第26回『寿司職人への道②』
シャツ一枚で過ごせる季節がやってきました。
心まで吹き抜けていくような風が心地いいですね。
どうも、あさい妹です。
週一で更新していた交換noteも、気付けば月一更新になっていました。
ゆっくりする分、内容の濃い話が書けたらと思います。
さて、今回は『寿司職人への道①』の続きを書いていきます。
⚫︎見習い初日
寿司屋らしい真っ白な制服に、短く切った爪。
髪はピシッと一つにまとめ、結婚指輪は自宅に置いてきた。
そして、鏡の前に立った私はニタ〜とゆっくり笑った。
(これから”この私”で毎日やっていくんだ…!)
鏡に映る自分は不自然で可笑しかったけど、心の中はやる気で燃えていた。
ミーティングでサクッと自己紹介をして、営業がスタート。
シャリの炊き方、お茶の淹れ方、ドリンクの作り方、魚の焼き方、味噌汁の作り方、洗い物、電話対応まで…初日から沢山のことを教わり、何もかもが新鮮な一日だった。
その日の夜。
夫に1日の出来事を報告。
新たなスタートを切ってお互いホッとしたところで、そろそろ寝ようかと目を閉じる。
しかし、その数分後…
「サカナくさーーーーーッ!!!!!」
お風呂で念入りに洗ったはずの私の手から、モヤモヤ〜とした紫の煙が出ている。
そして、何故か人は「なんか臭いなぁ?」と疑問に思うレベルを遥かに超える、圧倒的な臭さを感知すると笑う。
臭いって面白い。
臭いって笑っちゃう。
夫はそのまま笑い疲れて、いつの間にか寝てしまった。
臭いの元である私は、当然眠れる訳がなく朝を迎えた。
※ちなみに今はもう全く臭くありません。その理由は、鼻が慣れたからです。
●寿司屋の仕事
私が働くお店は、コース料理で客単価は1万円くらい。席は30席あり、カウンターの中には職人が数名いるスタイルで営業している。
ここからは職人が数名いるお寿司屋さんについて解説します!
まず全体を見渡せる位置にいるのが、”一番手”。そして”二番手”、”三番手”と続き、若手の職人さんは厨房に近い位置に立ちます。職人はお客様のペースに合わせながら、ネタを切りつけ、寿司を握り、全体を見て指示を出します。
”裏”は、ドリンクを作ったり、洗い物をしたり、焼き魚や味噌汁、茶碗蒸しなどを作り、カウンターへ持っていきます。
お客様にドリンクやお味噌汁などをお出しする”ホール”は、どのお店もアルバイトが多いように感じますが、寿司職人を目指すのであれば、まずは裏やホールの仕事をミスなく、速くこなさなければ、未経験からいきなりネタを切りつけ、お寿司を握ることはないと思います。
私は裏とホールを担当していましが、それぞれの大変さや難しさを知ることが出来て良かったです。
裏は、職人が欲しいタイミングに、一番美味しい状態でお客様に出せるよう料理をお出しする。
ホールは、お客様の後ろから声をかけ、必ずこちらの気配を感じたのを確認してからドリンクやお味噌汁などをお出しする。熱々のお茶を注ぐことも多いため、うっかりぶつかってしまった!なんてことがあったら大変なことになります。
また、寿司屋では数字や料理を隠語でやりとりします。
隠語はお店によって異なるため、お店で働く前は必ず確認し、完璧に覚えてから現場に入るとスムーズかと思います。
例えば、数字の1、2、3も、寿司屋ではピン(1)、リャン(2)、ゲタ(3)と言います。
数字の数えた方は二桁になっても続くため、最初はポケモンの歌感覚で覚えていましたが、由来を調べると面白くて、気づいた頃には覚えていました。ゲタ(3)は、下駄の鼻緒をとめる穴が3つあるからなんだとか。
●言語、体力、戸惑い、壁
タイトルが、これしか思い浮かばない。
働き始めてまだ1週間しか経っていないというのに、からだは1ヶ月のように感じていた。
私は別業種から来た宇宙人なのだから、当たり前に様々な壁にぶつかる。
一つ前に話した寿司屋の隠語は完璧に覚えて現場に入ったが、飲食業で当たり前に使われている業界用語を知らなかったのだ。
兄貴、残(ざん)、都合、掃除、トレンチなど…
忙しい現場でいきなり言われて、え?と一瞬固まると、ちょっとムカつかれてるのが分かる。やばい。壁、その1。
壁、その2。これまで誰とも話さずPCに向かって仕事をしていた私は、仕事中に軽い冗談を言ったり、雑談をすることに戸惑う。
壁、その3。毎日ディズニーランドの帰り道のような、土踏まずがつるような痛みに襲われる。おまけに肩には1000ミッキーくらいのしかかっている。
壁、その4。この壁が一番私を悩ませた。マニュアルがないため、職人によってやり方が違う。私と同期で入った年下の若い男の子が、先輩から教わったやり方でやったのに、他の先輩から怒られている。どうしよう、助けたい。
つづく
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アサイ兄へ
最近ファイフを買いました。
あさい妹より
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