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「あさいはじまり」収録作品「ふるさと」が北海道新聞日曜文芸欄に載りました!&もうすぐ中島公園ぶんがく縁日

こんばんは。
文学フリマ札幌以来の更新となります。

さて、タイトルのとおり、
9月22日付け北海道新聞日曜文芸欄(若宮明彦先生選)にて、私の詩「ふるさと」が掲載されました!!!
文学フリマ札幌の真っ最中だったので本当にびっくりしました。まさかこんなタイミングで掲載されるなんてあるのか!と。
で、私はワンオペで接客中なので自分では道新を買いに行けず、フラジャイルで出店していた柴田望さんが何部か購入してくださる……というありがたくも申し訳ない一幕も。。ありがとうございました。

掲載される際は、誌面の関係上、改行ができず、ちょっと印象が違うと思うんですけど、ここで8月22日ヴァージョンの作品を全文公開します。
なお第一詩集「あさいはじまり」では、レイアウトでだいぶこだわっており、ちょっとここでは再現が難しく、多少言葉選びも推敲していたりもあり、第一詩集「あさいはじまり」ヴァージョンは作品をぜひ直接ご覧いただきたいと思います。


ふるさと 
朝伊ミチル

針葉樹の
果てに生家はある

草木があり
農地があり
木こりがいる
他には何もない

熱気球の祭り
メガネ橋
日本一広い牧場
名物は いろいろあるけど

生来のぎらついた激情が
笑われたりするような
のんびりした田舎町
狭い世間

居場所なんてなかった
そう思えた

音楽と
文学と
憧れと
それだけが友達

何も持たずに
町を捨てた

日本一の大都会に憧れたけど
脳内の電気ショックで
吹き飛んだ
妥協して辿り着いた先は
「手に届く範囲で一番の都会」

人の群れは
私に優しくなくて

欠損のない
小器用な
賢い
人間を選別して

心を病み
困窮し
独りのまま
行くところまで堕ちた

居場所なんてない
そう思った

地下鉄や
喫茶店
古本屋に
夢があって

生来のぎらついた激情は
のんびりした都会では
空回りするばかりで
普通っぽくて 優しくて
ゆっくりしているのが望まれる
擬態して振舞って
それはもう 私じゃない
「本当はここじゃない」
そう思って二十年が経った

しがらみだらけの
育った街が苦しい

針葉樹
草木の群れ
面白がって
余所から来た人たち

ホテルが建ち
浴場が建ち
道の駅が建ち
町は変わり

小さいまま
幅広い人に開かれた

時々は帰って来る

熱気球の祭りは
今も続いている
崩落寸前のメガネ橋を
撮り続けるカメラマンが来て
日本一広い牧場は
まだ広いまんまで
名物は いろいろあるけど

のんびりした都会の奥の方では
ギラギラ、ガチャガチャ、ドプドプと
絶えず蠢いてるアートのシーン
常識破りの表現者たち
普通っぽくない人たち
擬態してたら見透かされるような
繊細で凸凹な人たちの中で
私はようやく息ができた

想い出と
日常
描く夢
それだけを抱きしめて

生まれた町
育った街
まだ知らないところ
自由に選んでいく


ありがとうございました。これからも励みます。

さて、続いては、もう明後日に迫りました、中島公園ぶんがく縁日のお知らせです。
10月13日(日)と14日(月祝)の両日開催ですが、私は13日のみ参加します。
9時半~16時半まで、文学フリマ札幌とはまた違ったマターリな雰囲気で、作品を見たり購入したりしていただけます。
ぜひよろしくお願いいたします。

作品ラインナップは文学フリマ札幌と同じにしたので、そのときの記事を参照願いたいのですが、タイトルだけでも。
・(詩)朝伊ミチル第一詩集「あさいはじまり」800円
・(小説)「都会のメロディー」500円
・(小説)「」600円
・(小説)「PINHEAD」800円
・(小説)「私たちのキスアンドクライ」1000円
・(小説)「オープンマイク!」600円

なお、2部ほどですが、私も掲載されている旭川の詩誌「フラジャイル」も持っていきますので、気になる方はぜひおっしゃってください。
(800円)

季節の変わり目ですが、体調に気を付けていきましょう。
何卒よろしくお願いいたします。

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朝伊ミチル
いつの日か小説や文章で食べていくことを夢見て毎日頑張っています。いただいたサポートを執筆に活かします。