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THE PRODIGY
約10年前、私はたまにクラシックを聴く程度のふつうの中学生だった。
偶然見ていたMTVで流れてきたのは攻撃的なサウンドでありながら、クラシックのように起承転結のあるドラマチックな曲だった。
耳だけでなく刺激的な映像にも目が釘付けになり、聴き終わるなりネットでバンド名を調べたのを覚えている。
それがイギリスのエレクトロロック・バンド、ザ・プロディジーだった。
私がはじめて聴いた洋楽で、はじめてハマったバンドである。
この3つがそのときリリースしていたアルバム「Invaders Must Die」の中で、私が特に気に入った曲だった。
当時すでに洋楽を集め始めていた姉に話したら、確か姉がCDをいろいろ買ってくれたと思う。
その中に「The Fat of the Land」という1997年のCDがあった。
その中の曲の大半は、高速のドラムベースが鳴り、エレクトロニカなのかテクノなのかヒップホップなのか明確に分からなかった。これがザ・プロディジーなのかと感動した。
その中でも「Firestarter」という曲はキースの声でないと成立しない良さがあった。
そして「Breathe」はマキシムとキースの声の掛け合いが心地よく、かっこいいPVも合わせて私の一番のお気に入りだ。
私はプロディジーの曲はすべて聴いているし、語りたいこともたくさんある。ただ今はキースがいなくなってしまったことにひたすら驚いている。勝手に永遠にいてくれるものだと思っていた。
何年か前に、幕張メッセで開催したソニックマニアというオールナイト形式のライブツアーで彼らを目の前で見た。
そのとき私は目の前に彼らがいる喜びでこちらの方向に顔を向けるたびに自分と目があったような錯覚に陥っていたぐらい興奮していたのを覚えている。
冷静に曲をトバし続けるリアム、観客を煽るマキシムとキース。
カッコ良かった。
普段は紳士的なのにライブでは暴れまわるキースが好きだった。
今は残されたリアムとマキシムのことを思うととにかく悲しい。
ゆっくり休んでほしいと願っている。