけ。
ただし、大雨が降ると恐怖。
人に見つかってしまうこともある。
貧しい国ほど、外国人に対する注目度が高まる。
マダガスカルでは、気づくと20人ほどのマダガスカル人にテントを包囲されてた、なんてこともあった。
インド人やネパール人は、とりあえず人の物をなんでも触る。
テントもめずらしがって触りに来る。
カシミールでは、標高3000mでテント生活を送るカシミール人の集落におじゃまして、僕もテントを張らせてもらった。
先進国ほど外国人に対する注目度が下がる。
欧米ではサイクリングやアウトドアもさかんで、特に森が豊かなヨーロッパでは野宿も容易。
フランスで野宿地を探してたら、「ウチの敷地にテントを張りなよ」と声をかけてもらったこともあった。
どこまでが敷地?
思わぬ来訪者も。
ハンガリーでは、就寝中にネズミにテントを食いちぎられた。
ギリシャでは、廃墟に忍び込むことも多かった。
雨雪風をしのぐ屋根と壁があるだけで、格段の安心感。
テントの最大の敵は、風。
暴風が吹き荒れるアイスランドでは、限界に達してやむなく撤退。
こんなん、寝れるかっ。
タクラマカン砂漠では、毎夕猛烈な砂嵐に襲われた。
二回目以降は準備して構えたが、初回はテントの中がメチャクチャになった。
暑さが厳しい地方は過密で野宿しづらいが、安宿が豊富にあるので泊まりやすい。
逆に、寒さが厳しい地方は物価が高くて宿に泊まりにくいが、希薄なので野宿しやすく、アウトドアがさかんでキャンプ場も豊富にある。
暑さと寒さ、どっちがいいか?
どっちも度を越したのはごめんだが、個人的には極寒と酷暑だったら極寒の方がいい。
酷暑のキャンプは、とにかく冷たいコーラとアイスへの渇望に耐えられず、汗でベタベタでシャワーも浴びれないのも気持ち悪い。
物価が高すぎる北欧では、屋根のある場所で寝ることはほとんどない。
ノルウェーで北極海を見ながら。
人に見られないことが大原則、と言いながら、治安が良くて外国人に無関心な北欧では、思いっきり人に見られる道路際にテントを張ったりもした。
寒冷地では、自転車に鍵をかけない方がいい。
翌朝、鍵が凍ってしまって開けることができず、ライターであぶるハメになる。
バイカル湖の氷上キャンプ。
闇が訪れない夜もある。
白夜のアラスカでは、深夜1時でもこの明るさ。
アメリカのイエローストーンでは、雪に埋もれかけた。
-23℃でのキャンプ。
モニュメントバレーのキャンプ場、夜は-10℃。
メキシコのサボテンと。
モロッコで、大西洋に沈む夕日。
サハラキャンプ。
ナミビアの荒野で。
標高4000mのパミールの湖畔で。
台湾最高地点の武嶺で、雲海を見ながら。
高級ホテルはせいぜい星5つだが、無料の野宿の夜は無数にきらめく星々に包まれる。
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