孑孑日記㉘ 同性婚とパートナーシップ
同性婚についてここ数年ずっと議論がなされている。個人としては認めても一向構わないし、認めないことで生まれる利益は認めないことで生まれる不利益を上回らないと思う(「婚姻は「両性の」合意に基づく」をどう処理するかという問題は残るとしても)。一方で、同性婚の法制化を目指すならば、同性婚を異性間の婚姻に近づけるのでは、永劫認められることはないのでは、と思う。なぜなら異性間の婚姻にこだわる人たちからすれば、婚姻は生殖にダイレクトに関わるものであり、そこに恋愛というロマンティックラブ・イデオロギーが加わっている。ロマンティックラブは男女の性欲と愛情の帰結という前提がかれらには染みついているから、同性婚をその範疇に入れようったって、どだい無理な話である。
じゃあどうすんだという話だが、同性婚はすでに地方自治体の一部ではパートナーシップ制度が導入されており、少なくとも公的に生活をともにする共同体として認められている。だから、主張するべきはロマンティックラブの到達点としての結婚ではなく、生活をともにする共同体としてのパートナーシップなのではないか。そしてそのパートナーシップを婚姻に寄せるのではなく、反対に婚姻をパートナーシップに寄せていくムーブメントが必要なのではないか。むしろこっちのほうが、婚姻への参入の間口が広がるし、ロマンティックラブの帰結としての婚姻も毀損しないからありだと思うのだが、どうだろう。同性婚を非難する人たちは、同性婚の否定がまず結論としてあり、その正当化の理由を適当に言ってるだけだから、聞く耳は持たれないとは思うが……
(2023.8.24)
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