二次創作の政治的利用




この文章のざっくりまとめ

・二次創作の政治的利用はリスクが高すぎるから何においてもダメ。
・他の二次創作と違って全作品に等しく適用されることだから他の二次創作表現とはどうしても区別されちゃいます。
・nmmn扱う人が漏れなくクローズドな場所で活動するのと同じ、「著作主の権利・利益を侵さない、作品のイメージを損なわない」という大原則を守るための全二次創作主がするべき当然の配慮


この話を書こうと思った経緯

 一言で、あまりにも理解の足りない人が多かったから。多分向こうからしたら私もその1人。でも、このままじゃ普通に二次創作界隈全体が危なくならん?となんとなく危機感も感じたので。そんな前提で話をします。

今回の騒動をざっくり整理

(今回の文章で重要になる部分のみ)

  • とある人が推しカプにレインボーフラッグを持たせてLGBT運動をするイラストを投稿

    • それだけならまだしも、「みんなも二次創作で政治運動を!」的な文章付き

  • 普通に炎上

    • 批判意見

      • 「そもそも多くの公式ガイドラインで政治的利用は禁止されているぞ」

      • 「人様のもので政治的主張(自己主張)するな」

      • 「作品やキャラのイメージが損なわれる」

    • 賛成意見

      • 「批判派が普段している二次創作も実質的な政治的主張だ(沈黙も政治的主張)(保守的な思想も政治である)」

      • 「人様のキャラで性的なことをさせるのは良いのか」

      • 「こういうのを批判する人ほどオープンなアカウントで二次創作をしている」


私の中の結論

 まず初めに私の結論ですが、二次創作における大前提を以下の通りだと考えます。

  • 著作主の権利・利益を侵害しない

  • 作品のイメージを損なわない

で、私の見解だと「政治的利用」は上記のどちらの点においてもアウトです。つまり、二次創作の政治的利用(政治的主張)はリスクが高すぎるのです。著作主(作者及び企業)にとっても、そのことは明白なのでしょう。事実、政治的内容を含んだ二次創作を禁止している公式ガイドラインは多いです。

 まず、著作主の権利についてです。著作主の思想と異なる政治的主張は著作主の権利を侵害します。具体的に言うと、「著作者人格権」を侵します(私の解釈ではそう)。それは、「LGBTを応援する」という思想を著作主が持っていなかった場合もそうですが、一番重要なのは「LGBTに反対する」という思想を著作主が持っていた場合です。二次創作を用いた政治的主張が許されると言うことは、もちろん戦争について、人権について、一般的には良くないとされる政治的思想の主張も許されます

 次に、作品のイメージについてです。上記の例にも書いたように、仮に「LGBTに反対する」という二次創作を書いたとしましょう。それはたった1人による発進だとしても、たった1人の目にしか届かなかったとしても、そのキャラクターひいては作品のイメージを損なう可能性は十分にあります。今回の件で「カエルのペペ」という言葉も出てきましたが、良い例ですね。ペペに関してはそれがミーム化してしまったのが事態をさらに悪化させたポイントですが、二次創作で政治的利用をするいうことはこのような事態を招く可能性もあるということです。

 最後に、著作主の利益についてです。これは上記2点から、例えば漫画の売り上げが落ちたり、アニメの視聴率が悪くなったりする可能性があることは明白だと思います。中には「こんな主張を許す漫画(企業)は悪だ!不買運動をしよう!」といった個人の意思よりも広い範囲に影響を及ぼす可能性もあります。

 繰り返しになりますが、既存のキャラクターを用いて政治的主張をすることは、リスクが高すぎます。その内容が一般的に良いとされることですら、逆の思想を持つ人からしたら悪印象です。特に今回は「レインボーフラッグでLGBT運動」というまだまだ様々な点において各所で熱く議論が交わされている内容です。普通にヤバいです。多分、原作者が勝手に描いて主張したとしてもワンチャン問題になります。編集部やアニメ等関わっている各所から苦言を呈される可能性が全然あります。冒頭で「沈黙も政治主張」という批判がありましたが、ただ主張をしないことは一番の安全策でもあります。


「二次創作」と「政治的利用」

 ここからは「じゃあ一般的な二次創作と政治的利用の差はなんだ」という点について私なりの見解を綴ります。

 まず、両者の違いについてですが、これは簡単です。その二次創作を用いて政治的アピールをしているかどうか(意図を含む)です。していなければ「二次創作」していれば「政治的利用」だと私は考えます。例えば「LGBTを応援しよう!」とメッセージを付け加えたりですが、レインボーフラッグを持たせることに関しては少し特殊でそれ自体がアピールだと誤認される恐れがあります。レンボーフラッグに限らず、「戦争反対デモに参加する様子」とかもそうですね。政治的に、どちらの立場であるかが明確な場合は危ういと思います。

 上記の内容における二次創作についてもう少し詳しく書きたいと思います。私の中では、二次創作は「こんな〇〇が見たい」といったような個人の趣味嗜好であれば一応なんでも(一般的な)二次創作の範疇だと思うのです。が、例えばレンボーフラッグなどの「それだけで政治的主張になりかねない」二次創作である場合、本質的には一般的な二次創作なのですが、実質的に政治的利用の二次創作とされる可能性があると思います。
 これは実際にそういう事例(別の炎上)があったそうです。本人はただただ「2人がレインボーフラッグを持っている姿を見たい」という純粋な気持ちから行った二次創作であっても、外部からすると政治的主張だと判断(認識)されかねません。なので、「この絵でレンボーフラッグを知ってもらおう!応援してもらおう!」という意図がなくても政治的な内容が含まれる二次創作には十分に注意すべきだと思います。

 ここからは、現在広く行われている二次創作について言及したいと思います。例えば冒頭にもあった「人様のキャラで性的な漫画を描くのは良いのか」という点に関してですが、これらは「事実公式が目を瞑ってくれている」としか言えません。現代においては二次創作が及ぼす作品の宣伝効果がかなり大きくなっていると思います。結果的に、著作主としても利益を侵害しない範囲であれば、むしろ目を瞑っておいた方が都合が良いのでは?というスタンスなのではないかと思います。他にも、いちいち片っ端から訴えてもキリがないから単に放置するしかない可能性も否定はしません。ただ、どちらにしろ大前提は先述した「権利を侵さない、イメージを損なわない」です。ですので、実例としてしっかり訴えられて損害賠償を支払っている人もいますし、某ウマ作品は公式ガイドラインで成人向け表現を含む二次創作自体が禁止されていますので、「エロい二次創作はOK(許されてる)」という意味ではありません

 上記の内容に付随して、「同性婚が認められた世界を描く二次創作」についても蛇足ながら言及しておきます。これに関しては、あくまで「物語に依拠しているもの」として政治的利用とはされないのかなと思っています。同棲恋愛を描く物語である以上「結婚」という展開に至ることは至って自然です。その上で、同性婚を描くことは物語の副産物でしかないと言えます。二次創作と政治的利用の差を「政治的アピール(意図)の有無」とするのであれば、「同性婚を世間に広く認めさせる作品」でない時点で本質的には二次創作ですし、その描写の必然性をとっても政治的利用ではないと判断(認識)されやすいと思います。逆に言うと、どうしても政治利用したいならそういった意図が分からない、断言できないような二次創作をすれば問題にはならないと思います。でもそこまでするならレインボーフラッグのタグつけてオリキャラで作品描いた方が直接的かつ影響が大きいと思いますけどね。


適当なまとめ

 とにかく、二次創作の政治的利用はとっても危険です。「二次創作で政治を盛り上げよう!」なんてメッセージ、以ての外です。自らが大好きな作品、キャラクターを使って政治的な二次創作を行うことの著作物・著作主へのリスクをしっかり考えてみていただきたいです。

 また繰り返しですが、今皆が行っている二次創作もいつ禁止になるか分かりません。子供向け作品でエログロ作品を描く人が一気に増えて、あろうことかそれを公の場でなんなら公式タグまで付けて見てもらおうとするミーム的騒動が起きたら一発でアウトです。「成人向け二次創作禁止」だけならいいですけど、普通に「二次創作自体禁止」になる可能性だってあります。だからオープン垢で普通に二次創作してる人も、ある程度の配慮の上でやってる人の方が多いです。

 個人的にはこれまで書いてきたようなことを考慮した上で、公式ガイドラインに明記してなくても二次創作の政治的利用は止められて当然の行為だと思います。子供向け作品の成人向け二次創作をしている人が配慮して二次創作をするように、全作品において「政治的利用は」配慮して「行わないべき」です。他の一般的な二次創作と違って「全作品漏れなく配慮すべき」と言う点が重要ですね。nmmnを扱う人が必ずクローズドな場所で活動をするのと同じです。あれも、「現実の人物を扱う」「ドラマ・映画作品を扱う」ってだけで嫌でも全員全作品で配慮します。そういうことです。


勢いに任せて書いたので誤字脱字あると思います。推敲もしてません。すみません。

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