イールドスプレッドについて
表紙の画像はこちらの「ザイマニ」の記事から引用。
散々言われてますけど、イールドスプレッドについて気をつけたいよねというお話。 現在の株式市場は直近で気にしてもしょうがないが、いつクラッシュしてもおかしくない異常な状態であるという緊張感を持ちながらトレードしたいなと思ってます。
◇超割安だが需給最悪な債券市場のお陰で、超割高な株式市場がまだ買われているという異常な状況がずっと続いている
まず今起きているのは「債券市場のクラッシュ」であることを認識しよう。これが収まらない限りは市場は何度でも崩れる。株式市場の株価だけ見て動く状況ではない。
なぜ債券市場がクラッシュしているかというと、今年は債権の年になると期待して我慢して債権を買ってた人たちが耐えきれなくなってきたから。
イールドスプレッド(長期金利ーSp500の益利回り)がいよいよプラスに近づいている。
つまり、国債のほうが得になってきている。「いままではイールドスプレッドが-2%よりも上に行くと普段は株価が下がってきた」のだが、今回は「金利を下げていないのに業績拡大期待が続いている」関係で今までは株価が上昇し続けてきた。特にAIバブルが余計だった。
はっきりいって今の相場は益利回りで見るとかなり異常である。
金利が上がっていってるにもかかわらず、業績見込みから関係で株価が上がり続けゴルディロックス相場が継続した。
イールドスプレッドは限界値の-2%よりはるかに上がっているのに、債券市場が弱いままだからなかなか世界のビッグマネーが株式市場→債券市場にシフトしない。お陰で、「株式市場が以上に割高になり、債券市場が下げ止まった瞬間に、圧倒的に債券市場がお得」な状況のまま綱渡りを続けている。
債券市場が不調だからこそ今の株式市場が保たれているのだが、債券市場がクラッシュすると巻き込み事故で株価も下がる。
かといって金利上昇が止まり、債券市場が正常化して、債券市場が堅調になると、もはや大口機関投資家にとって株式市場に投資する必要がない。いつでも債券市場に大量のお金が流れ込んでもおかしくない状態なのである。
◇しかし、そう思って今年から国債買いまくってた人たちが、9月のFOMCで梯子を外されて狼狽売り
9月FOMCは、金利の面で考えるとやたらタカ派だった。
2024年度の利下げを殆ど行わず、実質金利を2.5%に保ち、GDP成長予測を大きく上回るFF金利を維持するオーバーキル対応だった。
このせいで利下げを期待して国債を買ってた人たちが損切りまつりになった。MOVE指数上昇。比較的小康状態だったMOVE指数が跳ね上がった。
当然銀行も金利上昇による収入増加以上に、国債の含み損で収益悪化することになるだろう。(融資メインの都銀は金利収入のほうが上回るから問題ないが、生保などは少し厳しいか)
9月末を過ぎたので四半期に一度のアセットアロケーション見直しが起きる。日本株のウェイトが下げられていた場合はピンチに
もちろん、直近は下げ過ぎなので自律反発が期待できる。
だがその後はどうなるか。外国人投資家のアセットアロケーションの方針が変わるとどうしようもない。日本株云々以前に、株偏重→国債の方への資金シフトも警戒が必要だ。
海外投資家は、日本株の時価総額の内200兆円以上が海外投資家の持ち分である。大企業であればあるほど海外投資家比率が高い。この人たちが日本株のウェイトを5%上げるだけで大幅に株価が伸びるし、ウェイトを下げれば暴落する。今年の3月から起きていたのはこのアセットアロケーション方針において中国株→日本株へのシフトが起きたことによる大量買いだ。
ところが日経平均はドル建てベースで見ると、年初来で3%しか上がってない。バフェット以降に買った人は損益分岐点ギリギリ。ココからさらに円安が進むようだと買い判断はしてくれないだろう。
◇しかし介入があったとしてもドル円が下がるかというと微妙だ。
さらに、ドル円が下がってほしいのだけれどFRBがQTによって月間950億ドル=年間170兆円分ドルを市場から吸い上げている=ドル不足になっている。日銀が為替介入に使えるお金は100兆円もない。 これが止まらない限りドル高が止まらず、円安が続くことになる。
日本株の上昇は、色んな意味でアメリカの金融政策に依存している。
シーズナリティとしては、10月後半から買いだが…
しばらくは自律反発だろうが、アヤ戻しで終わるリスクが高い
株価下げすぎの状況から、雇用統計やCPIはおそらくFOMCのタカ派姿勢を緩めるデータが出てくるであろうから。
また、ブラックアウト状態が徐々に解消されていく。アメリカ株は自社株買いが最大の買い手なのは周知の事実だが現在はアメリカ株の自社株買い禁止期間なので売り放題。
「アメリカは決算発表前から5週間前」が自社株買い禁止(10月20日頃まで)
「日本は決算〆後から決算発表まで」が自社株買い自粛期間(11月ころまで)
このあたりまでは需給が悪い。なので買いタイミングは10月末から。「ハロウィン前に買え」って格言がある。
しかしこれ以外にも懸念事項は多い。
日本株については為替介入を警戒したい
介入の基準を変えて、過度な変動でなくとも介入をありとしたからこれである程度調整しないと自律反発以上の買いは入りにくいだろう。
結局のところ、低PBR・バリュー株主体に立ち回るしか無い
TOPIXのチャートは非常に悪いが、現物株なら買い下がりポイント。 日足で見ると支えは見えないが、26週線がサポートとして機能することを期待
今回は米国の金融「不安」だけで済んだ3月の調整よりも厳しい状況と考えておきたい
3月上層相場之時も2ヶ月ほど底練りが必要だった