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機能性発声障害

機能性発声障害とは

1. 機能性発声障害とは

機能性発声障害(Functional Voice Disorder, FVD)は、声を出すための身体的な機能には問題がないにもかかわらず、声が出にくくなったり、異常な声が出たりする状態を指します。喉頭や声帯には器質的な異常(例えば腫瘍や炎症など)が見られないため、「機能性」と呼ばれています。心理的なストレスや緊張が原因となる場合が多く、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすことがあります。そのため、筋肉に力が入りすぎるもの(過緊張がみられるもの)を過緊張性発声障害(hyperfunctional dysphonia)、筋肉に力が入らない・入りにくいものを低緊張性発声障害(hypofunctional dysphonia)と呼ぶこともあります。


2. 主な症状

  • 声のかすれ:声がかすれて聴き取りにくくなる

  • 声の出しにくさ:声を出そうとしても力が入りすぎたり、逆に弱々しくなる

  • 喉の違和感:喉が締め付けられるような感覚や痛みを伴うことがある

  • 突然の失声:極端な場合、急に声が出なくなることも

症状は個人差が大きく、話し方や声のトーンに影響することが特徴です。


3. 原因

機能性発声障害の原因は多岐にわたりますが、以下が主な要因です。

  1. 心理的要因

    • ストレスや不安、抑うつ状態などの精神的負担

    • パフォーマンスや人前で話すことへのプレッシャー

  2. 誤った発声習慣

    • 長時間の無理な声の使用や、喉に過度な力を入れる癖

  3. 身体的要因

    • 肩や首の筋肉の緊張

    • 不良姿勢や呼吸法の問題

  4. その他の要因

    • 突発的なショックやトラウマ

    • 長期間続く風邪や喉の不調からの回復後


4. 診断と治療

診断

耳鼻咽喉科の診察を通じて、声帯や喉頭の状態を確認し、器質的な異常がないことを確認します。また、心理的な背景や生活習慣についてもカウンセリングを行います。

治療・改善方法

  1. 発声指導

    • 専門の言語聴覚士やボイストレーナー、ボイスクリニックの医師による正しい発声方法の指導。

  2. 心理的アプローチ

    • ストレスマネジメントやカウンセリング

    • 認知行動療法(CBT)

    • ソマティックな心理療法(身体感覚から自律神経系を調整する)

  3. 身体的アプローチ

    • 姿勢改善やリラクゼーション法

    • 呼吸法や筋肉の緊張をほぐすエクササイズ

  4. 医学的アプローチ

    • ボツリヌス注射

    • 場合によっては手術を行う

  5. その他の治療、アプローチ

    • 薬物療法や一時的な声の休養が必要となることも。


5. 予防とセルフケア

  • 声の使い方を見直す:喉に負担をかけない発声を心がける。

  • リラクゼーション:日々のストレスを解消するための時間を確保する。

  • 体のケア:姿勢を正し、肩や首のストレッチを行う。

  • プロに相談:症状が続く場合は早めに専門家に相談する。


6. おわりに

機能性発声障害は、適切なケアと治療を行えば改善が期待できる障害です。声の不調が続く場合、早めに専門家の助けを借りることで、回復への道筋をスムーズにすることができます。心と体の健康を大切にしながら、自分に合った方法で取り組んでみましょう。

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