歯が溶ける!?
皆さん、酸蝕症という歯が溶けていく症状を
ご存知でしょうか?
酸の強いものをお口の中に含めば含むほど、
歯のエナメル質が溶けるという症状です。
それは外から口に含む酸の強いドリンクもありますし、
嘔吐するときの胃酸による中からの影響というのもあります。
最近急増しているみたいなんですね。
その急増している原因として三つありまして、
特に若い層で清涼飲料水の摂取が増加している。
あとは今、メンタル系も結構来ているようで、
拒食症とか過食症などの摂食障害による影響。
それに、健康増進のためのお酢や
クエン酸やワインの摂取量の増加。
ワインはこの近年のブームによって飲む方が増えていますが、
意外と酸味が強くてエナメル質を溶かすドリンクのようです。
そして三つ目は、高齢者に特に多いのですが、
胃食道逆流症の増加。
これも胃酸が口の中に上がってくることで
溶かされやすくなってしまうということです。
虫歯との違いは、虫歯というのは、プラーク、
歯垢の中に住む虫歯菌の出す酸によって局所的に歯が溶けます。
でも酸蝕症というのは、酸に触れた部分全体が広範囲に溶ける。
虫歯が局所的、酸蝕症は広範囲ですね。
まず表面のエナメル質が溶けて、
進行するほどに中の象牙質というのがむき出しになっていきます。
だから酸蝕症の場合は知覚過敏が起きやすいのが特徴です。
こんな経験はありませんか?
レモンをかじったり、梅干しを食べたり、
酸味の強いドリンクを飲んだりしたときに歯が軋んだこと。
これはエナメル質が溶けて、
すりガラス状になっているような感じなんです。
だけどしばらくするとその軋みってなくなりますよね。
それは唾液の力によって再石灰化が起こり、
元通りに修復されているからです。
エナメル質が酸味の強いものを
食べることで溶けると聞くと怖いですが、
でもいま申し上げた通り、
唾液の力によって再石灰化が起こせるのであれば、
唾液を潤沢に分泌できる身体でいるだけで
相当予防になるということです。
以前、2021年の11月10日に
「美と健康は唾液次第という真実」という放送を
お届けしました。
これを聞いて皆さん、
唾液がたくさん分泌できる身体を目指してください。
そうすることで、
酸蝕症による歯への弊害を防ぎやすくなれるのかなと思います。
▼美と健康は唾液次第という真実
では、どんなものが、この酸蝕症を引き起こす
pHが高いのかといいますと、1番は胃酸。
やっぱり胃酸というのは、
食べたものをどんどん溶かしますからね。
それだけ酸性度が高く威力も強いです。
逆流性食道炎の方や摂食障害、拒食症や過食症の方は
歯がボロボロになりやすいです。
そういった方々は、メンタルケアや体調の管理で、
胃酸の影響を受けることを防いでいただきたいなと思います。
あと市販の食べ物・飲み物だと、コーラとか、
あとオレンジジュース、柑橘系のジュースはpHが高いですね。
そしてスポーツドリンクにはクエン酸が結構含まれていますので、
そういった意味でもpHが高いです。
乳酸菌飲料もそこに分類されます。
市販飲料のわかりやすいこのpH値の図があったので、
画像を貼ります。
皆さんこちらを参考にしてみてください。
よく買って飲んでいるドリンクのpH値はいくらでしょうか。
pH5.5を境にエナメル質が溶け始めるのだそうですが、
面白いことにビールは、キリンラガー、
これはpH4.3だけど、アサヒはpH3.9なんです。
ビールによってもpHが違うんですね。
このpHというのは、数が少なくなればなるほど
pHが高くなります。
レモンはpH2.1なのでめちゃくちゃ高いですね。
レモンに関してはすごく気の毒な話があって、
ネットの情報か何かを鵜呑みにした男性が、
レモンの輪切りスライスを前歯に挟んだまま
ジョギングをしたのだそうです。
それをつけておくと、
歯が白くなるという情報があったらしいんですよ。
それを続けた結果、エナメル質がすっかり溶け、
象牙質むき出しになって、もはや普通の歯ブラシも
危険な状態になっている、そんな話もありました。
というわけで柑橘系、レモン、グレープフルーツ、
結構pHは高いので、歯にべったりつけながら
食べるのはよした方がよさそうです。
オレンジやみかんは、レモンやグレープフルーツに比べると
若干低いですが、pH3.5と、5.5からは結構乖離していますからね。
紅茶系は大体5.5付近でセーフでしょうか。
緑茶はpHは高くないです。
あと豆乳とか牛乳とかは全然大丈夫です。
あと、フルーツは大体pHが高くて、
エナメル質が溶け始めるゾーンのものばかりですね。
レモンは1番高いのですが、
トマトジュースでも5.0なのでちょっと溶けるゾーンにいますし、
野菜ジュース3.9、まあまあ高いですよね。
果物自体で言うと、モモも3.1。
モモなんて酸味を感じないのにね。
ブドウも3.3、パイナップル3.3、トマト3.7、イチゴも3.6。
フルーツ全般は結構pHがあるものと思った方がよさそうです。
バナナはどうなんだろう。
今見ている分にはバナナが載ってないのでわかりかねますが、
バナナは酸味少なそうなイメージがありますけどね。
アルコール、ワインが2.3ですよ。
もうレモンレベル。
そして日本酒も結構あります。
梅酒はわかりますよね。梅酒2.9。
でもワインよりはちょっと低いですね。
チューハイは柑橘系のものが含まれているので、
高めになっています。
アルコールで大丈夫なのは、
ブランデー、焼酎、ジン、これらは溶けるゾーンにはいません。
勘違いしていただきたくないのが、
アルコール自体のpH値が高いから歯を溶かすわけではなく、
各種アルコール類に含まれている、その中のpH値によるものです。
次回も酸蝕症についてお話します。
▼音声で聞きたい方はこちら
(2022年8月28日配信分)
「緩和ケア」と「産後ケア」。一見対極な存在と見られがちですが、両方を経験しそれらは近い存在であり、両方の重要性を心から訴えたい。これらの在り方捉え方の啓蒙、それらにお役に立てる活動をすることが私の将来の目標です。頂いたサポートはそのために使わせて頂きます!